『受胎告知』。
それは、新約聖書に登場するエピソードで、ざっくり言うと、マリアという生娘の前に四大天使の一人・ガブリエル(以降「ガブ」)が現れ「主に選ばれて、今から聖なる霊(=精子)を注入してイエス創るんで産んでね夜露死苦!(゜∀゜」というもの。
いきなり初対面の、しかも得体の知れない羽持ちに、サラッとどこの馬の骨どころか実体すら無いヤツの、それはそれは怪しげな異物の挿入を予告される。
現実世界だったら、ザザーーーっと引くだろう。なのに、マリアあっさり承諾。案外、来るもの拒まずの奔放なビッチなのかもしれない。
すみません、私にはやっぱ宗教って理解できねーわ。
そんな『受胎告知』のエピソードだが、中世の画家には人気の題材だったらしい。ガブとマリアに、百合の花。天界から射す光や精霊のイメージ、そして鳩。
この辺はどの画家もたいてい抜かりなく練り込んであり、聖書にとても忠実である。だが、ガブのお告げに恭順の意を示すばかりのマリアばかりではない。中には明らかに拒絶にしか見えないものもある。
人気題材なだけに、信仰心皆無な私が適当に弄って遊んで熱心な信者に刺されたらちょっとヤダなぁと思いつつ、自重しないのが私の主義。退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!
そんなわけで、数ある『受胎告知』を遊んでみたYO!(σ`・ω・´)σ
エル・グレコの『受胎告知』
なぜか大原美術館(岡山県・倉敷市)が所蔵している、グレコの代表作。どんな経緯で日本に来たのかは、わからないしあまり興味がない(クイズに出たら話は別)。
グレコは『受胎告知』をテーマに何枚も何枚も描いていて、処女萌えなんじゃないかと疑いたくなるほど描いている。その中でも最も有名な一枚が日本の美術館に所蔵され、いつでも鑑賞できるというのはラッキーなことだ。うちからはちょっと遠いかな…。
そんなことよりマリアの表情。ハッキリとNOを示している。訪販天使に「間に合ってますんで」と返しているようにしか思えない強い目力だ。
ガ「処女マリアよ、主の言葉を伝えに参りました。貴女はこの度…」
マ「お断りします」
ガ「ファッ!?」
マ「聖霊? バッカじゃないの? お帰り下さい」
ガ「しかし、貴女は既に主より選ばれた…」
マ「私いま、薄い本の消化に忙しいの、つーか帰れ」
ガ「ピキピキ(#^ω^)・・・」
ガブの羽は、この不毛なやり取りに疲れて、外側からだんだん黒く染まっていったと思われる。人間が黒髪から白髪になるのと逆。お疲れ様です、としか、かける言葉がみつからない微妙な表情だ。でも、神という曖昧な存在に流されず、己の意思を貫き通してNOと言い切ったマリアさんマジ漢。
フラ・アンジェリコの『受胎告知』
プラド美術館(スペイン・マドリード)所蔵の一枚。アンジェリコは身も心も神に捧げたコッテコテの修道士(日本でいう坊さん)で、その生涯に描いた絵は全て宗教画だ。死後列福され、「福者アンジェリコ」となった…とかどうでもいいよね(鼻ホジ)。
まずマリアをロックオンしている光の先にある手が怖い。誰だお前。そのせいか何なのか、マリアの顔色がものごっそい悪い。今にもリバースしそうな勢いだ。
胸の上で手を交差させて組む仕草は「神の御心に従います」の意思表示なのだが、この場合マリアの表情から脅されてそうしているように見える。相手は目の前のガブだ。
もう何か、ガブの不敵な微笑みにガクブルしているようにしか見えなくなってくる。
それを遠くから見る一組のカップル。
「おい、マリアの家に天使が来てるぜ」
「マジ? っつか、あれガブじゃん! ってことはマリア処女!?」
「ってことになるな。俺が先に食っときゃよかっ…」
ばちん!
