DV:男性相談0件 男女同率57%経験なのに… 群馬
毎日新聞 2015年05月25日 16時04分(最終更新 05月25日 21時55分)
◇「弱音吐けない」意識に原因?
ドメスティックバイオレンス(DV)の男性被害者の相談に応じようと、群馬県が昨年12月に専用電話を設けたにもかかわらず、24日現在で相談が一件も寄せられていない。県人権男女・多文化共生課は男性のDV被害が表面化しにくいことについて「女性が被害者とのイメージが強く、男性側が被害者であることを認識していないケースや、相談しづらいことなどが主な原因ではないか」と分析している。【吉田勝】
県は2011年、県民2000人を対象に「男女間の暴力に関する実態調査」を実施。その結果、被害経験があったと回答したのは、男女とも57%で同率だった。このうち、「包丁などの刃物を突き付けたり、振り回したりされた」は女性1・9%、男性1・8%とほぼ同率だった。
県はDVの男性被害者が潜在的にいることを把握したものの、「対応方法が確立されていない」などの理由から相談窓口の開設を見送っていた。しかし、他の都道府県に比べて対応の遅れが指摘されたことを受け、昨年12月に初めて相談専用電話を開設。1件だけ男性から相談があったが、「加害者の定義」についてたずねる内容で、被害相談ではなかったという。
県が昨年行った県民意識調査では、加害、被害を含めたDV相談を「どこにも相談しなかった」とする回答が女性45・4%に対し、男性は66・7%と上回った。相談しない理由としては、「相談するほどのことではないと思うから」が女性40・7%、男性63・6%だった。
県人権男女・多文化共生課は、DV被害を受ける男性が相談に慎重な理由について「男性に『大したことない』とか『男が弱音を吐けない』との意識があるためではないか」と話す。男性被害者の相談専用電話は、027・263・0459(受付時間は毎月第2、第4水曜日午後2時半から午後4時まで)。
一方、神奈川県は04年度に男性被害者相談窓口を開設した。当初、10件だった相談件数は右肩上がりで上昇。13年度には118件になった。これ以外に加害などの相談も227件に上り、昨年11月には加害者の相談にも対応するための窓口を新設している。