アクティブユーザー数が3億人を超えたInstagram。今、最もクリエイティブなプラットフォームとして多くの人に利用されています。そして多くの企業がInstagramをマーケティングの一環として活用し、ステキな写真をアップすることで、ユーザーの心を掴んでいます。
こうした中、Instagramをキャンペーンに利用するという動きも多くなっています。今回は、基本的なキャンペーンの方法と国内の事例をいくつか紹介し、その後海外で実施されている一捻りあるキャンペーンの事例を紹介していきます。
トライしやすいInstagramキャンペーンの基本型
Instagramのキャンペーンの基本が以下のスタイルです。
- アカウントをフォロー + 指定したハッシュタグをつけて写真をアップして参加完了
- 参加者から当選者を選び、Instagramダイレクト(Instagram内でプライベートメッセージを送信する機能)を使って当選のお知らせ
参加方法がわかりやすく、参加者を気軽に集められることから多くの企業がこのスタイルのキャンペーンを実施しています。募集する写真のテーマ、プレゼントの商品をその企業らしくすることで、ユーザーとのエンゲージメントを深めることができます。
ファンがアップした写真は見た人に共感を呼びやすく、ファンのコンテンツを通じて多くの人に見てもらうことができます。また、特定のトピックについて、多くの人に参加してもらうことで、話題を作ることができます。
参考にしたい国内の事例
国内でもすでにたくさんのキャンペーンが実施されています。そのうち、キャンペーンサイトが確認できるいくつかを紹介しましょう。
- シュウウエムラのキャンペーン。ネコまたはネコのメイクの写真をアップすると、写真がネコのモザイクの一部になる。
http://brand.shuuemura.jp/shupette/
- ニューバランス ジャパンのキャンペーンで、自分とスニーカーの写真を撮影して「#nbsneakerandme」というハッシュタグを付けてアップ。モデルので三戸なつめさんが「カワイイ!」と選んだ方にプレゼントが当たる。
http://sneakerandme.jp/pc/
- アパレルブランドのロペピクニックとメリーズチョコレートのコラボキャンペーン。「#ピクニックバレンタイン」のハッシュタグをつけて、ロペピクニックのアイテムをアップすると、チョコレートがもらえる。
http://www.ropepicnic.com/special/marys_2015/
2015年、Instagramのキャンペーンはもっとクリエイティブに
さて、こうした基本的なキャンペーンスタイルに加えて、海外の企業ではもっと大胆なキャンペーンを実施しています。ユーザーにコンテンツを作ってもらったり、参加者にプレゼントがあるキャンペーンではありませんが、話題を作ったり、認知度を上げるといったところで効果があります。
Instagramで「ゲーム」:トルコのビスケットの会社
トルコのビスケットの会社Biskrem では、Instagramを使った先進的なキャンペーンとしてInstagramの機能を駆使したゲームを実施しました。
ストーリーとしては、Biskremが消滅してしまったので、Instagramユーザーがビスケットづくりの困難を乗り越えながらBiskremを発明するということになっています。
同社では、このゲームのために、70以上の写真と動画をアップ、さらにマルチエンディングに対応するための17のアカウントを用意しました。ユーザーはゲームを進めるためには、写真、動画、地図、タグ付け、検索、ダイレクトメッセージといった機能を使いこなさなければなりません。
キャンペーンの結果、フォロワー数850%アップ、9,990 いいね、 9,658のポジティブなコメントを獲得しました。
紹介動画はこちら。
参考記事
These Guys Built An Adventure Game On Instagram
動画にタップでしてもらうことで心肺蘇生のキャンペーン:ハンガリー赤十字
ハンガリーでは、1日70人が心臓停止で命を落としていますが、多くの場合心肺蘇生をすれば救うことができます。そこで、ハンガリーの赤十字では、心肺蘇生の啓蒙とトレーニングを行いました。
その活動の1つとして、Instagramに心臓発作の人の動画シリーズをアップしました。ユーザーに動画をタップしてもらい、心肺蘇生の技術で発作を起こした人を救うというしかけにしました。ユーザーは動画に「いいね!」したことになり、動画を拡散させます。