男が頬を抑え、女が怒りの形相なのにはこんな裏舞台があったのだ。そしてこのカップルの破綻の危機に専属キューピットが颯爽と登場したというところだろうか。
ちなみに、アンジェリコは同じ画を4年後にも描いている。こちらはイタリアのトスカーナ州にあるマイナーな美術館「ディオチェザーノ美術館」に収蔵されている。
後ろの丘でとんでもなく物騒な事件が起きようって時なのに、ガブはマリアの洗脳に集中してこれをガン無視である。天使って一体。
そして上の画と比べると、マリアは食い入るようにガブのお告げを聞き、受け入れる気満々である。しかし、どの世も娘の嫁入りに立ちはだかるのは父親の存在。
パパそこにいたのwww
ダ・ヴィンチの『受胎告知』
ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)所蔵の、ダ・ヴィンチ初期の作品。ガブの目が怖い。ギラついたそれはまるで…そう、ギャンブラーのそれだ。
ここで注目したいのは、二人の手。
二人はジャンケンをしていたのだ。ガブがチョキでマリアがパー。これは受胎を賭けたギャンブルだったのだ。ガブは天使なので、マリアの手の内なんかお見通しだったに違いない。負けを認め、マリアは仕方なく受胎を受け入れる。
そんなことより、気になるのが背景の木々の個性的な造形だ。さすがイタリア人、さすがダ・ヴィンチ、どうでもいいところにも手を抜かないこだわりを感じさせてくれる。イタリアの庭師はさぞや優秀だったに違いない。
ムリリョの『受胎告知』
エルミタージュ美術館(ロシア・サンクトペテルブルク)に収蔵されている、17世紀スペインの画家ムリリョの作。ロココ美術を先取りしたような可愛らしい画風が特徴…とかどうでもいいよね(鼻ホジ)←2回目
ムリリョVer.のガブは頭上を指差し、何と、精霊を選ばせてくれるという太っ腹なアプローチでマリアに提案する。ただし、チェンジやクーリングオフはできない。
っつーか、ガブとマリアがそれなりに可愛く描かれているのに、精霊たちのブチャイクなことといったらwwwというか、もう成虫じゃん! こんなのを腹に仕込まれては堪らないだろう。マリアは見なかったことにしたかったに違いない。
強いて私が選ぶなら、この二匹のうちの向かって右の方。比較的イケメンだし賢そうだ。左のヤツに何かを説いているようにも見える。対する左も悪くはないのだが、生まれた時からこの重量級では、マリアだって産むのに難儀しそうだ。
まぁ、ケツは悪くないね。思わずかぶりつきたくなるね。
あと、既に死体が混ざってるみたいなんですが。
目の焦点合ってないもん、明らかに死んでるコレwwwガブさんダメじゃないですかー商品管理はしっかりしておかないと。
マルティーニの『受胎告知』
マルティーニは14世紀のイタリア画家。ゴシック美術の先駆け的存在だが、作品数はあまり多くない。今回挙げた画の中では一番古い彼の『受胎告知』は、ダ・ヴィンチの物と同じくウフィツィ美術館に収蔵されている。
最初、椅子に座っているというのがわからなくて「うわ、ジョジョ立ちしてるマリアかっけぇ!」と思ったら気のせいだった。「ゴゴゴゴゴゴ…」が似合いそうwwwそして、特筆すべきはこの形相である。
360度どの角度から見ても、恭順の意が感じられない。明らかに拒絶している。虫か汚物でも見るような視線でガブを見下しているのだ。このマリアは正しい。普通はその反応だ。
対するガブだが、マリアの冷たい視線を浴びつつも見えない攻撃を仕掛けている。というか、今までの中でもダントツのスケベ顔。狙った獲物は逃さない、といった鋭さが感じられる。
常人の目には見えない謎の呪文が、マリア目がけてまっしぐら。宗教のお家芸「洗脳」が使われた貴重な記録と言っていいだろう。
はぁ…疲れた。
疲弊した上に、世界で最も信仰されている宗教の聖書の出来事を茶化してもてあそんで、もしかしたら敵を作ってしまったかもしれない。明日刺されるかもしれない。
3日以上ツイッターが止まったら「あっ…(察し)」でオナシャス。