(福島)皆さんおはようございます。
番組の案内役を務めますMBSアナウンサーの福島暢啓です。
この「らくごのお時間」では月に1回寄席にお邪魔し落語を一席お届けしております。
さて今回は大阪の道頓堀角座で寄席を開催いたしました。
演じられた落語三席の中から本日はこの方の落語をご覧いただきます。
(桂壱之輔)「値下がりしたんですね」。
芸歴19年…。
壱之輔さんはさあ演目は?ああ言えばこう言う口達者な子どもが登場する滑稽噺。
その子どもが父親に小遣いをもらうためにとった行動とは!?さて「らくごのお時間」となりました。
それではどうぞ!
(出囃子「砧」)
(出囃子「砧」)
(拍手)はぁ…。
どうも場内割れんばかりの拍手ありがとうございます。
ええ〜壱之輔の方でおつきあい願いますけどもねええ〜まあまあこういう落語家という仕事はですねちょっとやっぱほかの仕事と違いましてちょっと特殊なところがございましてね例えばサラリーマンの方とかはね毎日当然おんなじ会社に通勤されるわけですけども我々落語家ってのは仕事があったらいろんなとこに行かしていただけるんですよ。
ほんで私もよう行かしていただく場所というのがありましてね仕事で。
北陸の方によく行くんですよ。
石川県の方にある温泉町がありましてねそこの1個の旅館でね今365日宿泊客の方相手に毎日落語会やってるっていうそういう旅館があるんですね。
そこに私もまあちょいちょい行かしていただくんですけど正直ねそこね今から4〜5年前までは超高級旅館やったんですよ。
1泊4万とか5万とかするような高級旅館やったんですが4〜5年前に経営者が代わりましてなんと今1泊7800円。
(観客たち)あははっ。
落語するようになって4万円以上値下がりしたんですね。
(笑い)そういうとこがほんまにあるんです。
ほんでねまあまあそこ私も行かしていただきましてね。
だいたい2人ひと組で行くんですね。
私もこないだ先輩とね…落語家さんと2人で行ったんですけども正直ねこの大阪…例えば関西とか東京周辺とかでしたらこうやって落語になじみがありますからね普通にこうやって落語聴いてもらえるんですけどそういう地方の方行きますとやっぱいきなり落語とかやってもねちょっとつらいときがあるんです。
正直「笑点」でやってる大喜利いうて座布団何枚ってやってるやつあれが落語やと思ってる人がほんまに結構いるんですよ。
ほんでそういうときじゃあどうするかっていいますとこないだもその先輩と行ったんですがそのときにねじゃあ僕らも大喜利をやろうと落語する前に…ということになりましてやったんです2人で。
(観客たち)あははっ。
正直2人でやれることは限られます。
ですからね大喜利のお遊びの中でいちばん有名なお遊びで謎掛けというのがありましてなんとかと掛けてなんとかと解く。
その心はなんとかいうやつですね。
まあ例えばそうですね1つ何かいい例題出すとすると北陸新幹線も通るとか言うてますけどもじゃあもし「新幹線」っていうお題が出たとしましょう。
じゃあ新幹線と掛けましてゴルフと解く。
その心は「グリーンに乗ればあとは楽でしょう」。
(観客たち)ああ〜。
(拍手)言うときますよ今の例題ですよ。
(笑い)今のは落語家やったら誰でもできます。
ほんでね今ので言うたら新幹線の部分をお客さんから挙手でねお題をもらって即興で謎掛けを作るっていうのやるんですよ。
でこれね即興で謎掛けできるってね落語家さんってやっぱり頭の回転速いなすごいなぁって思ってくれはる方いてはるかもしれませんが実はねあれねちょっとコツあるんですよ。
何かっていいますと急にお客さんも「お題下さい」って言われるもんやからだいたいね皆さんも急に言われると目の前にあるものとかあと季節のネタですね。
例えば4月やったら桜とかね12月やったらクリスマスとかそういうこと言わはる人が圧倒的に多いんですね。
だからね正直私らも楽屋でちょっと予習してたりするんですよ。
(観客たち)あははっ。
ただねこれね今日みたいにお客さんが皆さん大人の方ばっかりやったらそれで通用するんですが客席に子供がいてるとき。
