大阪都が実現しても、大阪の財政難は解決されません
大阪市は約300億円の財源不足で2.9兆円の赤字を抱えています。
一方、大阪府も約800億円の財源不足額で5.3兆円の赤字を抱えています。
この状態のまま、市と府が一緒になると、約1100億円の財源不足で8.2兆円もの莫大な赤字を抱える新大阪府、つまり維新の会がいうところの「大阪都」が誕生します。
(平成25年度10月現在)
維新の会の主張では、大阪都が実現すれば、府と市の重複部分が一本化できて効率的になるといっています。その結果、経費などの無駄が省かれ、財政難を解決することができるというのです。
しかし、それは大きなことを見落としています。
大阪市内に7つないし5つの特別区が作られることによって、その区ごとに新たな議会、新たな教育委員会、新たな選挙管理委員会などを作る必要があり、結果的には総務部門等の人員を増やすことになってしまうのです。
つまり、7つないしは5つに分けた特別区ごとに職員を増やして費用をかける必要があるので、コスト削減どころか、かえってコスト増になってしまうのです。
府と市の重複部分の削減は確かにできるかもしれませんが、それ以上に増えてしまうコストを考えないのは片手落ちです。ましてや、これを意図的に伏せているのであれば非常に悪質なミスリードといえます。
特別区が成立すれば、当然ながら住所表記の変更が必要になります。
大阪市民、そして大阪の企業やお店、すべてが住所変更に伴う各種手続きや表記の変更を余儀なくされてしまいます。
そのお金は、大阪都のコストとしては計算されていませんが、紛れもなく住民の皆様の負担であり、家計に大きくのしかかることになります。
住所表記が変更されることにより、印刷業など、一部の業者は事業が潤うかもしれません。しかし、それは一時の事に過ぎません。大多数の住民や企業に負担が増えるだけの政策は、大阪経済に大きな「打撃」を与える可能性が高いと考えられます。
大阪都構想は、住民にそこまでの負担を強いてまで、進めるべき政策なのでしょうか。
答えはNOです。
大阪市、大阪府のままでも、職員の新規雇用を抑えることで、職員数の自然減が進んでおりますし、府市で重複する部分についても、府と市が連携し、協議することで改善されつつあります。
例えば、ゴミ収集などの経費の問題についても、民間に委託することでコストを下げることに成功しております。
これらはすべて、現行制度のもとで行われていることであり、「都」という枠組みを必要とするものではありません。