静岡地裁の再審開始決定で昨年三月に釈放された袴田巌さん（７９）が静岡県警に逮捕された際の取り調べを録音したテープの中に、弁護士が袴田さんに接見しているとみられる会話が含まれていた問題で、袴田さんの支援団体が二十日、盗聴に関する抗議申し入れ書を県警に提出した。

　「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」など八団体でつくる「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」が西川直哉本部長宛てに提出した。

　捜査機関に話の内容を知られずに弁護士と接見できる接見交通権を侵害した疑いがあるとして「卑劣な違法捜査だ」と批判し、袴田さん本人や関係者への謝罪を要求。「盗聴は事実か」「誰の指示だったか」などを質問し、三十日以内に回答するよう求めている。県警刑事企画課の担当者は「今後、回答できるか検討する」とコメントした。

　県庁で会見した支援者の寺沢暢紘（のぶひろ）さん（６９）は「盗聴はすぐに再審開始になるくらいで違法。県警が過去の捜査にどう向き合うのか注目したい」と話した。袴田さんの第二次再審請求は東京高裁で即時抗告審が続いている。テープは昨年十月、県警の倉庫で見つかり、今年一月、弁護団に開示された。