阿久津篤史、増田創至
2015年5月27日05時04分
女子柔道強化選手への暴力問題をきっかけに、2014年1月に開設した日本スポーツ振興センター(JSC)の暴力相談窓口の受付件数が、今年3月末までの1年余で4件にとどまっていることが分かった。同センターは「事案がないのか相談しづらいのか、実態を聞きたい」として、五輪強化選手とパラリンピック出場者計約400人を対象にアンケートを実施する。
窓口は、国内トップ選手を対象としている。日本オリンピック委員会(JOC)が13年3月に窓口を設けていたものの、「JOCは競技団体に近く、中立な窓口が必要」として開設された。相談はメールのほか、職員が週3回、平日午後に3時間、電話で受け付ける。内容は弁護士や臨床心理士らで構成する「相談・調査委員会」に上げられて調査。暴力やセクシュアルハラスメントなどが認められれば、当事者や競技団体、統括団体に指導、勧告する。JSCは4件の内容を明らかにしていないが、いずれも対象外だったとしており、委員会の対応は一度もなかった。
こうした現状に、スポーツ選手の暴力の相談・調査制度を検討する文部科学省の有識者会議の座長、友添秀則・早大スポーツ科学学術院長は「実際の事案がこんなに少ないはずはない」と指摘。窓口の周知不足のほか、「相談すれば個人が特定されるという恐れが背景にあるのではないか。スポーツ界の体質も原因だ」と話している。
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