足尾銅山:鉱毒被害の資料館オープン 群馬・太田

毎日新聞 2015年05月27日 21時38分(最終更新 05月27日 21時44分)

一般公開が始まった太田市足尾鉱毒展示資料室で、鉱毒による農地汚染の経緯を示したパネル展示に見入る来場者=群馬県太田市飯塚町の市学習文化センターで2015年5月27日、阿相久志撮影
一般公開が始まった太田市足尾鉱毒展示資料室で、鉱毒による農地汚染の経緯を示したパネル展示に見入る来場者=群馬県太田市飯塚町の市学習文化センターで2015年5月27日、阿相久志撮影

 足尾銅山(栃木県)による鉱毒被害を伝える資料を展示する「足尾鉱毒展示資料室」が27日、群馬県太田市飯塚町の市学習文化センター内にオープンし、一般公開が始まった。1958年以降、銅山から流出したカドミウムなどの重金属類による農地汚染をめぐり、企業責任の追及や農業被害の損害賠償を求める運動の中核を担ってきた「渡良瀬川鉱毒根絶太田期成同盟会」の取り組みを中心に常設展示し、鉱毒事件を後世に語り継ぐ。

 栃木県には既にこうした展示施設があるが、下流の群馬県では初めて。展示品は昨年12月に93歳で亡くなった期成同盟会の板橋明治・前会長が保管していた資料類など39点。「原爆の図」で知られる画家、丸木位里・俊夫妻の水墨画「足尾鉱毒の図」6部作も2作ずつ各4カ月展示する。汚染のあった毛里田(もりた)地区で1983年に収穫された小麦、水稲の現物もある。6月までは火、木、土曜日にボランティア解説員が資料について説明する。期成同盟会の薗田丑雄会長(89)は「鉱毒問題は永遠に続く闘い。いつ終止符が打たれるかわからないが、今後も足尾銅山跡地の調査や緑化、渡良瀬川の清流を取り戻す運動に取り組み続けたい」と話した。展示室は月曜休み、無料。【阿相久志】

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