軍事力強化の思惑を隠さない中国

 空軍力も攻撃的に転換する。これまでは国土防衛が目標だったが、今後は防衛だけでなく、攻撃も行う旨が白書に盛り込まれた。宇宙戦略も空軍力に含まれた。陸軍は機動力を高めることが目標だ。地域防衛のために軍区の壁を超えられなかったこれまでの戦略を打破し、有事の際に数千キロメートルを速やかに移動できる機動軍を育成するとした。

 核・ミサイル戦略に関して、白書は「核とミサイルを運用する第2砲兵部隊を精鋭化し、(核兵器の)精密な中長距離攻撃能力を高める」とした。宇宙の安全のための宇宙軍、ハッキング攻撃に備えたインターネット部隊の必要性にも言及した。

 これまで中国の戦略は「防衛」を重視するものだった。しかし、今回の白書は「軍事競争で戦略的主導権を握るたに努力する」と明記した。また、「中国の夢は強国の夢であり、強国になるためには必ず強い軍が必要だ」と軍事力強化の思惑を隠さなかった。

 これは習近平国家主席の「戦って勝てる軍隊をつくれ」という「軍事崛起(くっき)」の構想と関係が深い。非同盟を貫いてきた戦略にも変化がみられる。白書は「効果的な集団安全保障機関と軍事的な信頼システム構築を進める。軍事安全保障協力の空間を積極的に開拓していく」とした。その上で、中国とロシアの戦略的パートナーシップ関係を代表例として挙げた。中国とロシアは最近、黒海と地中海で合同演習を行ったのに続き、8月には東海(日本海)で大規模海上演習を実施する計画だ。米日同盟と中ロのパートナーシップ関係が対立する構図だ。中ロは25日、モスクワで第11回戦略安全保障会合を開き、西側による一方的な民主主義の押し付けや内政干渉、経済制裁などに共同で対処していくことで合意した。中国海軍が23-25日にシンガポール海軍と演習を実施したことも、軍事的な関係拡大を図る狙いとみられる。

北京=アン・ヨンヒョン特派員
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