義務教育:不登校児のフリースクールを容認 法案提出へ
毎日新聞 2015年05月27日 21時01分(最終更新 05月28日 03時10分)
超党派の議員連盟は27日、保護者が作成した学習計画を市町村教委が審査・認定することを条件に、不登校の小中学生が通うフリースクールや家庭での学習を義務教育として認める法案を今国会に提出する方針を決めた。国にフリースクールでの学びに対する財政面の支援も求める。法案が成立すれば、義務教育の場を小中学校に限定してきた戦後教育の大転換になる。自民党内には慎重論もあり曲折も予想されるが、議連は今国会での成立と、2017年度の制度化を目指す。
法案は「多様な教育機会確保法(仮称)案」。基本理念に「年齢や国籍に関わらず、義務教育を受ける機会を与えられるようにする」と掲げた。
保護者には学齢期(6〜15歳)の子どもを小中学校に通わせる義務があるが、不登校の小中学生は13年度に約12万人に達し、6年ぶりに増加した。一方、NPO法人などが運営するフリースクールは法律上の位置付けや公的支援はないものの、全国に約400あり、約2000人が学んでいるとみられている。通っている子どもの多くはほとんど登校していなくても校長の裁量でそのまま卒業しているのが実態だ。こうした現状から、議連はフリースクールも義務教育の場として認めて支援することが必要と判断した。
法案は、保護者がフリースクールや自宅で何をどう学ぶかを「個別学習計画」にまとめ、これを市町村教委が認定すれば、子どもを就学させる義務を履行したとみなす。修了すれば小中学校卒業と同程度と認める仕組みを想定している。フリースクールの授業料は月額数万円かかり、経済的理由であきらめる親子も少なくないため、法案は国や自治体に必要な財政措置を求めた。
法案には、戦中・戦後の混乱で義務教育を受けられなかった高齢者らが学ぶ「夜間中学」への支援も盛り込む。入学希望者がいれば、公立の夜間中学の設置など必要な措置を講じるよう都道府県教委や市町村教委に義務付ける。小中学校以外で学ぶことが必要な人たちが増えているため「多様な学びの機会を確保し国と自治体が支援する」(立法チーム座長の馳浩衆院議員)狙いがある。【三木陽介、高木香奈】