OpenStackにKubernetesやDocker Swarmを統合、コンテナ対応を実現する「Magnum」。OpenStack Summit May 2015でデモ

2015年5月25日

カナダのバンクーバで先週開催された「OpenStack Summit May 2015 Vancouver」。基調講演で取り上げられた大きな話題の1つが、OpenStackでDockerコンテナを扱えるようにする「Magnum」でした。

Magnumは今年の3月、OpenStackに正式参加したプロジェクトとして現在開発が進められています。これまでもOpenStackでコンテナを扱うためのツールはいくつか存在しました、Magnumはコンテナのオーケストレーション機能をOpenStackに統合する点が特長です。

OpenStack Summit May 2015 Vancouverの2日目の基調講演で、MagnumのチームリーダーであるRackspaceのAdrian Otto氏が登壇。Magnumの仕組みを解説し、デモを披露しました。

Bayの単位でKurbernetes/Docker Swarmを利用

Magnumは新たにコンテナのオーケストレーションの仕組みを作るのではなく、KubernetesやDocker Swarmといった既存のDockerに対応したコンテナオーケストレーション機能をOpenStackに統合しています。

Magnumでは、Bayと呼ばれる単位でKubernetesもしくはDocker Swarmの領域を作成します。Kurbernetesの場合にはこのBayの内部にPodと呼ばれる管理単位を作成することになるわけです。

fig

Magnumは既存のOpenStackのオーケストレーションツールであるHeatと連係できるようになっており、Magnumで構成したクラスタはHeatの画面から一元管理できます。下記の画面はMagnumを用いてKurbernetesで構成したクラスタをHeatで見ているところ。

fig

OpenStackには、今月リリースされた「OpenStack Kilo」でベアメタルサービスの「Ironic」がフル実装されました。今後、Magnumによってコンテナの機能が備わっていくことで、ベアメタル、仮想マシン、コンテナをすべてOpenStackの統一したAPIで利用可能になるわけです。

一方で、PaaSのレイヤでもコンテナのオーケストレーションを実現しようとしています。レッドハットが開発中のPaaS基盤ソフトウェアのOpenShiftはKubernetesをPaaS内のコンテナオーケストレーションシステムとして採用していますし、Cloud Foundryも次バージョンのCloud Foundry V3ではDockerに対応しつつ独自のコンテナオーケストレーションを実現する見通しです。

コンテナのオーケストレーションシステムはどのレイヤで持つべきなのか、まだしばらく混沌とした状態が続きそうです。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Bookmark this on Delicious

タグ : Docker , IaaS , Kubernetes , OpenStack



≪前の記事
アイティメディアの2015年3月期決算に見る、IT系オンラインメディアの状況

Loading...

Blogger in Chief

photo of jniino Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。新しいオンラインメディアの可能性を追求しています。
詳しいプロフィール


新サイト「Publickey Topics」始めました!


Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
RSSリーダーで : Feed





アクセスランキング - 過去7日間

  1. アイティメディアの2015年3月期決算に見る、IT系オンラインメディアの状況
  2. JavaScriptが20周年。開発者のBrendan Eich氏が過去と未来についてのスライドを公開
  3. MemSQL、無料版の「MemSQL Community Edition」公開、容量に制限なし。インメモリの分散データベース
  4. 日本IBMがSoftware-Defined Storage戦略を解説、すでにお客様の本番環境で使われた実績があると
  5. 国内企業がNoSQLへの取り組みを活発化。期待はクエリやデータロードなどの性能向上。ITR
  6. [速報]マイクロソフト、コードを書くのに最適化したツール「Visual Studio Code」発表。Windows、MacOS、Linuxに対応、無料提供。Build 2015
  7. 伊藤直也氏が語る、モダンなWebテクノロジーに共通する傾向とは?(前編) Chef、Docker、MicroservicesからReact、FRPまで。QCon TOkyo 2015
  8. ミドクラ、Dockerに対応したネットワーク仮想化ソフト「エンタープライズ・ミドネット」発表。コンテナ単位で仮想ネットワークを構築可能に
  9. Google Compute Engineが最大30%の値下げ、1年でVMの価格は半分以下に。連続稼働保証はないが70%安い「プリエンプティブVM」も登場
  10. 伊藤直也氏が語る、モダンなWebテクノロジーに共通する傾向とは?(後編) Chef、Docker、MicroservicesからReact、FRPまで。QCon TOkyo 2015
  11. AngularJSのエキスパート達が語る、AngularJSの使いどころとつらいところ(前編)。Deverlopers Summit 2015
  12. レッドハット、「Cloud Suite for Applications」を発表。OpenStack、OpenShift、CloudFormsを統合
  13. Publickey Smar
  14. 「セールスフォース・ドットコムが買収される」というウワサが駆け巡った十日間
  15. io.jsがNode Foundationに参加を決定。Node.jsとio.jsは統合へ

Publickey 最新記事 10本

Publickey Topics 最新記事 10本


PR - Books


fig

fig

fig

fig



blog comments powered by Disqus