実はアレも!意外と知らないラコステ創業者が発明した4つのコト
蒸し暑い夏がやってくると、ポロシャツが恋しくなるのは私だけでしょうか?なんといってもその代表格はフレンチブランドの「ラコステ(LACOSTE)」。今夏も多彩な新作が店頭に並んでいるようです。とはいえ、どんなポロシャツを選んだら良いのかは考えものですよね。そんな疑問に応えるべく立ち上がったのが、今回のプチ連載!まず、そもそも何故ラコステのトレードマークはワニなのか?ブランドのルーツを探ります。
(その1)ラコステといえば、ワニ
「ラコステのトレードマークといえば?」――正解は、ワニ。正答率は恐らく100%、世界で最も知られたロゴのひとつと言われるくらい、これほどブランドとロゴが密接に結びついているファッションブランドは他に無いと言っても過言ではないでしょう。
それでは、「何故ラコステのトレードマークはワニなのか?」――この質問だといかがですか。知っている人はどのくらいいるでしょうか?時代を遡ってこの問いの答えを辿っていきましょう。
このワニのロゴが生まれるきっかけになったのは、ブランド設立から約8年前の1925年。当時フランス代表として活躍していたルネ・ラコステというテニスプレーヤーが、オーストラリアの強豪アンダーソンとの決勝直前、フランスチームのキャプテン、ピエール・ジルーと「ワニ皮のスーツケース」をご褒美に試合の勝敗を賭けたことがきっかけです。惜しくもルネ・ラコステは敗退してしまったのですが、このやり取りがアメリカ・ボストンのジャーナリストの耳に入り、「ラコステはワニ革のスーツケースを手に入れることは出来なかったが、その戦いはワニのようだった」と評価。ルネ・ラコステが試合で見せるねばり強いプレイスタイル、「くらいついて放さない」並外れたれた集中力、どんなプレイにも動じない落ち着きから、ルネ・ラコステはアメリカ、フランスにてワニの愛称で呼ばれるテニスプレーヤーになったそうです。
1927年春に開催されたデビスカップでは初めて、46色の糸でワニのマークを刺繍した白いブレザーを羽織ってルネ・ラコステがテニスコートに登場。その直後、これに身を包んだルネ・ラコステはフォレスト・ヒルで全米チャンピオンのトロフィーも獲得し、多数のメディアより注目を集め、脚光を浴びることになります。
この試合を含む全仏オープンを3度制した世界的テニスプレーヤーのために、ワニのデザインを描いたのはロベール・ジョルジュという友人。大きく口を開け、4本の足でしっかりと踏んばるワニの姿は、その後、全英オープンにて2回、全米オープンにて2回優勝を果たしたルネ・ラコステの賞賛をたたえ、現在までそのデザインを受け継ぎ、ラコステブランドのメッセージを象徴するものとなっているそうです。
(その2)ポロシャツの生みの親
ルネ・ラコステは偉大なテニスプレーヤーであると同時に、優れた事業家・発明家でもありました。そのひとつが、テニス用の新しいスポーツシャツとして生まれ、80年以上たった現在まで変わらないスタイルを誇る定番ポロシャツ「L.12.12」。現在では豊富なカラーバリエーションや高品質にこだわった永遠の定番アイテムとなっています。
1920年代までテニスコートで男性が着用していたのは、白の布帛シャツとロングパンツという機能的とは言い難い組み合わせ。しかもシャツは張りのある生地で長袖、前立ては下までボタンが付いていたとのことで、当時いかに動きにくい装いで試合が行われていたか、またテニスが上流階級の格式あるスポーツであったかを伺わせますね。
(その3)最大の「発明」は鹿の子編みの生地
ルネ・ラコステが何を改良したのか。その最大のポイントは生地にあります。1932年、同氏はフランスの大手繊維企業を経営するアンドレ・ジリエに会い、その1年後、高湿度で炎天下の試合でも動きやすく通気性の良い鹿の子編みの半袖シャツを開発。これが現在のすべてのポロシャツの原点であり、「ラコステ」ブランドが誕生するきっかけとなりました。
こうして1933年に「ラコステ」というブランドは誕生。当時のルネ・ラコステは、ピッチング用ボールマシンの開発、ラケットやガットの改良などで多くのアイデアを形にしてきた人物でもありました。設立当初はテニスウェアをルーツに持つポロシャツの販売を中心にブランドを拡大させ、1950年代以降、本格的にファッション業界に進出することになります。
(その4)業界初、左胸のワンポイント刺繍を採用
実は、ラコステのワニの登場はもう一つ新しい世界を切り開いています。それは、「ファッションの世界で初めて、服の外側に、それも胸の上に堂々とロゴをあしらった」ということです。それまでプジョー(Peugeot)のライオンなど他業界ではロゴ露出はすでに始まっていましたが、ファッション業界では服の内側やタグに隠されていたのです。創業者で実父にあたるルネ・ラコステから会社を引き継ぎ、40年以上にわたり代表を務めたベルナール・ラコステは生前、「ラコステの本当のオリジナリティは、初めてロゴを服の表に出したことだ」と語るなど同社の中でも画期的なことだったことがわかりますね。現在ではどのブランドでも当たり前のように左胸に施されたワンポイントロゴも、偉大な名テニスプレーヤーであり、発明家として活躍したルネ・ラコステによるものだということは、あまり知られていないのではないでしょうか。
いかがでしたか?意外に知られていないラコステの誕生秘話。ご参考になりましたら幸いです!