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「重要影響事態」は客観的・合理的に判断
5月28日 19時32分

「重要影響事態」は客観的・合理的に判断
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安倍総理大臣は安全保障関連法案を審議する衆議院の特別委員会で、外国軍隊への後方支援が可能となる「重要影響事態」に当たるかどうかは、外国軍隊の活動内容やわが国に戦禍が及ぶ可能性、国民に及ぶ被害の影響の重要性などから客観的、合理的に判断する考えを示しました。
この中で公明党の北側副代表は、安全保障関連法案に基づいて自衛隊を派遣する判断基準について、「国益にとってどうなのかという判断があり、そのときの国際情勢がどうなのか、国際社会がどう対処しようとしているのか、わが国はどういう役割を果たしていくのか判断しなければならない」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「わが国の主体的判断のもと、自衛隊の能力、装備、経験に根ざした自衛隊にふさわしい役割を果たすが、その前提として外交努力を尽くすことを重要な基点として政策判断を下していく。この3点を、政策判断をしていくうえで基本的な判断基準としていきたい」と述べました。
また、北側氏は外国軍隊への後方支援が可能となる「重要影響事態」について、「わが国の平和と安全に重要な影響を与える事態が際限なく広がってしまうということにはならない。どういう基準で判断していくのかが大事だ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「実際に武力紛争が発生し、または差し迫っているなどの場合に事態の個別具体的な状況に即して、主に当事者の意思、能力、事態の発生場所、事態の規模、態様、推移をはじめ、当該事態に対処する日米安全保障条約の目的の達成に寄与する活動を行うアメリカ軍、その他の外国の軍隊などが行っている活動の内容などの要素を総合的に考慮して、わが国に戦禍が及ぶ可能性、国民に及ぶ被害などの影響の重要性などから客観的、合理的に判断する」と述べました。
これに関連して、中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣は「いかなる事態が該当するかを一概に申し上げるのは困難だ。少なくとも、平成11年の政府統一見解で示された6つの具体例は重要影響事態においても当てはまる」と述べ、周辺事態についての具体例を示した平成11年の政府統一見解を維持する考えを明らかにしました。
民主党の辻元政策調査会長代理は他国の領域での集団的自衛権の行使について、「中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣が『新3要件に該当するものがあれば、他国の領土、領海、領空でも行くことができる』と言っているが、安倍総理大臣も法理上は行くことができるということでよいか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「純粋、法理上はありうる。しかし、それはいわば机上の法理上におけるものだ。政策上はホルムズ以外は念頭にないということは繰り返し申し上げておきたい」と述べ、他国の領域での集団的自衛権の行使は中東のホルムズ海峡での機雷の掃海活動以外は念頭にないという認識を示しました。
そして、安倍総理大臣は民主党の緒方政策調査会副会長が「南シナ海でも機雷の掃海がありうるのか」などと質問したのに対し、「ホルムズ海峡の場合は日本にやってくるうち8割の石油があの狭い海峡を通過し、封鎖されてしまったらあそこ以外には出口がない。南シナ海においてはさまざまなう回路はありうる」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「いちいち地域を今、断定的に申し上げることは差し控えたい。外交にも差し障りがあり、基本的には安全保障上の対応は事細かに事前に設定してしまって、柔軟性をすべて失ってしまうことは避けたほうがよい」と述べました。
維新の党の江田前代表は、周辺事態法を重要影響事態法に改正し、外国軍隊に対する後方支援で自衛隊の活動範囲を拡大することについて「『かくかくしかじかで具体的な危険が出てきたから広げる』と変えるほうに挙証責任がある。『絶対、起こらないとは限らないから』と言って法律は改正できるのか」と批判しました。
これに対し、安倍総理大臣は「南シナ海において、ある国が例えば埋め立てをしている。しかし、さまざまな出来事が起こっているなかで、今、具体的に法律の対象にするということは言及を控えたい。可能性があれば法律を使えるようにして、将来、起こらなければそれに越したことはない。いざという時に備えることも大変重要だ」と述べました。
また、安倍総理大臣はアメリカ以外の外国軍隊も支援の対象とすることを巡り、「アメリカ以外に豪州を挙げたのは、格段に関係が進み、相当の防衛協力や情報分野の協力も進んでおり、日米豪3か国で行動することもありうるなかで、日米安全保障条約の目的に資する場合も当然ある」と述べました。
共産党の志位委員長は集団的自衛権の行使について、「最大の問題は武力行使の新3要件を満たしているかどうかの判断が、時の政権に任されており、事実上、無限定に広がるおそれがあるということだ。アメリカが先制攻撃を行った場合でも新3要件を満たしていると判断すれば集団的自衛権を発動することがありうるのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「いかなる場合に新3要件を満たすことになるかは事態の個別具体的な状況に即し、政府がすべての情報を総合して客観的、合理的に判断することになる」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「同時に、国連憲章上、武力攻撃の発生が自衛権発動の前提となることから、仮に、ある国が何ら武力攻撃を受けていないにもかかわらず違法な武力行使を行うことは、国際法上、認められていないので、わが国が自衛権を発動してそのような国を支援することはない」と述べました。
一方、安倍総理大臣は、集団的自衛権の行使が可能になる存立危機事態を巡って「わが国に戦禍が及ぶ蓋然性は戦いによる武力攻撃が発生して、それに起因する禍(わざわい)が発生するということだ」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は、ホルムズ海峡での機雷の掃海活動に関連して「単に石油が止まったらというわけではなく、国民が被る深刻性、重大性も総合的に判断する。石油を求めて戦争をすることは全くない」と述べました。
これに関連して、中谷大臣は「国民の生死に関わるような深刻、重大な影響が生じるかを総合的に評価して存立危機事態に該当するかを判断する。必ずしも死者が出るということを必要とするものではない」と述べました。

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