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【高齢者】仁義も忘れる!徘徊!脱糞!ホントに悲しき痴呆ヒットマン』〜第3回〜
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【高齢者】仁義も忘れる!徘徊!脱糞!ホントに悲しき痴呆ヒットマン』〜第2回〜
組員総出で街を捜しまわるが、みつからない。組に帰り、系列の組に廻状をまわそうとしたとき、警察から電話が入った。全員に緊張が走る。
オヤジ
「…はい。えっ! ウチの坂本が交番で保護されてる!?」
「…はい。えっ! ウチの坂本が交番で保護されてる!?」
ヤクザが警察に保護される。前代未聞の出来事だ。渋々、オレが迎えに行くと、良次さんは満面笑みで車に乗り込んだ。自分が何してるんか、わからんのか…?! 行動はさらにおかしくなる。
【映画花いちもんめ。予告編】
1週間後の殺しの決行日にも、何度言っても、相手の顔が憶えられない、場所を憶えられない。
オヤジ
「あんなぁ、良治ちゃんよ、ホンマに組のメンツがかかってるんやで。ええ年して、なんで憶えられへんのんや?」
「あんなぁ、良治ちゃんよ、ホンマに組のメンツがかかってるんやで。ええ年して、なんで憶えられへんのんや?」
良治
「お父さん、僕もわからへん」
「お父さん、僕もわからへん」
オヤジ
「はぁぁぁっ!?」
「はぁぁぁっ!?」
さすがにおかしいと感づいたオヤジと若頭は、良次さんを病院に連れて行った。医師の診断は『アルツハイマー』。進行を止めることはできないそうだ。
その3日後、組長室でオヤジが何かのパンフレットを見ている。『清風園』…。老人ホームやないか、オヤジが入るにはまだ早いで…。
竹田
「何、見てはるんですか!」
「何、見てはるんですか!」
オヤジ
「ホームに入れるんや、坂本を…」
「ホームに入れるんや、坂本を…」
竹田
「はぁっ!? ヤクザがホームって、そんなことぉ!」
「はぁっ!? ヤクザがホームって、そんなことぉ!」
オヤジ
「じゃあ、どないするんや!! ワシかて金かかって嫌じゃ!! せやけど、帰る組がわからん、殺る相手がわからん、自分が誰かわからへん奴に何ができるいうんじゃ! もう、しゃ〜ないやないか…!」
「じゃあ、どないするんや!! ワシかて金かかって嫌じゃ!! せやけど、帰る組がわからん、殺る相手がわからん、自分が誰かわからへん奴に何ができるいうんじゃ! もう、しゃ〜ないやないか…!」
【日本の研究機関がアルツハイマーを予測へ】
苦虫を噛み潰したような顔のオヤジがデスクでパンフを握り締めながら悶える。はぁ、これやったら、拾い損やないか…。
あれから、9年。良次さんは昨年68才で他界した。ヤクザの世界で生き、本当なら刑務所のベッドで死ぬはずだった彼が、病院で人並みに死ねた。数十年後の自分の姿を想像すると、オレは正直うらやましく思えた。(完)
取材・文/神崎スキャット(ライター)
レポート/竹田博隆 38才 某広域暴力団幹部
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