安倍晋三首相肝いりの安全保障関連法案の本格審議が27日、衆院平和安全法制特別委員会で始まった。法案成立なら、自衛隊員のリスクが高まることが懸念される中、イラク特措法やテロ特措法に基づき、これまで現地に派遣された自衛隊員が帰国後、自殺したケースが54人(14年末時点)にのぼることが分かった。
共産党の志位和夫委員長の質問に、防衛省が、陸自21人、空自8人、海上自衛官が25人と内訳を述べた。原因を特定するのは一般的に困難との認識を示したが、志位氏は、派遣との因果関係は否定できないと指摘。「戦死者は出ていないが、犠牲者が出ていないわけではない。深刻な数字だ」と述べ、「非戦闘地域での活動でも、これだけの若者が犠牲となり、心の傷を負っている。活動範囲が拡大すれば、はるかに超える負担と犠牲を強いるのではないか」と首相に迫った。
首相は「胸の痛む話だ」として、「(隊員は)現場でリスクを負いながら、任務をまっとうするため全力を尽くしている。今までの活動を比べる中で、非戦闘地域の概念を非戦闘現場とあらためたが、隊員は安全が十分に確保された所で活動し、戦闘になる危険性があれば退避する」と説明。志位氏は「総理はリスクを語ろうとしない。自衛隊の活動範囲をこれまでの戦闘地域に大幅に拡大しながら、隊員の安全確保を言うのは自己矛盾。ブラックジョークのたぐいだ」と、批判した。