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 「キャラメル公園」「帰りしな公園」ってどこ? 地元住民だけが知る愛称や思い出をきちんとデータ化して保存しようと、大阪市立住之江図書館の司書相宗大督(あいそうだいすけ)さん(40)が、街の「思い出のこし」に取り組んでいる。住民から思い出や愛称を集め、図書館で関連資料を補足した「思い出カード」を作る。「小さな思い出も集まれば立派な歴史になる」と思うからだ。

 「思い出のこし」のやり方はとても簡単。住之江図書館にある「思い出書き込み用紙」に、「あの公園は○○と呼ばれていた」「あの角にあったうどん屋がおいしかった」と、心に残る思い出や名所、どの場所でいつごろの出来事かを書き記し、職員に手渡す。

 相宗さんら司書は、図書館所蔵の資料や古い新聞から、思い出に関連した記事や文章を探し出す。資料を補足して「思い出カード」を完成させ、それを地区、時代ごとに分けて館内の特設コーナーで保管し、来館者に読んでもらう。

 長年司書として勤務する相宗さんは、利用者の要望に沿った資料を紹介する「レファレンスサービス」で、郷土の思い出を詳述した資料や地域の詳しい変化を年代別で記した資料がないか、よく聞かれていた。

 図書館所蔵の資料を探すと、地域の簡単な変遷を記した行政資料ばかりで、地域の暮らしや細かい変化を記したものがほとんどない。「図書館こそ、地域の暮らしや人々の息づかいを残すべきではないか」と考えた相宗さんは2013年から、前任の市立住吉図書館で「思い出のこし」を始めた。昨年からは異動先の住之江図書館で取り組む。

 集まった思い出をひもとくと、地域の人たちのいろんな表情が見える。顕著なのは公園の愛称だった。