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【社会】

「9条守れ」歌声は力 反戦歌詞に市民合唱団

2015年5月26日 13時55分

 「歌声は平和の力」を合言葉に、首都圏の市民らでつくる「絹の道合唱団」が三十一日、東京都武蔵野市の武蔵野市民文化会館でコンサートを開き、憲法九条を歌詞にしたオリジナルの合唱組曲など全十六曲を披露する。安倍政権が成立を目指す安全保障関連法案は二十六日午後に国会審議入り。団員らは「法案や憲法九条の改悪にNOを突き付けるうねりにつなげたい」と話す。 (鷲野史彦)

 ♪ 武力による威嚇又(また)は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 ピアノの音色に合わせ、平和への願いを込めた歌声が響いた。十九日夜、日野市に集まった団員たちは、レクイエム「いのちこそ」の練習を続けた。

 いのちこそは、五曲から成るオリジナルの合唱組曲。これまでの戦争で命を絶たれた人への鎮魂や、近隣諸国を侵略した日本の歴史への反省を歌った後、終曲の五曲目で憲法九条の条文を合唱し、朗読する。代表の渡辺昌子さん(83)=八王子市=は「二度と戦争を起こさないという思いを込めた歌です」と話す。

 満州事変があった一九三一年生まれの渡辺さんは、宇都宮市に住んでいた太平洋戦争末期、空襲で自宅が全焼した。「戦時中は物や食べ物がなくなり、灰色の時代だった」。平和への願いを合唱を通じて訴えようと、八七年に絹の道合唱団を設立。九四年に作曲家の池辺晋一郎さん、詩人の故土井大助さんに依頼し、いのちこそを作った。

 団員は、都内や埼玉、神奈川などの四十人。六十代を中心に、学生や二十代の会社員のほか、沖縄出身者や戦争で親族三人を亡くした八十代の戦争体験者もおり、多摩地区を中心に、二年に一度のペースでコンサートを開いてきた。

 いのちこそは組曲全てを歌うと約三十分かかるため、最近のコンサートでは一部だけを披露。だが、安倍政権の安保関連法案の動きを受け、今回は十三年ぶりに組曲全てを歌う。

 また、沖縄の基地問題をテーマにした新曲も合唱する。二〇一〇年の沖縄の全戦没者追悼式で、地元の女子高校生が、基地がある日常を変えたいという願いを込めて朗読した自作の詩に曲を付けた。合唱の指揮は横山琢哉さんが務める。

 渡辺さんは「安保関連法案は自衛隊の海外派遣はもちろん、なし崩し的に戦争や憲法九条の改悪につながる。反対のうねりを盛り上げ、平和への願いを次世代につなげるため多くの人に聞いてほしい」と語る。

 コンサートは、午後四時開演で約二時間。チケットは大人二千八百円、高校生以下と障害者は千五百円。問い合わせは広報担当の片山操子さん=電090(4272)0210=へ。

(東京新聞)

コンサートに向けて練習する絹の道合唱団の団員ら=東京都日野市で

コンサートに向けて練習する絹の道合唱団の団員ら=東京都日野市で
 

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