Updated: Tokyo  2015/05/28 09:55  |  New York  2015/05/27 20:55  |  London  2015/05/28 01:55
 

東電、中部電:豪州産石炭の購入を抑制へ-自由化控えコスト削減

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  (ブルームバーグ):東京電力中部電力 が火力発電用燃料の調達などで提携するために設立したJERA(ジェラ)は、発熱量の高い高品位の豪州産石炭の調達比率を引き下げる。2016年の電力小売り自由化を控え、韓国などの取り組みを踏襲して発電コストを削減し競争力を強化する。

JERAの垣見祐二社長は26日のインタビューで、石炭の調達について「1つの国に集中しているのではなくて、できる限りいろんな国に分散していく」と述べ、米国やコロンビア、南アフリカを調達先の候補に挙げた。

発電所の機能向上で利用可能な石炭の種類が低品位の石炭に広がったことに加え、中部電力が同社傘下の中電エネルギートレーディング・シンガポール(CETS)とフランス電力 燃料調達部門のEDFトレーディング(EDFT)との間の石炭取引の提携でノウハウを蓄積し、調達能力を高めたことが背景にある。

13年度の豪州炭比率は東電の87%に対し、海外企業との提携で先行した中部電の比率は49%にとどまった。発電用石炭の調達量でアジア最大の韓国電力は豪州の高品位炭への依存度を下げることで価格の低減において先行。今後石炭火力発電所の建て替えや新設により年3000万トン(13年度の単純合算値1900万トン)へと調達量の拡大を見込むJERAとしても、同様の取り組みでコスト削減につなげたい考えだ。

垣見社長は、豪州炭依存度を下げた韓国の例を挙げ、発電単価で競っていくためには「日本の電力も必然的にそういうふうにしていかないと」と述べた。また1トン当たり60ドル前後で推移する現在の石炭価格が底との見方を示し、価格上昇リスクを回避するために、石炭調達量の1-2割に相当する量の炭鉱の権益を確保する戦略は「十分合理的」との考えも明らかにした。

欧州大手と提携も

液化天然ガス(LNG)では、米国からのシェールガス由来のLNG輸入が始まる17年末から18年までに、東京とテキサス州ヒューストンの2拠点を足がかりに海外の需要家にもLNGを販売するトレーディング事業の体制を構築する方針。欧州市場参入への足場を確保するため、EDFTのほかGDFスエズイーオンRWE といった欧州トレーディング大手との協力も検討しているという。

両社は今年10月にそれぞれの燃料トレーディング事業をJERAに移管する。LNG取引については現在東電の傘下にあるTEPCOトレーディングに、石炭は中部電傘下のCETSに機能を集め、それぞれの調達力向上に加え、価格変動リスクへの対応能力を高める。LNGのトレーディングをめぐっては、東京ガスもヒューストンを拠点に参入を検討している。

JERAは、既存の火力発電所を除くすべての事業資産が同社に移管される16年夏までに、将来の事業や資金調達の計画を策定する予定。垣見氏は大規模な投資が必要となる新規の発電事業では、プロジェクトファイナンスなどを組成して、自社の出資金を軽減させたい考えも示した。中東やアジア、北米を中心に海外の発電所出力の持ち分を4倍に伸ばす考えだという。JERAは、国内外で現状の7400万キロワットから将来的に1億キロワットに拡大する目標を掲げている。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 占部絵美 eurabe@bloomberg.net;東京 稲島剛史 tinajima@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Pratish Narayanan pnarayanan9@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 岡田雄至, 中川寛之

更新日時: 2015/05/28 02:00 JST

 
 
 
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