(観客たち)あははっ。
子供って突拍子もないこと言いますね。
あのねこないだね石川県で先輩と2人でやってたらね「大喜利のお題下さい」言うていちばん最前列に座ってた小学校高学年ぐらいですかね。
男の子ですわ。
この子がシュッと手ぇ挙げたんでこの子に「じゃあお題なんですか?」言うたらこの子お題なんて言うた思います?お題「尖閣諸島」。
(観客たち)あははっ。
かぁ〜ねっ。
これ皆さんねっすごくデリケートな話題でしょ?今ここでテレビで言っていいのかなっていう話題でございますね。
ほんでまたこれ正直ねその謎掛けねいうたらまあ私らね例えばこれを面白おかしく言うたら大人のお客さんにふざけたこと言うなって怒られる可能性もありますしというてですよあんまり真面目なこと言うてもおもろないですしすっごい難しいお題なんですよ。
ほんで私なんにも浮かばへんかってもう冷や汗かきながらねすがるような目で横にいてる先輩の顔見たら先輩もおんなじような目で私を見てるんですね。
(観客たち)あははっ。
ああ〜この人なんにも浮かんでへんわってね。
ただねやっぱそのときさすが私より先輩。
この人がとった行動がすばらしい。
この人がその男の子に向かって「おにいちゃんようそんな言葉知ってるね。
おにいちゃんどこでそんな言葉覚えたん?おにいちゃん何歳?いくつ?どっから来た?」いうてねまあいうたら矢継ぎ早にいろいろ質問するんですね。
これ要は質問してる間に謎掛けの答えを考える時間を作ってるんですね。
ただねこれ裏を返せばですよ「俺は質問してる」。
(笑い)「答えはお前に任せた」と。
もはや私に丸投げなんですね。
(観客たち)あははっ。
でもこれ…それでなんとかそのとき浮かんだからよかったんですけどね…。
聞きたい?
(拍手)拍手がなくてもやるつもりでした。
ほんまにそのときほんまにやったやつですよ。
尖閣諸島と掛けまして夏場に日焼けを気にする女性と解く。
その心は「日中」の問題です。
(観客たち)おお〜。
(拍手)このネタまだ使えるな。
(観客たち)あははっ!ありがとうございます。
まあまあでもねまあまあ最近も…今も昔もでしょうけどもそういう子供さんでもねちょっとませたというかちょっと大人びた子供さんが結構いてたりなんかいたしますが今日の私の落語はそういう大人びた子供さんが主人公の話を一席聴いていただきたいと思います。
「お父つぁんお父つぁん。
肩たたきまひょか?腰さすりまひょか?」。
「いやお父つぁん肩も凝ってへんし腰も凝ってへんで」。
「ほなお茶いれまひょか?」。
「なんや気持ち悪いなぁ。
いやお父つぁんなたまの休みや。
ゆっくりしたいねん」。
「たまの休みやさかい親孝行しようと思ってんのに避けんねんもんな。
子供の方から歩み寄ってんのに」。
「なんでそんな偉そうに言われないかんねん。
あのなお父つぁんなたまの休みやゆっくりしたい。
お前がうろちょろうろちょろしてたら気が気やないねん。
せやろ?親孝行したいんやったらな表遊びに行け」。
「うん。
ほな表遊びに行くさかいおくれ」。
「何をや?」。
「何をって…子供が親におくれ言うたら分かってるくせに。
まさか首やない」。
「当たり前やがなお前。
首なんか取られてたまるかい。
何が欲しいねん?男の子やろ。
はっきり言え」。
「はっきり言うてええの?ほなあの〜その〜…金くれ!」。
「はっきり言うたなお前。
金やったらお前今日やったやろ?」。
「あれもう使うてしもてん」。
「使うたもんはお前が悪い。
せやろ?もうやられへんで。
表へ遊びに行け」。
「いやそんなこと言うたかてわたい使うたさかい一文もないねや。
一文もないのに表へ行くやなんてこんな心細いことはないで」。
「あのなお前子供や。
子供やったら一文なしでもええやないかい。
一文なしでも表で遊べるやろ」。
「いやそら遊べんねんけどなけどみんな遊んだあとに菓子屋の前に集まんねん。
でみんな持ってる小遣いでお菓子買いまっしゃろ?わたい一文もないさかい買われへんがな。
皆が食べてんの指をくわえて見てるだけ。
