2015年05月25日 更新

ヨーロッパが惚れ込んだ知られざるお酒、アブサンに迫る

アブサンの歴史

錬金術師、スピリチュアルな切り口から考察していくと、古代ギリシャ時代に遡るという歴史あるアブサンだが、お酒に詳しい方以外を除いては、まだあまり認知されていないのではないだろうか。近代のお酒として飲まれ始めた起源に着目すると、もともとヨーロッパ地方に野生しているキク科のニガヨモギを主原料として薬草を使ったリキュールである。このお酒の起源は、18世紀末にスイスの医師がニガヨモギを蒸留させて、独自の処方を考案、後に、フランスの大手酒販企業のペルノ社が商品として製造し始めた。リキュール類の中でもくせのある味や、色味など当時のフランスを中心に一世を風靡するほど注目されたのがアブサンだ。

とりわけ、アブサンならではの飲み方があり、ここでは代表例を取り上げてみたい。一つは角砂糖にアブサンを垂らし、まるでコーヒーのように水を使ったドリップ式での飲む方法。これはアブサンはストレートで飲むと、アルコール度数が高く、苦味もきついので余程のツワモノでないと、飲めないからである。

もう一つは、アブサンを飲むのに適した専用のグラスとスプーンが存在しており、スプーン状に角砂糖を置き、アブサンを垂らし火をあぶる。すると、薄暗い場所でのみ確認できる不思議な青白い炎があがり、角砂糖の適当な溶け具合を見計らい火を消し、グラスをかき混ぜて飲む方法。こちらは、どことなく、昔の理科の実験でやったべっこう飴作りに似たようであるが、アブサンには印象深い飲み方や背景があり、人々の記憶に残るお酒として広まっていった理由の一つとなっているようだ。

芸術家も愛したアブサン

アブサンの持つ独特の雰囲気や、飲み方などが話題を呼び、19世紀のヨーロッパ地方には街角で今でいうカフェバーのような喫茶店で愛飲されるようになった。その中で、著名な芸術家にも広まっていき、アブサンの持つ魅惑の味を体感しインスピレーションをもらい、作品として昇華させていった。誰もが知っているであろう、ゴッホやモネ、ドガなどが愛飲し、アブサンをテーマにした作品を残している。

なぜ、これほどまでに芸術家を魅了していったのであろうか。少し科学的な視点から分析してみると、ニガヨモギの香味成分であるツヨンという成分が脳に向精神作用効果を与え、いわゆる一種の高揚感、普通のお酒では味わえない感覚、ハイになる状態になる。一説には飲む麻薬、マリファナなどとも言われており、一種の中毒症状を喚起させ、愛飲家達の間では爆発的に人気になったのではないかとされる。音楽や芸術に携わっていると、こういった高揚感から新たな作品へのアイデアが生まれ、後世に語り継がれるような作品を生み出した。

製造中止から復活、そして現代の味を嗜むアブサンへ

アブサンの禁制化については、前記したアブサンの持つ向精神作用効果が、時に幻覚症状や錯乱、中毒性を引き起こす可能性があるとして、19世紀末にコンゴ共和国を筆頭に欧州での製造が中止される。果たしてそこが問題かは諸説あるようだが、この事実に対して、都市伝説のように小説や錬金術との関連性を記したものも多く存在する手前、ここまで人々の関心を集め、話題になるお酒もそう多くはないだろう。

次に復活したのは1981年にWHOが主成分のツヨンの使用基準が見直され、以前に比べツヨン含有量を少なくすることを条件に販売が許可され、ここ日本でも取り扱うバーも出てきた。それでもまだまだ数は少ないのが現状であり、まさに知る人ぞ知るお酒なのである。
また余談だが、あの有名な文豪の太宰治も、当時の日本の酒造メーカーが製造していた和製アブサンを愛飲家であったといわれている。アブサンについて様々、情報や説があるが、一度実際の舌でその独特の味を試してみてはいかがだろうか。筆者が飲んだ感想はというと、アルコール度数が異常に高く、テキーラとも違う不思議な感覚が口元で残っていた印象を受けたので、参考にして頂けたら幸いである。

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