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男児殺害18年 加害者の変化、手紙で実感 神戸連続児童殺傷事件

神戸新聞NEXT 5月24日(日)6時40分配信

 1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件で、小学6年の土師淳君=当時(11)=が殺害されて24日で丸18年になる。父親の守さん(59)が神戸新聞社の取材に応じ、加害男性(32)から届いた手紙について「例年と異なり、初めて自分の言葉で事件を振り返っているような印象を受けた」と語った。(長谷部崇)

【手記全文】父親・土師守さん 被害者支援制度の拡充を


 「18年というと長く感じるし、自分も年をとったけれど、親にしたら何年たとうと子どもに対する気持ちは変わらない」。日常生活のふとした拍子に淳君の姿が浮かぶという。「どこかに出掛けた時、『昔、淳と一緒に来たな』とか、泣いちゃった時の顔とか」

 加害男性から、今年も5月中旬に弁護士を通じて手紙を受け取った。「読むのは親としての義務と思っている」。今年の文面は昨年までと違う印象を受けたといい「18年たってようやく、彼自身の考えをつづれるようになったのかなと」。

 「彼(加害男性)に会いたいとは思ってないから、事件の真相をこれ以上求めるのは難しいのかなとも思う」と守さん。ただ「自分の犯した罪に向き合い、生涯反省の気持ちを持ち続けてほしい」と話す。

 4月、月刊「文芸春秋」に男性を医療少年院送致とした神戸家裁の決定全文が掲載された。「元判事が守秘義務を犯してまで、なぜ今公開しなくてはならないのか。理解できないし、傲慢(ごうまん)だと思う」と憤る。

 長年、被害者支援にも携わってきた。現状の課題について「遺族に対する経済補償は被害者の年齢や収入で差があり、親族間犯罪で適用されないなど事件が原因で経済的にも本当に苦しんでいる人が救済されていない。改善を求めていきたい」としている。

最終更新:5月24日(日)8時47分

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