お父つぁんな我が子にそんなひもじい思いさしてそれで平気なんか!」。
「なんでお前にそんな説教されないかんねん。
あのなお父つぁんは毎日きちっきちっと小遣いやってんねん。
せやろ?それを使うたもんはお前が悪いんやないかい」。
「そらそやねんけど…。
あっほな明日の分おくれ」。
「なんや前借りかい。
明日なったら困んのお前やろ」。
「いや明日なったらなあさっての分もらうねん。
であさってなったらしあさっての分。
しあさってなったらやのあさっての分。
順に順に先にもろうていきまんねん。
どうせお父つぁんぼう〜っとしてるさかいそのうち分からんようになるやろ?」。
「お前親バカにしてんのか。
あかん。
やられへんで」。
「あっそ。
分かった。
もうええわ。
お父つぁんにもらわんかてなお母はんにもらうさかい」。
「あのなお母はんが持ってる金というのはなお父つぁんが一生懸命働いた金を預けてあんねん。
せやろ?わしがあいつにやるな言うたらお前がもらえるわけないやないかい」。
「それがもらえんねん。
お父つぁんなもっとお母はんとの会話増やした方がええと思うで。
はあ〜お母はんのこと分かってへんわ。
あのなお母はん帰って来まっしゃろ?わたいが小遣いおくれ言うたらなお父つぁんにやるな言われてるっていつも言われまんねん。
そこでわたいが言いまんねんで。
あっそれやったらこないだお父つぁんが留守のときにお母はんとこに知らんおじさんが訪ねてきた話。
あれお父つぁんにしよっかな〜って言うたらあほやなあんた。
それだけは言うたらいかんがな言うて小遣い握らしてくれることになってあんねん。
もう2回ほど使てんなぁ。
こんなことでな親をゆするってなことしとうないねんけども背に腹は代えられんさかいな。
うん。
ほなお父つぁんわたい表遊びに行ってきます」。
「おうおう待て待て待ておい。
ちょっと待てお前。
そんな慌てて行かんでもええがな。
まあまあまあまあそこ座れ。
うんそこ座れ。
うん」。
「なんやて?お父つぁんが留守のときにお母はんとこに知らんおじさんが訪ねてきたんか?」。
「えっなんで知ってんの?」。
「お前が今言うたやないかい」。
「えっ私そんなん言うた?いや言うた覚えないわ。
お父つぁん気のせい。
忘れて。
錯覚。
気のせいやと思うで」。
「いやいや別になお前お父つぁん怒って言うとるわけやないねん。
ひょっとしたらやでお父つぁんになんぞ用事があって来はったんかもしれんがな」。
「お父つぁんに用はないねん」。
(観客たち)あははっ。
「それだけははっきりしてんねん」。
「けどお前来たんやろ?」。
「うん。
来たんは来てん」。
「来たんやったら話せぇ。
どんなやっちゃ?」。
「そら来たんは来てんけど…」。
「お父つぁんこの話聞きたい?」。
(観客たち)あははっ。
「うん。
まあせやな。
聞きたいな」。
「うん。
ほな話するさかい小遣いおくれ」。
「なんでやらないかんねん」。
「なんでって…お父つぁんなわたいこの話しとうないねんで。
したないのにすんねやろ?こんなつらい話すんのにそらやっぱり小遣い頂かんといかんわ」。
「なんでやらないかんねん。
それやったらええわ。
もうお父つぁん話聞かへん」。
「あっそう。
ふふっ分かった。
ほんならわたい表遊びに行ってくる」。
(笑い)「その方がええ。
お父つぁんもなこの話は聞かん方がええ。
わたいもこんな幸せな家庭に生まれてきたのに波風立てとうないもん」。
「なんか気になるなお前その言い方。
ああ〜分かった分かった。
もうやるがな。
別になお父つぁん怒って言うてるわけやないねんな。
ほらやる。
取っとけ」。
「ありがとう」。
「お父つぁんこれ何?」。
「これ何?ってお前金やないか」。
「これ一銭やん。
いや一銭ではあかんわ。
この話はな価値のある話やで。
そら五銭は頂かんと話できへん。
悪いけど一銭ではお引き取りいただいてます」。
「お前どこのお店やねん。
えっ?そんなもん子供に五銭もやれるかい。
一銭で十分や」。
「ほなあかん。
もう話できへん」。
