【コラム】「新たな貴族」の誕生

 「アメリカン・ドリーム」は色あせているとはいえ、まだ米国では「小川から竜が生まれる」ケースをたびたび目にできる。個人の努力で生まれながらの条件を覆せる機会が、少ないながらも存在している。

 ところで韓国はどうだろうか。同じ調査でトップ200人にはいった韓国の富豪3人は、いずれも「世襲の富豪」だった。保健社会研究院によると、昨年の低所得層の貧困脱出率は22.6%にとどまり、この8年間で最も低かった。「貴族」ではない平凡な若者たちは、自らを、恋愛・結婚・出産を放棄した「3放世代」と称する。「世襲資本主義」が不平等を深刻化させたと主張するフランスの経済学者、トマ・ピケティの著書『21世紀の資本』が、韓国で出版されてからわずか1週間で4刷になるほど人気を集めている理由も、こういう状況と無関係ではないだろう。

 新貴族の誕生自体を防ぐことはできない。しかし、少なくとも、生まれながらの条件を変えるチャンスは断たれてはならない。断ち切られた身分上昇の階段をどうやって再び整備するのか、考えてみるべき時だ。

呉允熙(オ・ユンヒ)国際部記者
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