以下の動画を見るとわかりますが、動画にあわせてタップすることで、Instagramの「いいね!」のハートと連動して、心肺蘇生の動作をイメージさせます。 最後に「心肺蘇生は思っているよりも簡単だ」というメッセージが表示されます。
参考記事
#LikeForLife Teaches You The Importance Of CPR On Instagram
アカウントをユーザーに貸出!アメリカン・エキスプレス
アメリカン・エキスプレスでは、なんとグラフィックデザイナーやシェフ、水着の会社のオーナーなどにアメックスを使っている人に、自社のInstagramアカウントを使って2週間投稿してもらうというキャンペーンです。このキャンペーンでは、#MyAmexというハッシュタグを使って、それぞれの人にライフスタイルやアメックスがビジネスにどんな影響を与えているかを伝えるコンテンツをアップしてもらいます。
結果、通常の投稿よりも23%高いエンゲージメントを獲得し、この期間だけで1,000万インプレッションを獲得しました。短期間いえどもアカウントを貸し出すので、綿密な計画と参加者選びが必要です。
参考記事
How To Get 10 Million Instagram Impressions In Two Weeks
Instagramユーザーが写真をアップ!同じ目線で楽しめるメルセデスベンツのキャンペーン
メルセデス・ベンツのGLAは広いカーゴスペースが自慢。このカーゴスペースに何を入れてドライブするかをInstagramにアップするというキャンペーンが2014年夏に開催されました。
このキャンペーンでは、写真家やメイクアップアーティストなどInstagramで人気の一般ユーザーを起用し、GLAを貸出しカーゴに荷物を積んだ写真をアップしてもらっています。ユーザーは、自分がフォローしているInstagrammerの写真でGLAの特徴を知り、自分もキャンペーンに参加できます。
メルセデス・ベンツでは、過去にもインフルエンサーを起用して、ベンツの低価格モデルのプロモーションを実施しています。過去のキャンペーンでは、実際に若い世代に購入され、ブランド市場もっとも若いオーナーグループを獲得しました。
参考記事
http://digiday.com/brands/mercedes-benz-uses-instagram-sell-cars-millennials/
人気読者モデルも参加することでキャンペーンの認知度アップ
5月末日まで開催中の大幸薬品・正露丸のキャンペーンでは、みんなのかばんの中身をアップしてもらうというもの。キャンペーンのタイトルは「Instagram写真投稿キャンペーン」ですが、InstagramだけでなくTwitterでも応募可能で、参加条件としてTwitterアカウントのフォロー、当選はTwitterのダイレクトメッセージでお知らせという仕組みになっています。
さてこのキャンペーンでは、アップする写真のお手本として、人気読者モデルがそれぞれのInstagramアカウントから自分のかばんの中身の写真を投稿しています。彼女たちのかばんの中身には正露丸糖衣Aのかわいいケースが入っています。
一般のユーザーが応募する写真には正露丸が含まれている必要はありませんが、読者モデルの方の写真にはさりげなく正露丸が入っています。
彼女たちがハッシュタグを付けてアップすることで、自然にユーザーのフィードに入り、さらにその写真をきっかけにキャンペーンの認知にもつながります。読者モデルという、身近でいながら憧れの存在を起用することで、キャンペーンの参加を促しています。
まとめ:できるところから始めよう
ハッシュタグをつけて写真をアップしてもらうというオーソドックスなキャンペーンから、海外の画期的なキャンペーンまでを紹介しました。海外のキャンペーンは大胆かつ繊細な計画に基づき、企画されていますね。
皆さんもこれからInstagramでのキャンペーン企画にぜひ参考にしてみてくださいね。
株式会社深谷歩事務所代表取締役。ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、講演活動、動画制作も行う。またフェレット用品を扱うオンラインショップ「Ferretoys」も運営。
著書
『小さなお店のLINE@集客・販促ガイド』(翔泳社)
『SNS活用→集客のオキテ』(ソシム)
『小さな会社のFacebookページ制作・運用ガイド』(翔泳社)
『小さな会社のFacebookページ集客・販促ガイド』(翔泳社)