5,000年前のバター、2,800年前のビール…
たまにバラエティー番組で、
「5年前のお弁当箱が怖くて開けられません」
とか言って、レポーターがガスマスクを被りながら弁当箱を開けてみるとかありますよね。
どれだけ臭いだろうと想像しちゃって、ウゲーとなります。
一方で古すぎると、例えば50年前の熟成肉とか100年前のワインになると、何てロマンチックなのかしら、と思っちゃうのはどうしたことでしょう。
もし1,000年前の弁当箱とかが出てきたら、ワクワクしながら開けるに違いありません。
長い時間を経たモノに対して、ぼくたちは本能的にリスペクトを感じるのでしょう。
今回はそのような、機会があればぼくたちも味わえるかもしれない、歴史を味わえる食べ物をピックアップしてみます。
1. 5,000年前のバターを味わう
引用:bbc.co.uk
泥炭の中で忘れられた食料
このゴミにしか見えない塊は、スコットランドで5,000年前に作られて地下に保存され続けていた「バター」です。
イギリス北部やアイルランド、スカンジナビアには、昔の植物が分解されてできた「泥炭地帯」が多くあります。
古代の人びとは、温度が冷たく一定に保たれた泥炭の中に食料を保存していました。
上記のバターは保存したまま忘れ去られて5,000年もたってしまったのでした。
驚くべきことに、このような「泥炭の中に忘れられたバター」はたびたび見つかっており、地元の研究機関に持ち込まれることもありますが、興味本位で集まった土地の連中に食われてしまうことも多いらしいです。
泥炭地帯を掘り返していたら、もしかしたら僕たちでも見つけられるかもしれません。
クリームチーズとバターを混ぜたような味らしく、300年前のバターを食ってみたアイルランドの子ども達が言うには「悪い味じゃない」らしいです。
まあ、旨くはないでしょうね。バターは作りたてが一番美味しいんだから。
2. 2,800年前のビールを飲む
ミダス王が飲んだビールの味とは
古代のビールと現代のビールは全く違うものだそうです。
ホップがピリッと苦く後味爽やかで、麦芽のコクがしっかり感じられる飲み物になったのは1516年にドイツで発令された「ビール純粋令」以降のこととされています。
(詳しくは以前の記事「ビール好きなら知っておきたいビールの歴史」をご覧ください)
ではいったい、古代のビールはどんな味だったのか。
アメリカのクラフトビール会社Dog Fish社が、考古学者らと共同で古代のビールの再現を試みています。
まず、2,800年前のミダス王(触れたものを黄金に変える伝説で有名)の墓から見つかった聖杯に付着した成分を分析。
さらに世界最古のビール醸造施設の遺跡で発掘された壺や容器に付着した成分などを調べ、Dog Fish社の醸造技術とコラボレートしてついに完成。
その味は「ワインとハチミツの中間」のようで、アルコール度数は9%もあるそうです。
ちょっと前まで楽天で売ってたっぽいのですが、なくなっちゃってました。どうやらアメリカに行かないと飲めなそうです。
YouTubeにその製品「Midas Touch」の紹介動画がありました。
うまそうだな、おい。
3. 南極の氷でオンザロック
何万年もの時間が作ったピュアな氷
今回紹介するものの中で一番現実的に手に入るものかもしれません。
南極の氷は何万年前の雪や雨が長い時間をかけて圧縮されていったもの。
当時の空気が氷の中に含まれていて、お酒を浸すとそれらが弾けて「パチパチ」と音がするそうです。ロマンチックですよね。
ググったら普通に楽天で売ってました。
こちらは南極じゃなくてアラスカの氷河の氷だそうですが。
握りこぶし程度の大きさで、ひとつ540円。
そんなにお高くないし、お祝いの時なんかにいいかもしれませんね。
4. 170年前のワインを飲む
冷たい海底で保存されたワイン
2012年、フィンランド自治領オーランド諸島沖で1829年の沈没船が発見され、
その残骸の中から合計162本のワインが発見され、そのうち79本が飲める状態でした。
一部を除いてそれらのワインはオークションにかけられ、11本が15万6000ドル(約1240万円)を超える価格で落札されました。
このような「海底ワイン」は、結構ネットでも売られていたりして、まあめちゃくちゃ高いんですが、意志と財力があれば手の届くものだったりします。
また海底という場所はワインの保存に最適らしく、 わざわざ海底で保存して販売するワインメーカーもあるようです。
どこまで味がいいのかわかりませんが、飲んでみたい気はしますよね。
5. マンモスの肉を食べる
更新世の香りがする?
これは以前の記事「動物を愛しすぎた "海外のムツゴロウさん"伝説」でも紹介したエピソードです。
アラスカ大学の動物学教授デイル・ガスリーは、永久凍土で発見された「36,000年前の凍ったマンモス」の発掘に携わり、一部の肉を食ってみたのだそうです。その味は、
野菜と共にスープにしたところ、肉はよく熟成され、いくばくか固かったが、強い更新世のアロマが香った
とのこと。なるほど、わからん。
実は昔もこのように凍ったマンモスが発見されて食べられたことはあったようで、1872年のニューヨーク・タイムズに「フランス人探検家がシベリアで凍ったマンモスを炙り、ロースト、ステーキにして食ってしまった」というエピソードが掲載されています。
また、1912年のシカゴ・トリビューン紙には、北西カナダで発見されたマンモスの肉を土地のインディアンと一緒にステーキにして食ったエピソードが載っていて、その味は「古く硬い」とのこと。
また、2001年にロシアの動物学者アレクセイ・チコノフがシベリアで発見したマンモスの肉の味は
「クソまずい。冷蔵庫に長い間放置した肉のようだ」
だそうで、やっぱり肉ですから長い間のうちに味が落ちてしまうようです。
ごくまれに冷凍マンモスは発掘されますが、当然市場に流通なんかせず、研究者にならないと味わえません。
逆に言えば、研究者になると味わえるとも言えます。
まとめ
必ずしも長い間時間が立っているものがオイシイわけじゃないみたいですが、
昔の人が味わったものを自分も味わってみたい、ってのは思いますよね。
長い歴史の中で忘れ去られた、激ウマ料理もきっとあるのだろう。
逆に、昔の人が現代の食べ物を味わったら、どんな反応をするでしょうね。
参考:
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