石松恒
2015年5月26日20時59分
安倍政権が今国会での成立を目指す安全保障関連11法案が26日に審議入りし、衆院本会議で代表質問が行われた。集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」の判断基準について、安倍晋三首相は「国民生活に死活的な影響が生じるか否かを総合的に判断する」として、単なる経済的な影響では該当しないと述べた。さらに「武力行使の新3要件」を満たせば、他国の領域でも集団的自衛権を行使できるとの見解を示した。
首相はこれまで、日本への石油供給ルートにあたる中東のホルムズ海峡が機雷で封鎖されれば、「経済的なパニックが起こる」と指摘。「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険(存立危機事態)」があるなど「武力行使の新3要件」を満たす可能性があると訴えてきた。政府は昨年7月の閣議決定で憲法解釈を変更し、新3要件を満たせば、日本への武力攻撃がなくても、集団的自衛権を行使できるとしている。
この日の答弁で、首相は「単に国民生活や国家経済に打撃が与えられたことや、生活物資が不足することのみで存立危機事態に該当するものではない」と説明。ホルムズ海峡の機雷封鎖で、生活物資や電力の不足によりライフラインが途切れることなどで、「国民の生死に関わる深刻、重大な影響」が生じるかどうかが判断基準になるとした。
さらに、首相は「海外派兵は一般に自衛のための必要最小限度を超え、憲法上許されない」と述べつつ、機雷の除去は認められるとの考えを強調。「水中の危険物からの民間船舶の防護を目的とするもので、受動的かつ限定的な行為。外国領域であっても、新3要件を満たすことはあり得る」と答弁した。
首相は集団的自衛権を行使できる例として、機雷除去と邦人輸送中の米艦防護に加え、新たに北朝鮮を念頭に置いた有事を挙げた。首相は「我が国近隣において米国に対する武力攻撃が発生。攻撃国は我が国をも射程に捉える相当数の弾道ミサイルを保有し、我が国に対する武力攻撃の発生が差し迫っている」状況を例示。「弾道ミサイルによって甚大な被害を被る明らかな危険がある」として、存立危機事態に該当しうると説明した。
また、国連平和維持活動(PKO)協力法改正案で海外での治安維持活動が可能になることに伴い、アフガニスタンで米軍主体で組織され、多数の犠牲者が出た国際治安支援部隊(ISAF)のような組織に、自衛隊は参加できるかどうかも問われた。首相は「(反政府勢力)タリバーンを殲滅(せんめつ)、掃討するような活動を行うことはできない」と明言した。(石松恒)
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