本誌編集次長 近藤大介
先週号で報じたように、北朝鮮がとんでもないことになってきた。32歳の世界最年少の国家指導者は、世界最悪の暴君と化した。日本も対岸の火事では済まない北朝鮮有事の「Xデー」が迫っている。
温厚で剛毅な軍人だった
「玄永哲人民武力部長(国防大臣)とは、一緒に酒を酌み交わしたりしただけに、処刑されたと聞いて強い衝撃を受けました。やはりよく面倒を見てもらった張成沢党行政部長が、1年半ほど前に処刑された時に続くショックでした。
玄永哲は、北朝鮮の軍人には珍しく、オレがオレがというところがない温厚な性格の男です。部下にも慕われ、酒の強い剛毅な軍人でした」
こう述懐するのは、金正日ファミリーのもとで13年間を過ごした「金正日の料理人」藤本健二氏である。
5月13日、韓国政府の情報機関である国家情報院が、韓国国会の情報委員会に衝撃的な報告をした。
「北韓(北朝鮮)の玄永哲人民武力部長が4月30日頃、反逆罪の汚名を着せられて銃殺された。金正恩第一書記は、周囲の幹部たちに対する不信感を強め、次々に粛清するという恐怖政治に邁進している……」
本誌は先週号で、金正恩第一書記の「鶴の一声」で、このところ幹部たちが立て続けに処刑されており、金正恩政権が大きく動揺していることを報じた。そんな中で、北朝鮮最高幹部の一人である玄永哲人民武力部長が犠牲になった可能性が出てきた。
国家情報院関係者が語る。
「金正恩は第一書記に就いた'12年以降、これまで84人もの幹部を粛清してきました。だが最高幹部となると、'12年7月の李英浩軍総参謀長、'13年12月の張成沢党行政部長に続いて、今回の玄永哲人民武力部長が3人目です」
1949年生まれの玄永哲人民武力部長は、17歳で入隊し、「金正恩と一心同体」だった朝鮮人民軍のナンバー2である。'10年9月に、金正恩が「金正日総書記の後継者」として公式デビューした際、金正恩とともに朝鮮労働党の中央委員となり、朝鮮人民軍の大将となった。
'12年7月に金正恩が、軍の実質上のトップだった李英浩総参謀長を電撃的に粛清した際には、玄永哲は「最も信頼される男」として、後継の総参謀長に就任した。そればかりか、同時に軍の最高意思決定機関である党中央軍事委員会の副委員長、及び大将から次帥に昇進を果たしたのだった。
ところが同年秋には、玄永哲は次帥から大将に降格。翌'13年5月には、総参謀長を解任されてしまった。軍人の亡命者が続出した責任を取らされたなど諸説あるが、降格された真相は定かでない。
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