日本考古学協会:「高尾山古墳の保存を」異例の会長声明

毎日新聞 2015年05月25日 20時24分(最終更新 05月25日 21時57分)

静岡県沼津市が取り壊しを決めた高尾山古墳=市文化財センター提供
静岡県沼津市が取り壊しを決めた高尾山古墳=市文化財センター提供

 ◇沼津市教委「苦渋の決断」で「古墳取り壊す」発表

 日本考古学協会(高倉洋彰会長)は25日、古墳時代初頭に築造された高尾山古墳(静岡県沼津市東熊堂)が市の都市計画道路建設で取り壊される恐れがあるとして、保存を求める会長声明を発表した。同協会が保存を求める声明を出すのは、2005年の高松塚古墳(奈良県明日香村)、08年の鞆(とも)の浦(広島県福山市)以来。一方、沼津市教委は同日「苦渋の決断」として古墳を取り壊すと発表した。

 同協会によると、高尾山古墳は、3世紀前半(230〜250年)築造とみられ、卑弥呼の墓とも言われる箸墓(はしはか)古墳(奈良県桜井市)より古い可能性がある。全長62.2メートルの前方後方墳で、弘法山古墳(長野県松本市、全長63メートル)と並び東日本で最古・最大級。国道246号と国道1号を結ぶ都市計画道路予定地内にあったが、沼津市は09年度以降、工事を凍結していた。

 同協会は声明で「初期国家形成過程の画期的な古墳。国民共有の文化遺産として将来にわたり保存・活用されるべきもの」と主張。これに対し沼津市の工藤達朗教育長は「可能な限り遺構保存を考えたが総合的に判断した。会長声明は非常に重いが、再検討は考えていない」と話した。【石川宏】

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