「いやあかんってお前。
せやほなこないしよ。
あのなお前まず先に話せぇ。
話が終わったあとにお父つぁんお前にぴゃ〜っと五銭やるさかい」。
「その手は食わんわ。
どうせなお父つぁん話終わったあとに小遣いおくれ言うたらなそんな話にやれるか言うて。
でやでお父つぁんわたいがお金もらわれへんかった場合さっきの話あれ返してって言うわけにはいかんやろ?そやろ?第一なお父つぁんな話というのはな先にお金を払うようになってあんねん。
お父つぁんな寄席とか行ったことある?落語会とか。
お父つぁんなああいうとき落語聴く前にお金払いますか?落語聴いたあとにお金払いますか?」。
「そらまあああいうとこはやな木戸銭いうてな先にお金払うようになってあんねん」。
「そやろ?あんなもんあとで金払え言うたらやでたぶんほとんどのお客さんは払わんと帰ると思うわ。
なっお父つぁん話というのはそういうふうに出来てあんねん。
なっ。
払いぃ」。
「むかつくやっちゃなほんまにもう。
ああもう分かった分かった。
やるがな。
五銭やろう。
ほれっやる。
さあ話せぇ。
どんなやっちゃ?」。
「ありがとう。
どんなやつってなお父つぁんこないだ京都に行きましたやろ?仕事に」。
「はあはあ行ったな。
ついこないだやな」。
「そうそうそう。
でなあのときお父つぁんがいってきます言うて出ていったらな入れ代わるようにしてな表でこんちは〜って聞こえてん。
でわて何かいな思って出ていったらな表に知らんおっちゃんが立っててん」。
「はあ〜。
でどんなやっちゃ?」。
「どんなやつってなお父つぁんな世の中にあんなキザな男がいてんねんな。
白い服着てな色付きの眼鏡してんねん。
でなお父つぁん外国の写真とかで見たことあると思うけどなステッキっちゅうの持ってんねん。
でこんちは〜。
こんなんやで。
ほんでわて嫌な感じやな思ってな何?って聞いたらなお母さんは?。
いてるけど。
ちょっと…。
こんなんやで。
ほんでわてなお母はんとこ行ってななんや表に知らんおっちゃんが来てるでって言うたらなああさよか言うて表出ていったんや。
ほななお母はんその人の顔見てなうれしそうやねん」。
「何〜?ほんでお前そのあとどないなってん?」。
「うんほんでそのあとなお母はんがなまあよう来てくれなはった。
今ちょうどうちのへちまが出ていったとこ。
お父つぁんへちま言われとったで。
わてはどっちか言うたらカボチャや思うねん」。
「そんなもんどっちゃでもかまへんがな。
ほんでお前そのあとどないなってん?」。
「そのあとなお母はんがなおじさんの腕ギュッとつかんでなさあさあ早いことうち上がってんか言うてその人うちに引っ張り上げてん」。
「な…なんやと!?ほんでお前そのあとどないなってん?」。
「うん。
ほんでそのあとな…。
お父つぁんこの話続き聞きたい?」。
「続きも何もお前今始まったとこやろ。
話せぇ」。
「うん。
こっから先また五銭いるねん」。
「なんでやねんお前。
さっき払うたとこやろ」。
「いやさっきのはなここまでの分やねん。
こっから先また五銭いりまんねん」。
「なんでいちいちやらないかんねん。
ああもうそれやったらええわ。
お父つぁん話聞かへん」。
「あっそう。
ふふっ分かった。
ほな今日このへんにしとこ。
その方がええ。
お父つぁんもなここまでやったら気にならんやろ?腹も立たんやろ?こっから先は聞けたもんやないで。
たぶんなこのうちえらいことなると思うわ」。
「払う。
払うから。
なっ話せぇ。
どないなってん?」。
「ありがとう。
でなその人うちに引っ張り上げましたやろ。
そやさかい私心配なってなお母はんの横にぴた〜っとくっついてたんや。
ほななそこでようやくお母はんわたいに気ぃついてあらあんたいつまでこんなとこいてんの?早いこと表遊びに行きんかいな言うて。
お父つぁんなここ肝心やで。
よう聞いてや。
わてはなお父つぁんの味方やさかいな嫌や言うたんや。
ほななお母はん困った顔してなもうあんたがうちいてたらややこしいことなんの。
