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【社会】

残水 タンク底に1万トン 「溶接型」にも18万トン

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 東京電力は二十七日、福島第一原発のタンク群にため続けてきた高濃度放射性ストロンチウムを含む汚染水の処理が、全て終わったと発表した。ただし、タンクの底にはポンプで吸いきれない水が残る。今後、暑さが増す中で作業員が手作業で水を抜き、タンクを解体し、耐久性のあるタンクに置き換える膨大な作業が控える。

 福島第一で主に使われてきたのは、鋼板をボルト締めでつなぎ合わせるタンクで、耐久性が低く何度も水漏れ事故を起こしてきた。

 このため東電は、冷却後に出る高濃度汚染水から放射性セシウムのほか、ストロンチウムなど多種の放射性物質を除去できる新型の装置を、国の支援(税金の投入)も得て大幅に強化。処理でおおむねトリチウムだけになった水は新設した溶接型タンクに入れ、ボルト締め型のタンクは解体に向けて空にする作業を続けてきた。

 二十七日午前、ようやく高濃度ストロンチウムを含む汚染水の処理が終了。東電は「リスク低減という目標が達成できた」と成果を強調した。

 しかし、ボルト締め型の底には接ぎ目や補強材などがあり、既設ポンプでは抜けない汚染水が計一万トンほど残る。この水は作業員が仮設ポンプを使って手作業で丹念に抜くしかない。

 タンクは汚染物質の飛散防止用の塗料を内面に塗ってから解体するが、防護服とマスク姿での作業は暑さとの闘いになる。溶接型への置き換えも含め、作業は来年も続く見通しだ。

 溶接型タンクにも、処理が中途半端な汚染水が計十八万トンほどあり、これらも新型の除染装置で処理し直す必要がある。

 さらには日々、原子炉に注水した後に出てくる新規発生分の汚染水への対応も続く。タンク増設と除染装置の維持のため、現場の苦労は絶えない。 (小倉貞俊)

 

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