【ジュネーブ=原克彦】スイスの司法当局は27日、収賄や資金洗浄などの疑いで国際サッカー連盟(FIFA)の幹部らを逮捕した。米当局の要請を受けた措置で近く逮捕者の身柄を米国に引き渡すとみられる。FIFAはワールドカップ(W杯)の開催地決定で汚職疑惑が取り沙汰されており、29日の会長選挙にも影響する可能性がある。スポンサー企業の反発も予想される。
スイス当局の声明によると、スポーツ関連メディアやプロモーション会社が大会のスポンサー契約や放映権を巡り、FIFAと関連団体の関係者に合計で1億ドル(約120億円)以上を供与していた。犯罪行為は米国内で行われ、1990年代前半から現在まで続いていたとしている。
逮捕した人物の名前は明らかにしていないが、米ニューヨーク・タイムズ(電子版)によるとFIFA副会長2人が含まれている。AP通信は「ブラッター会長は逮捕されておらず、関与もしていない」とするFIFA側のコメントを報じた。
幹部らはチューリヒ中心部のホテルで逮捕された。FIFAは28~29日に総会を開く予定で、本部を置くチューリヒに関係者が集まっていた。
FIFAは昨年から、2022年W杯の開催地がカタールに決まる前に関係者が賄賂を受け取っていたと英国などで報道されている。14年12月には調査に当たった倫理委員会の調査部門トップがFIFAにより報告書が大幅に修正されたことなどに不満を表明して辞任する騒ぎに発展した。
29日の会長選では5選を目指すブラッター会長に現副会長のヨルダンのアリ・フセイン王子が挑む。ブラッター氏の再選が有力視されていたが、幹部逮捕で流れが変わるかが焦点になる。
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