頼むさかい表遊びに行って言うてふだんやったらやで一銭握らすのにもぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ言うくせになそのときわたいに五銭握らしてくれてん。
わたいびっくりした。
五銭ももうてうれしなったさかいなわたい表にぴや〜っと遊びに行ってん」。
「何をすんねんお前は。
そういうときこそお母はんの横にぴたっとくっついとかないかんがな」。
「大丈夫!わたいはお父つぁんの味方。
でなわてまた心配なったさかいなうち戻ってきたんや。
ほななわてが出ていったときにはやでぴや〜っと開いてたはずの障子がなぴたっと閉じてんねん。
閉まってんねん。
でなわてこの障子の奥でななんや家族を裏切るようなことなんぞみだらな行為でも行われてんねやないかいな思てなわてその障子にそ〜っと近づいていってその障子をす〜っと…。
お父つぁん開けたい?」。
「開けろ」。
「これ開けるのにまた五銭いるねん」。
「なんでお前の話そんな途切れてあんねん。
そんなの最後まで一気にしゃべったらええがな。
ええっ?それ開けんのにまた五銭いんの?難儀ななぁもう。
ほらやる。
開けろ」。
「ありがとう。
でなこの障子をす〜っと開けるとな…。
つらい。
お父つぁんにこんな話するのつらいけどな五銭もうたさかい言うわ。
布団が敷いてあんねん」。
「何〜?あっ座布団か」。
「寝具。
寝るお布団が敷いてあんねん。
でな布団の脇でなおじさんとお母はんが立ってんねん。
でなお母はんがおじさんのこと横目でチラッと見たかと思うとなまたおじさんの腕ぎゅ〜っとつかんでなさあさあここで言いながら布団の上にぴや〜っと倒れ込んでいってん。
ほななおじさん腕つかまれてるもんやさかいなお母はんに引っ張り込まれるようにな覆いかぶさるようにな重なり合うようになお母はんの上に倒れ込んでいったんやで」。
「なんやと!?ほんでお前そのあとどないなってん?」。
「うんここで五銭いるねん」。
(観客たち)あははっ。
「分かってるがな分かってるがな。
ほらやる。
話せぇ」。
「ありがとう。
でなお父つぁんここよう聞いてや。
そのおじさんなお母はんの体を触りはじめた。
お母はんのいろんなとこを触りはじめたんやで」。
「なんやと?ああ〜けどそんなことしたらお母はんは嫌がったやろ?」。
「それがなお母はん声出しはじめた。
あぁ〜んあぁ〜ん。
そこそこ。
気持ちいい」。
「なんやと?ほんでお前そのあとどないなってん?」。
「ほんでわたいもう我慢できんようになって涙がぼろぼろぼろぼろ出てきたんや。
でわたい勇気出してそのおじさんの顔のぞき込んだらわたいそのおじさんのこと知ってんねん」。
「ようやった。
ようやった。
誰や?言え」。
「お父つぁんも知ってるで」。
「何〜?わいも知ってる?誰や?言え!」。
「ここで十銭いるねん」。
(観客たち)あははっ!「ちょっと待ってくれお前。
さっきよりこれ高なってないか?」。
「高ない高ない。
お父つぁん十銭なんかはした金や。
これ聞いたらすっとするで」。
「それもそやな。
よし誰や?言え」。
「うんあのな横町のアンマはんがなお母はんの体もみに来ててん。
お父つぁんありがとう」。
「おいおいおい。
待て待ておい!ほんまにあいつは悪いやっちゃな」。
「まあどないしたんや?あんた。
そんなはだしで表飛び出して」。
「どないしたもこないしたもあるかい。
お前が帰って来んの遅いさかい金取られたやないか」。
「まあ嫌やであんた。
泥棒か?」。
「いや金坊や」。
「金坊ってあんたうちの子やないかいな。
どうせあんたその辺りにお金ほっぽり出してたんやろ。
どこのお金取られたんや?」。
「いやわいの懐や」。
「それやったらあんたやったんやないかいな」。
「いややったんやないねや。
なんかあいつの話聞いてたらなだんだんだんだん引き込まれていってな分からん。
自分が分からんようになったわ。
ほんでまた話が途切れてあんねん途中でプツプツプツプツと。
ほんでなんや分からんけどわしその度にあいつに金払うてたわ」。
「もう嫌やであんた。
