照ノ富士、口上堂々!平成生まれ初大関“狙っ照”最速綱昇進
日本相撲協会は27日、東京・両国国技館で名古屋場所(7月12日初日、愛知県体育館)の番付編成会議と臨時理事会を開き、関脇・照ノ富士(23)=伊勢ケ浜=の大関昇進を満場一致で決定した。照ノ富士は東京・江東区の部屋で行われた伝達式での口上で四字熟語を使わず「今後も心技体の充実に努め、さらに上を目指して精進いたします」と述べた。年6場所制となった1958年以降、最速となる大関2場所での横綱昇進へ意欲を示した。
いつものドヤ顔が緊張で引き締まった。午前9時56分。照ノ富士は協会からの使者、友綱理事(元関脇・魁輝)と桐山審判部員(元小結・黒瀬川)を迎えた。「今後も心技体の充実に努め、さらに上を目指して精進いたします」。カメラの音にかき消されそうな小声で「おかみさんと親方と相談して決めた」という口上を堂々と述べた。
使者が来る40分以上も前に会場を訪れ、うろうろ歩き回って緊張を隠せない。直前まで一緒に口上の確認をしていた師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は「もうちょっと大きい声で、はっきり言ってほしかった」と注文をつけたが、照ノ富士は「この3日間ずっと(練習を)やってた。緊張したけど、うまくできてよかった」と満足そうだった。
口上には新たな目標を込めた。「さらに上を目指して頑張りたい」。狙うのは、もちろん横綱昇進。「横綱は『なりたい』と言ってなるものではない。自分で選ぶのではなく、神様が選ぶもの。選ばれるように努力して頑張りたい」。過去、大関に昇進したモンゴル出身の先輩4人は全員、綱を張った。照ノ富士は期間の明言は避けたが、年6場所制となった1958年以降では北の湖、千代の富士、朝青龍の3場所を抜く、初の大関2場所通過での横綱昇進も視野に入れているはず。北の湖理事長も「大関を守るのでなく、横綱になるという気概を持って頑張ってほしい」と期待した。
6月中旬には、厳しさで知られる部屋恒例の大阪合宿が待ち受ける。照ノ富士でさえ2年連続で涙を流したほどで、伊勢ケ浜親方は「1回くらい泣かそうかな。(指導は)もっと厳しくなるでしょう」と予言。苦笑いの新大関は「この上は一つしかない」と決意を新たにした。平成生まれ初の大関が、頂点への階段を一気に駆け上がる。(安藤 宏太)
◆照ノ富士の大関昇進記録
▽スピード昇進 初土俵から所要25場所は、1958年の年6場所制以降初土俵では3位(幕下付け出しは除く)。新入幕から所要8場所は昭和以降8位タイ、58年以降新入幕では3位タイ。三役在位2場所と新三役から2場所での昇進は、58年以降では初。昭和以降では51年5月場所の吉葉山以来で3位タイ。
▽外国出身 照ノ富士は10人目。モンゴル出身では朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜に続き5人目。
▽平成生まれ初 1991年(平成3年)生まれで平成生まれ初の大関。