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三話
アクアレインの大商人パルツァーとの取引が成功した事により、三郎は僅か数週間ほどで、商人としての知名度が急激に上がるようになった。外海からの出身の商人で、外海の珍しい商品と貴重な調味料も扱い、実用的な頑丈な武器も揃えていると知れ渡るや、直ぐに買い求めようと三郎の商品を扱っているパルツァー系列の店に、殺到するようになる。このため嬉しいくらいに商品が売れるために、パルツァーは、ホクホク顔らしい。因みに三郎はアクアレインで宿無しはきついと感じて今は、それなりに大きい建物を購入して、三郎とミキは、アクアレインの拠点を手に入れた。
この惑星の文明レベルに合わせたように、生産力の限界点を見極めながら商売していたときであった。今日も次の新しい商品をいつ出そうかと考えていた時に、三郎の屋敷に訪問する人物が複数現れた。いつもなら商談でパルツァーが来るのだけなのに、全く知らない人物たちであった。
「通しますか?」
ミキは、三郎に判断を求める。三郎は特に相手が、そんな非常識めいた人物ではないそうなので屋敷にいれるように指示した。訪ねてきた人物たちは、アーメル連合国以外の国から来た商人であった。
「アーメル連合国の商人ばかりに商品を売るのは、どうかと思いますよ」
先ず、一言がこれである。その後に、パルツァーの紹介状を三郎に渡す。
「いえ、自分もアーメル連合国だけに商品を売る事を限定していたわけでは、ありません。ご存知かもしれませんが、自分は外海から来たため他の国の商人と接点がないために、どうしても初めは商売範囲を限定せざるおえなかっただけです。」
「ならば我々にも商品を売っていただけると?」
「無論です。ですが缶詰などは、ある程度は量も出せますが、他の商品は外海の伝手なので、輸送費の事も考えますと、まだまだそんなに量は提供できませんよ」
「出来ればたくさん売ってくださるとありがたいですが、仕方ありませんな。」
商談の休憩の為に、三郎は客人にミキや他のアンドロイドに、お茶や茶菓子を持って御もてなしするように言う。この惑星に和菓子がないため、インパクトを与えるために和菓子の羊羹を出した。
「変わったお菓子ですな」
「羊羹といいます。自分の故郷では普通に食べられるお菓子ですよ」
「味と触感は独特ですが、これはこれで美味しいですな。出来ればこれも商品として買えませんかな」
「まだ、本格的に作る工場がないため無理ですね。これは、ミキが作りかたを知っている為に出せたものですので」
「残念です」
残念そうな表情で羊羹を口の中にいれる商人たち。どうやら本当に気に入った様子であった。
「自分も出来る限りは数は提供したいですが、三日後にはパルツァー殿の入荷する分が既に決まっていますので、今現在の量は、これが限界です」
そう言って三郎は、商品名と数の総量が書いてある紙を商人たちに渡した。後は、そっちで勝手に交渉してくれという意思表示であった。その後は、商人たちの激しい商談が展開された。
「この数で缶詰を入荷したい!既にロメロ王国軍に、沢山の数を提供すると言ってしまったのだ!」
「いや、貴族様より私兵軍専用に新しい剣や槍が欲しいと注文が殺到してきているんだ!」
「俺の所だって同じだ!」
お互いに激しい口調で話し合う。互いの利益を多く得るためと、お得意様の機嫌を損ねたくないので、これだけの数は欲しいと、誰もが譲らなかったが、それでも二時間が経過すると互いに妥協点を見つけあって商談は成立した。その後は、ホクホク顔で帰っていく商人たち。
「いつの時代も珍しい商品に飛びつくのは、商人の本能みたいなものだな」
「そうですね」
激しい口調の商談を遠くで見ていた三郎とミキは、国や惑星や文化が違いがあろうとも商人の基本スタイルは、何処も一緒であると納得いく表情で呟くのであった。
ーーー。
その後、三郎の商売は拡大していく。商人たちが次々と三郎の商品に飛びついて、三郎も更に販売量を増やすが、表向きに用意した船で輸送して運び、表向きに購入した工場で生産するにも限界が近づいてきた。その気になれば、いくらでも対応できるのだが、それをすれば流石に怪しまれてしまうので、商品は直ぐに完売してしまうが、それに対応する数が揃わない事が続いていく。商人たちよりもっと数を提供してくれと言われているが、アクアレインの工場や行き来する船の表向きの生産量や搭載量が限界であるために、無理なものは無理であると三郎は突っぱねるしかなかった。そんなふうに商売範囲が広くなったので、最近では企業スパイなどの増えてきた為に、それに対する対策も必要になってきたが、そこはアンドロイドのミキ達が三郎の命令で駆除してくれるので、三郎は商人たちの商談に集中することが出来た。
購入した工場では人も増えていき、表向きの工場の生産量増加に一役買っていた。無論、最終工程は第九艦隊に積んでいる最新科学の無人機械なのだが、それは地下深くに作った場所に厳重に管理している為に見せていなかった。無論、それは雇っている従業員も知らない事だであり、三郎自身が「最重要企業秘密」と言っているために突っぱねる事が出来た。実際に三郎の商社は払いが他の所よりよく、働く時間も決まって残業代と休日出勤分の給料もしっかりと出して、休暇もちゃんと決まっている為に、従業員の受けは良いので従業員は特に気にする様子がなかった。
順調に商売が繁盛しているときに、またもや珍しい客が三郎の屋敷に訪れてきた。
「私の名は、イリーナ。アーメル連合国の姫です。」
何と一国の姫君が訪問してきたのである。これには三郎は驚きの表情に変わるのであった。
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