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 4月から5月にかけて掲載した長期企画「認知症社会」の第1シリーズでは、判断力が十分でなくなったお年寄りをめぐる「お金のトラブル」を取り上げ、読者の方々から多くのご意見や体験談が寄せられました。その中から二つの事例を紹介します。トラブルを防ぐ手立てや支援策について専門家にも聞きました。

■年金の大半を子が使う

 埼玉県の行政書士の男性(71)は、認知症の親の年金などを子らが使ってしまう事例を伝えた4月18日の記事に感想を寄せてくれた。この行政書士は認知症の高齢者3人の成年後見人として財産管理や生活支援にあたっているが、記事と似たような境遇の家族を支援した経験があるという。

 2年前に後見を始めた80代の認知症の男性は、月約20万円の年金や1千万円以上あった預金の大半を50代の長男に使われていた。妻は10年以上前に亡くなり、親子2人暮らしだった。長男は通信販売や電器店で、高価な家電や時計などをよく買っていた。近くに住む長女の申し立てで後見人になった行政書士は、男性に特別養護老人ホームに入ってもらい、長男が年金を使えないようにした。