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【東京】

写真で見る 迫力の反戦彫刻 明治大駿河台キャンパスで写真展

「戦争と人間」をテーマにした大西さんの写真パネルが並ぶ展示会場=千代田区の明治大駿河台キャンパスで

写真

 沖縄戦の悲劇が描かれた巨大彫刻「戦争と人間」を題材にした写真展が、千代田区の明治大駿河台キャンパスで開かれている。撮影したのは、写真家の故・大西忠保(ただやす)さん。大西さんの妻で、展示を企画した杏子(きょうこ)さん(67)=渋谷区=は「夫が反戦平和への願いを込めた作品。今も米軍基地問題に揺れる沖縄を応援したい」と話している。

 「戦争と人間」は、反戦活動を続ける沖縄県在住の彫刻家金城実さんが、十年がかりで完成させた全長百メートルの連作。地上戦が展開された沖縄戦の悲劇や、銃剣とブルドーザーによる米軍の土地接収、抵抗する人々をレリーフや彫像で表現した。

 原爆が投下された広島や沖縄をテーマに撮影を重ねていた大西さんに、金城さんが撮影を依頼。二〇〇七年、大西さんは病を押して長時間の野外撮影に臨み、作品が持つ怒りや悲しみを浮き彫りにした。

 三年前に六十五歳で亡くなったが、戦後七十年を機に、母校の明治大カメラクラブや友人の協力で、今回の写真展が実現。アカデミーコモン一階の会場に五十点を展示した。福島と沖縄から日本を考える「おらがふるさとを返せ」と題した金城さん制作の木彫も出品されている。

 二十三日には金城さんも来場し、「自分の手を離れて大西さんの作品になった」と語って才能を惜しんだという。

 杏子さんは「沖縄の七十年は苦難の歴史だった。沖縄を愛した夫の写真を通じ、思いを寄せてもらえれば」と話している。入場無料。二十九日まで。 (安藤恭子)

 

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