慶應にいった高校の同級生ハルちゃんにそっくりな天使が僕が住むマンションの一室に来た。
僕の住んでる部屋は北向きの一階で景色はとても高い擁壁とブロック塀が迫っている。
自分の精神状態の悪化に加担していた、どうしようもないくらいの部屋の暗さは天使の羽の白さを映えさせた。
天使の声はハルちゃんと同じように少しかすれたアニメ声だった。
「どうして、こんなに嫌いな街に住んでいるの?」
「ふーん」
天使はベッドに座っていた。やはりハルちゃんと同じように大きな臀部の持ち主だった。
僕のiPhoneの壁紙はハルちゃんだ。慶應大学に受かったマナちゃんのツイッターが鍵がかかる前に保存していた写真だ。最近は、はにかんだ壁紙を見るたびに腹が立っていた。
天使にドリップコーヒーを出した。その後、僕はありとあらゆる不満を言った。
早慶に行った奴のことを考えると苦しくなるとか、美人が憎いだとか、自分の腎臓は出来損ないだとか、自分は容姿が醜いから祝福をうけていないだとか。
天使は赤黒い肌の少しの膿と大量の脂を噴き出している凹凸だらけの肌を持つ僕の顔をひたすら見て聞いていた。
「ありとあらゆることが苦しいから救ってよ。天使なんだろ。。。」
「ごめんなさい 私じゃできないの」いい慣れているのか、簡単に言った。だけど、言ってる時の顔は苦しそうだった。
僕は言い返した。
「僕は実家は比較的裕福だ。4年間で800万の金蔓学部の学費だって親はすぐに払ってくれる。もしかしたら嫉妬されているかもしれない。でも、僕はそれに気づかないし、嫌なことをされてるとも感じない、金は今のところなくなっていない そんなものだ」
オスのひよこのように祝福を全く受けないといってもいい存在もいる。それに比べたら僕はずっと贅沢なのだろう。
だけど、苦しい。
今ですらみんなから容姿がキモイと言われているのに、年をとったらどうなってしまうのだろう。
「神様っているの?もしいるなら、酷いやつじゃないか?」
「きっと、神様は私達の苦しみに気づいていないだけよ。申し上げれば気の毒にって思ってくださるわ。そうしたら。。。だから、出来る限り生きて。。。」
「オスのひよこでも、キモいおじさんでも、小児病院にいた染色体からの出来損ないでも、僕でもかい?」
「ええ、きっとそうよ。。。だから、出来る限り生きて、それでも嫌だったら死んでいきましょ。。。。」