安保審議:首相、前のめり 防衛相への質問にも答弁

毎日新聞 2015年05月27日 22時02分(最終更新 05月27日 22時14分)

衆院平和安全法制特別委員会で安全保障関連法案についての質問に答える安倍晋三首相=国会内で2015年5月27日午前11時49分、望月亮一撮影
衆院平和安全法制特別委員会で安全保障関連法案についての質問に答える安倍晋三首相=国会内で2015年5月27日午前11時49分、望月亮一撮影

 戦後日本の安全保障政策を転換する安保関連法案の本格審議が27日、衆院特別委員会で始まった。「わかりやすく丁寧な説明を心がける」と26日の本会議で誓った安倍晋三首相だが、一方的にまくし立てる答弁が多く、質問した野党議員らは「議論がかみ合わない」と嘆いた。

 首相の「前のめり」が目立ち始めたのは午前10時40分、民主党の大串博志議員の質問が始まってから。大串氏が自衛隊員の安全対策について中谷元防衛相にただしたところ、なぜか首相が挙手した。

 「大臣に聞いてるんです」「大臣、大臣!」。叫ぶ大串氏を尻目に、首相はしゃべり続ける。野党議員が首相答弁を求めて紛糾することはよくあるが、逆は珍しい。

 午後3時25分、維新の党の柿沢未途幹事長の質問に首相が答え始めた。「自衛隊が現実に活動する期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる……」。公式見解の繰り返しに野党席がざわつき始めた。すると首相は顔を紅潮させ、「静かに聞いてくださいよ」「学校で習いませんでしたか?」と声を荒らげた。この前後に民主党幹部らが浜田靖一委員長に詰め寄り、浜田氏は「簡潔な答弁を」と首相に注意せざるを得なかった。

 「とにかくかみ合わない。なぜ法整備を急ぐか聞いても『安全保障環境の変化』と漠然とした話しかしない」と、質問した松野頼久・維新の党代表は振り返った。同党は「是々非々」を掲げるが、報道陣に「反対せざるを得ない?」と問われ、松野氏は「これで採決ということになればね」と渋い表情で言った。【樋岡徹也、日下部聡】

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