ロシア:強襲揚陸艦2隻購入を断念 仏に損害賠償請求へ
毎日新聞 2015年05月27日 12時22分(最終更新 05月27日 17時39分)
【モスクワ杉尾直哉、パリ宮川裕章】ロシア政府の軍事産業委員会(議長・プーチン大統領)のボチカリョフ参与会(事務局)副代表は26日、ロシアがフランスに注文していたミストラル級強襲揚陸艦2隻の購入を取りやめたと述べた。ロシアは2011年に注文していたが、昨年のウクライナ危機で欧米諸国が対露制裁を科す中、フランスが引き渡しを延期していた。ロシアは仏側に損害賠償を請求する構えで、仏政府は対応に苦慮しそうだ。
契約額は12億ユーロ(約1605億円)とされる。極東ウラジオストクとウクライナ南部クリミア半島に配備する計画で、日本は、極東への配備に懸念を表明していた。
ロシアは、専用の港湾施設をウラジオストクに建設しており、そうした投資への損害賠償を含めた請求をする考えとみられる。
一方、フランスでの報道によると、仏海軍で使用する際は装備を全て仏軍仕様に改修する必要があり、数億ユーロの追加費用がかかり、「選択肢として仏海軍への編入は現実的でない」(フィガロ紙)とみられている。
仏メディアは転売先の候補としてエジプトやカナダ、中国などの国名を挙げている。最も安価な解決策は沈没処分だが、建造に携わった労働者などの抵抗が大きいという。