あの子はな頭がええさかいそういうことすんの。
けどあんたそんなにお金払うたやなんてよっぽど面白い話やってんやろな」。
「いや面白いとかなんとか…」。
「お前この話聞きたい?」。
(観客たち)あははっ!「まあそやなせっかくやさかい聞かせてもらおうか」。
「ほな話するさかい五銭おくれ」。
(笑い)
(拍手)
(受け囃子)桂壱之輔さんの落語をご覧いただきました。
どうして落語を始めようと…落語家になろうと思われたんでしょうか?なるほど。
あの〜子供のときから芸人には憧れがあったんですが…。
へえ〜。
それで17歳のときですかね高校をやめてどうしようかなみたいな迷ってる頃にテレビでうちの師匠春之輔を見まして見ててああこの人のとこに弟子入りに行きたいなと。
落語家になるというよりこの人の弟子になろうと思ったんですよね。
ということは最初は落語が好きでということではなかったということなんですか?正直言いますが師匠の…最初弟子にしてくださいって言いに行ったわけですよ師匠のところにね。
うちの師匠の独演会でした。
そのときに前座さんの人がやってた落語が私がいちばん初めて聴いた落語です。
ええ〜!だからうちの師匠に初めて稽古していただいたときにうちの師匠がやってみなさいと。
「こんにちは」。
「おお誰かと思ったらおまはんかいな。
まあまあこっち上がりぃ」。
やりなさいって言われたとき僕頭の中で「えっこれやるの?」って思いましたからね。
(笑い)「誰がやるの?」っていう。
「えっ俺が?僕がやるんですねこれ」っていう。
そうですか。
そんなんでした。
自分だけが持っている落語家として自慢できることがあるというふうに伺ったんですが。
天満天神繁昌亭…落語の定席ですけど出来ましてあそこでねよくこれいちばん最初に繁昌亭で落語をした人誰でしょう?みたいなことを聞くとだいたい会長のやっぱり文枝会長じゃないのかとか人間国宝の米朝師匠じゃないのかとかおっしゃる方が多いんですけどもあそこでいちばん最初に落語したのはなんとこの私なんですね。
(笑い)パチパチパチ…
(拍手)あっ拍手が起こりました。
ありがとうございます。
そうなんですよ。
これはでもすごいことですよね。
こけら落としの公演があったんですけどその2週間前に繁昌亭で内覧会っていうのがあったんです。
ほんでね出たらお客さんいらっしゃいますねそういう方々が。
ただいちばん前に最初やからあのね黒紋付きと袴着た師匠方がずら〜!
(笑い)ウケはいかがだったんです?ええ〜っとクスリとも笑ってくれませんでしたね師匠方は。
貴重な体験をされたということですけれども桂壱之輔さんに今日はお話を伺いました。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
パチパチパチ…あすから道頓堀角座で「角座日中はなしの会」が行われます。
水曜木曜には壱之輔さんも出演。
詳しくは番組ホームページまで。
次回は6月28日放送です。
2015/05/24(日) 05:00〜05:30
MBS毎日放送
らくごのお時間[字]【桂壱之輔さん「真田小僧」】
<第24回>桂壱之輔◆「真田小僧」〜道頓堀角座▽月1回、第4日曜の朝に本格的な落語を一席。
詳細情報
◎この番組は…
月に1回、寄席小屋を訪れて、脂の乗った落語家の落語を1席お届けします。
今月は道頓堀角座で行われた演目です。
番組内容
今週の「らくごのお時間」は桂壱之輔さんが「真田小僧」を披露。
壱之輔さんは三代目桂春團治さんの孫弟子にあたり、来年入門20年を迎える噺家。
会場は道頓堀角座です。
出演者
【落語】
桂壱之輔
【案内人】
福島暢啓(MBSアナウンサー)
公式HP
■番組HP
http://www.mbs.jp/rakugotime/
ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – お笑い・コメディ
福祉 – 文字(字幕)
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