「命懸けのスリルを味わって楽しみたければ、韓国で車を運転すればよい」。これは数年前、『タイム』誌に実際に掲載された記事だ。2012年に経済協力開発機構(OECD)が発表した国別の交通事故統計によると、人口10万人当たりの死亡者数は韓国が10.8人で、32カ国中最も多かった。また自動車1万台当たりの死亡者数は2.4人で2番目だった。歩行者死亡率はもっとひどい。韓国は人口10万人当たりの歩行者死亡率が4.1人だが、オランダとノルウェーは0.4人、スウェーデンとフィンランドは0.5人だ。つまり韓国は歩行中に交通事故で死亡する確率がこれらの国々と比べて8-10倍も高いということだ。
歩行者死亡率が高い根本的な原因は、交通政策の優先順位で「歩行者の安全」よりも「車の円滑な流れ」が高いからだ。例えば韓国は1秒当たり1メートル歩くことを基準に、横断歩道を渡る場合の青信号は3分の1に到達した時点で点滅するように設定されている。すると歩行者は焦って「次の青信号まで待とう」とは思わず、急いで渡ろうとするため危険にさらされるのだ。
日本は1秒当たりおよそ0.5メートル歩くという基準で横断歩道の青信号の長さを設定しており、点滅の時間は比較的短い。韓国も横断歩道の青信号を設定する際、歩行者の歩く速さを1秒当たり0.5メートルとし、点滅が始まるのを横断歩道の5分の4ほど過ぎた時点とした上で、点滅時間も今より短くすべきだ。ドライバーも横断歩道がある場合は歩行者に配慮して徐行しなければならない。