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安全保障関連法案 実質的な審議始まる
5月27日 21時01分

安全保障関連法案 実質的な審議始まる
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安全保障関連法案は、27日から衆議院の特別委員会で実質的な審議が始まり、野党側は各党の党首が相次いで質問に立ちました。安倍総理大臣は、集団的自衛権の行使容認などの法整備について、海洋進出を活発化させる中国を念頭に、南シナ海や東シナ海で起こっていることを考えると、軍事バランスを保ち、抑止力を利かせていくことが大切だと強調しました。
後半国会の焦点となる安全保障関連法案は、安倍総理大臣も出席して、27日から衆議院の特別委員会で実質的な審議が始まりました。
この中では、集団的自衛権の行使を可能にする必要性や、集団的自衛権の行使容認によって、専守防衛という基本方針が変わるのかなどを巡って論戦が繰り広げられました。
自民党の高村副総裁は、「安倍総理大臣は、『一般に海外派兵は行わないが、ペルシャ湾での機雷掃海は例外的に認められる場合がある』と述べた。一般の方が少し心配するかもしれないのが、『例外にあたる場合がそんなに中東であるか』ということだが、私はほかに例外は想定できないと思っている」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は、「武力行使の新3要件にあてはまれば、法理上ありうると、今まで申し上げてきたが、この第3要件の『必要最小限度の実力行使にとどまるべき』というのは非常に厳しい。第3要件をクリアするものも、そう、おそらくないと思うが、特に第1要件では、『わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険』ということなので、現在、ほかの例というのは念頭にはない」と述べ、中東地域での集団的自衛権の行使は、ペルシャ湾のホルムズ海峡での機雷の掃海活動以外は想定していないという考えを示しました。
民主党の長妻代表代行は、集団的自衛権の行使について、「多くの人から『専守防衛は変わらないと国会答弁で聞いたが、専守防衛は日本を守ることで、変わったのではないか』と言われる。従来は『わが国が攻撃を』と読んだが、今後は、『わが国もあるが、密接に関係する他国も入れる』と定義が変わっているのではないか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は、「今般の整備にあたって専守防衛という考え方は全く変わりがない。武力行使の新3要件のもとで許容される武力行使は、あくまでも自衛の措置としての武力の行使に限られており、第1要件を見れば自明の理だ。わが国に対する武力攻撃、あるいは、わが国と密接な他国に対する武力攻撃が発生したことによって、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険を防衛するというのは専守防衛だ」と述べました。
また、長妻氏は、「国連の安全保障理事会などに集団的自衛権行使の事例が報告されていると思うが、他国の領域でない形で行使された例はどのくらいあるのか」と質問しました。
これに対し、岸田外務大臣は、「国連に報告されている14件の集団的自衛権行使の例を見るかぎりは、それぞれ陸上での行使がほとんどのようだ」と述べ、ほとんどが他国の領域で行使されていると説明する一方で、「公海のみで集団的自衛権が行使されることは、事態によっては十分考えられる」と述べました。
維新の党の松野代表は、「『夏までに法改正を必ずやる』と言って、国民の皆さんには、ものすごく急いでいるように見える。集団的自衛権の解釈を変えて法改正しなければいけないような事態が本当に起こっているのか。もしあるならば、急いで法案の審議に協力する。特段なければ、じっくりとやるべきだ」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は、「危機が起こらないと自信を持って言えるのであれば、こんな法律をつくる必要はない。起こらないようにするためにこそ、法整備をする」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は、海洋進出を活発化させる中国を念頭に、「集団的自衛権の行使の容認についても、アジア・太平洋地域の特定の国の名前を何回も挙げることはしないが、軍事力を増強している国がある。南シナ海や東シナ海で起こっていることのなかで、しっかりとした軍事バランスを保っていくことによって、平和と安定を維持し、抑止力を利かせていく。間違っても相手側に何か隙があるように思わせないことが大切で、やるべきことをやっていかなければならないと決意している」と述べました。
また、27日の質疑では、外国軍隊に対する後方支援で、自衛隊の活動範囲を拡大することを巡っても論戦が繰り広げられました。
自民党の高村副総裁は、周辺事態法を重要影響事態法に改正し、地理的な制約がないことを明確にすることについて、「日本の平和と安全に重要な影響がある事態は、一般に言えば、近くで起きたときのほうが蓋然性は高く、遠くに行くほど、だんだん低くなってくる。ただ『遠くでは絶対にない』と言えないので、まぎらわしい『周辺』ということばをとったと解釈してよいか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は、「わが国に近い地域で重要影響事態が起こる蓋然性は、相対的に高いと考えられるが、これに限られるわけではない。安全保障環境の変化も踏まえて、重要影響事態と改めたもので、『近いか、遠いか』ではなく、わが国の平和と安全に重要な影響をもたらす事態かどうかが判断基準になるのは当然だ」と述べました。
民主党の岡田代表は、「機敏に活動することができないと言うが、もっと近くまで行ってやりたいのだけど、できなかったという意味なのか。だから、『非戦闘地域』という概念を取り外し、現に戦闘が行われていない地域であればできるように変えたということか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は、「自衛隊による実際の活動経験や、諸外国の活動実態といった現実に即した検討を行った結果、現に戦闘行為が行われている現場以外で行う補給や輸送などの活動は、他国の武力行使と一体化するものではないと判断した。攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことは、従来といささかの変更もなく、活動に参加する自衛隊員のリスクを高めることは考えていない」と述べました。
共産党の志位委員長は、「自衛隊が行う弾薬の補給、武器の輸送等の後方支援・兵たんが、格好の攻撃対象になるというのは軍事の常識だ。自衛隊は攻撃されないという保証でもあるのか。自衛隊自身が攻撃される可能性を否定できるのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は、「その可能性が100%ないと申し上げたことはない。新たな仕組みのもとでも、部隊の安全等を考慮して、今現在、戦闘行為が行われていないというだけではなく、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定することになる。だからといって、絶対にないわけではないので、その時には部隊の責任者が判断して一時休止する。あるいはその後、退避するという判断は当然、行わなければならない」と述べました。

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