安保関連法案:議長が苦言するほどヤジ応酬…大丈夫か審議

毎日新聞 2015年05月26日 22時11分(最終更新 05月27日 01時29分)

衆院本会議で安保関連法案が審議入りし、答弁する安倍晋三首相(中央)=国会内で2015年5月26日午後1時44分、宮間俊樹撮影
衆院本会議で安保関連法案が審議入りし、答弁する安倍晋三首相(中央)=国会内で2015年5月26日午後1時44分、宮間俊樹撮影

 国会は、本当に政府の「歯止め」になるのか。戦後日本の安全保障政策を大転換する安保関連法案が、衆院本会議で審議入りした。一連の法案が成立すれば、国会は自衛隊海外派遣の承認、不承認を決める大きな権限を持つ見込みだ。しかし、議長が苦言を呈するほどのヤジの応酬となる一方、途中で離席する議員も目立ち、不安を抱かせるスタートとなった。【樋岡徹也、日下部聡、川崎桂吾】

 「質疑者の発言が、国民の皆様にしっかり伝わるよう、静粛な議論を求めます」

 開会から1時間20分後の午後2時20分、大島理森議長が壇上から注意した。民主党の枝野幸男幹事長の質問が終わった直後だった。

 枝野氏の質問では、発言の節目に民主党席から拍手が上がり、対抗するかのように自民党席からのヤジが激しくなった。枝野氏の声のトーンもそれにつれて上がる。

 自民党席の最前列にいる大隈和英議員が大声を上げ、隣の大西宏幸議員も机をたたきながら何か叫んでいる。だが、騒然としていて聞き取れない。

 本会議終了後、大西氏に尋ねると「そんなことがどうして言えるのか」という趣旨のヤジを飛ばしたという。「(枝野氏が)否決ありきみたいな言い方をしていたんでね。でも今回は(私は)おとなしかったですよ」

 大隈氏にもヤジの内容を確認しようと事務所を訪ねたが、「時間がない」(秘書)と取材に応じなかった。

 一方、安倍晋三首相の答弁には、民主党席から「抽象的な答弁するな」「空理空論の極み」とヤジが飛んだ。

 しかし、このころを境に議場から緊張感が薄れていく。枝野氏の次に質問に立った維新の党の太田和美副幹事長が、「(安保法制が)紛争を助長することにならないか」と発言すると、「ならないって」と自民党席から男性のヤジが飛び、笑いが広がった。

 開会から2時間40分が経過した午後3時40分、最後の質問者となった共産党の志位和夫委員長には、ヤジはほとんどなかった。

 審議が始まった時点では全議員475人の9割以上が出席していた。だが、午後2時過ぎに枝野氏の質問が始まると、自民党議員数十人が議場から出て行った。枝野氏の質問が終わると、民主党議員の離席も目立ち始め、与野党を問わず出入りが多くなった。

 議場の外では携帯電話で話す議員、トイレからの帰りにスマートフォンをいじる議員、長椅子で同僚と談笑する議員が目立つ。隣接する議員食堂では、何人かの議員が支持者らとあいさつを交わしていた。

 国会は、自衛隊の海外派遣を憲法違反と判断すれば承認しないこともできる。だが、実際にできるのか。

 控室から議場に戻ろうとしていた民主党の長島昭久議員は、民主政権時代に副防衛相を経験している。質問に一瞬考え込んで「憲法との整合性だけでなく、具体的なリスクなど微妙な議論が求められる」。

 民主党の長妻昭議員はこの日の騒然とした審議が終わった後、感想を聞かれ「用語を混同したような答弁があった。(答弁が)雑だったな」と言った。

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