文字サイズ変更

  • 標準
  • 拡大
地理院ホーム  > 研究開発  > 地理地殻活動研究センター  > 地殻変動研究室  > 2015年4月25日ネパールの地震に伴う地殻変動 最終更新日:2015年5月20日

2015年4月25日ネパールの地震に伴う地殻変動

合成開口レーダー(SAR)解析による地殻変動

作成:2015-04-30 最終更新日:2015-05-20 English

地殻変動の特徴

2015年4月25日にネパールでMw7.8(USGS)の地震が発生しました。日本の地球観測衛星「だいち2号」(ALOS-2)に搭載された合成開口レーダー(PALSAR-2)のデータを干渉解析して、地震に伴う地殻変動を検出しました。

5月17日までに観測されたデータから、以下のことが分かりました。

【地殻変動の特徴】
- 本震について -
  • 地震に伴い10cm以上の地殻変動が見られる領域は、カトマンズ北方を中心として、東西160km程度、南北120km程度の範囲に広がっています。変動域の南部では衛星に近づく変位、北部では衛星から遠ざかる変位となっています。
  • カトマンズの北方から約30km東方にかけての領域が最も地殻変動が大きく、最大で1.2m以上変位したことがわかりました。地震に伴い大きく隆起したと考えられます。
  • 4月25日の本震に伴う地殻変動が見られる領域と余震域とは調和的です。
  • 地表地震断層の出現は明瞭には認められません。
- 余震について -
  • 5月12日の余震(Mw7.3、USGS)により最大で70cm以上変位したことがわかりました。この余震は、本震時に大きく滑っていない領域で発生したと考えられます。(干渉画像(1))

【断層モデルの推定結果】
  • カトマンズの北東20-30kmの領域の直下に、最大4m超の滑りが推定されました。
  • やや右横ずれ成分を含む逆断層滑りが推定されました。この結果は、地震波の分析とも整合しています。
  • 推定されたMwは7.9 (地震モーメント:8.2×1020 Nm)です。
  • 滑りの中心域は、震源から東南東に約80kmの位置に推定されます。本震から西側には大きな滑りが見られないことから、破壊は主に東方向に進んだと考えられます。

なお、今回の結果は速報であり、今後より詳細な分析等により、今後内容が更新されることがあります。

干渉画像

(画像をクリックすると拡大表示できます。)
(2)

(1) (3)(4) (5)

  観測日 観測時間
(UTC)
衛星
進行
方向
電波
照射
方向
観測モード*1 入射角 垂直
基線長
KMZ*2
(1) 2015/05/03
2015/05/17
06:13頃 南行 広域観測(Normal)
広域観測(Normal)
32°-42° -103m 高解像度(4.9MB)
(2) 2015/04/05
2015/05/03
06:13頃 南行 広域観測(Normal)
広域観測(Normal)
26°-50° +3m 低解像度(2.6MB)
高解像度(38.5MB)
(3) 2015/02/21
2015/05/02
18:16頃 北行 高分解能(10m)
高分解能(10m)
33°-39° -120m 高解像度(3.8MB)
(4) 2015/03/31
2015/04/28
05:59頃 南行 広域観測(Normal)
広域観測(Normal)
41°-50° +82m 低解像度(1.2MB)
高解像度(10.2MB)
(5) 2015/02/17
2015/04/28
05:59頃 南行 広域観測(Normal)
広域観測(Normal)
41°-50° +241m  

*1 参考: ALOS-2プロジェクト/PALSAR-2(JAXA)
*2 お使いの環境によっては、ファイルをダウンロードする際に拡張子の.kmzが.zipに変換されてしまう場合があります。その場合はダウンロードしたファイルの拡張子を.kmzに書き換えて下さい。
解析:国土地理院   原初データ所有:JAXA
本成果は、地震予知連絡会SAR解析ワーキンググループの活動を通して得られたものです。

 
 

震源断層モデル

地震概要

【本震】
地震発生日時 2015年4月25日 11:56(現地時間)、2015年4月25日 15:11(JST)
2015年4月25日 06:11(UTC)
震源位置 28.147°N, 84.708°E 深さ:15.0 km(USGS, 2015年4月30日現在)
マグニチュード Mw=7.8 (USGS, 2015年4月30日現在)
死者数 8,700人超 (余震含む、2015月5月17日現在)
【最大余震】
地震発生日時 2015年5月12日 12:50(現地時間)、2015年5月12日 16:05(JST)
2015年5月12日 07:05(UTC)
震源位置 27.837°N, 86.077°E 深さ:15.0 km(USGS, 2015年5月20日現在)
マグニチュード Mw=7.3 (USGS, 2015年5月20日現在)

分析に使用した人工衛星

日本の地球観測衛星 「だいち2号」(ALOS-2)

広報・講演・論文発表

広報・講演・論文発表一覧(準備中)

このページの内容・画像を引用・転載される方へ

リンク・引用・転載は自由ですが、出典を明記してください。引用・転載の場合には、速やかに、引用先・転載先をお知らせください。

問い合せ先


 室   長  矢来 博司(YARAI Hiroshi) 029-864-6925
 主任研究官  小林 知勝(KOBAYASHI Tomokazu) 029-864-6156
 研 究 官  森下 遊 (MORISHITA Yu) 029-864-6549

ページトップへ