軍事転用可能な炭素繊維を中国へ不正に輸出したとして、兵庫県警外事課は26日、兵庫県芦屋市の貿易会社「ポリケミカルズリミテッド」の会長、近藤正二容疑者(75)=同県西宮市松ケ丘町=ら3人を外為法違反の疑いで逮捕した。
同課によると、原材料としての炭素繊維の不正輸出の摘発は全国でも初めて。
逮捕容疑は2010年1月、国の許可を得ずに日本製の炭素繊維約3500キログラムを大阪港から韓国・釜山を経由して中国に不正に輸出した疑い。3人は韓国への輸出許可を得ており、「(炭素繊維が)韓国に行くことは知っていたが、中国に行くとは知らなかった」と容疑を否認している。
同課によると、炭素繊維は軽く丈夫で、ミサイルやロケットに軍事転用されるおそれがあるほか、ウラン濃縮用の高性能遠心分離機に不可欠な材料として輸出が制限されている。
不正輸出先の中国江蘇省の商社はホームページ上で海外企業や軍需産業との取引があるとしており、同課は慎重に捜査を進める。
ほかの逮捕者は、同社社員、三宅憲夫容疑者(57)=神戸市須磨区高倉町=と輸出入業仲介業の種佐真容疑者(66)=大阪府泉佐野市南中安松=の2人。
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