温泉若おかみの旅情殺人推理 2015.05.22


(普賢岳の噴火の音)
(生駒千夏)
あれから6年
あの時の荒れ狂った顔が嘘のように長崎・普賢岳は以前の穏やかな顔を取り戻しつつあります
島原の町もあの時の傷跡が今も残ってはいますが着実に復興への道を歩んでいます
もともとここ島原は天草四郎による「島原の乱」で有名な日本の水百選にも選ばれた風光明媚な観光都市です
(一同)いらっしゃいませ。
そして島原の老舗ホテル「南風楼」の若女将が私生駒千夏
(生駒弘子)本日は当島原「南風楼」をご利用いただきまして誠にありがとうございます。
大女将の私。
若女将…。
(千夏)生駒千夏。
若旦那…。
そして従業員一同心よりおもてなしをさせていただきます。
(拍手)
結婚して3年女将としてはまだまだですが島原復興のキャッチフレーズ「がまだすの精神」で日々奮闘しています
「がまだす」とはこの地方の言葉で「元気を出す・頑張る」という意味
あぁ〜っ!いくら一生懸命やっても物を落っことしたり…。
(岩本トメ代)女将これ見てください。
一体幾らだと思ってるんですかねぇ〜。
何があってもめげないのが私のとりえ
ほんとがまださなきゃ!
頑張る!えっ山川さんの宿泊費の精算ですか?1週間も滞在してるんでしょ?えぇ。
でも山川さん普賢岳の写真を撮るから1か月は滞在しますって。
カメラマンだって言ってるけどなんだか私うさんくさい気がして…。
そうですか?いい人ですよ山川さん。
いやそうですよ〜。
大女将のお言葉ですが私たち仲居にも色々気を使ってくださいますし…。
私の思い過ごしかもしれない。
でも長年女将をやってきた私の勘なのよ。
だから念のため…。
はい。
わかりました。
何であんないい人信用できないんですかね大女将は。
いいかげんにしなさいトメ代さん!あっどうも…。
(山川洋司)ごめん。
前金渡しておけばよかった。
これで50万下ろして。
50万も?あのそれにキャッシュカードなんてお預かりするわけには…。
暗証番号は「1111」。
それに誰にでも渡すわけじゃない。
若女将だから…。
えぇそれから…これ。
はい?開けてみて。
あぁはい。
これ私に?うん。
それほど高くはないけどお袋の形見なんだ。
そんな大事なものいただけません。
あ〜よく似合う。
サイズもぴったりだ。
でも…。
これからも世話になる礼だと思って。
困ります山川さん。
そっか君にはご主人が…。
もう少し早く君に出会えてたらな…。
(車のクラクション)
(生駒秀夫)えっ!?預金が1000万以上も!そうなのよ。
そんなキャッシュカードポーンと私に預けるなんて…。
それは千夏に気があるんだよ。
そう思う?そうだよ。
でなきゃキャッシュカード預けたり母親の形見の指輪くれたりしないよ。
ちゃんと返したわよ。
でもなんかドキドキしちゃった。
千夏はああいうやつがタイプなんだ。
別に…。
まぁちょっとステキだな〜とは思うけど。
だいたいねぇスキがあるからそういうこと言われるんだよ!スキ?ちょっと私のどこにスキがあるのよ!?どこよー?あっ…。
(宮本百合)若旦那そんな所でしゃべってないで球拾ってよ。
ごめんなさい。
すぐ行きますから。
待ってるわ。
さすがモデルやってるだけあって百合さんスタイルいいよな〜。
何よ人のこと責めといて自分は鼻の下伸ばしちゃって!伸ばしてないよ事実を…。
もういい!早く行けば〜。
お待たせ〜!行くわけ?あっそう…。
(柴田紀子)千夏さん!あぁ紀子さん。
ごめんなさい。
ご主人練習に付き合わせて。
いいのいいの。
サービスだから。
でもなんか怒ってるみたいだったから…。
あぁ秀夫さんがね百合さんにポーっとしてるからなんかちょっと感じ悪いわねあの人…。
男の人にはニコニコするくせに私のこと無視したのよ。
彼女徹さんのこと好きなのよ。
紀子さんあんな人に恋人取られちゃダメよ!でも積極的だから…。
そんな弱気なこと言って!頑張るのよ!私応援してるから。
いいの?こんなこと…。
(笹塚明子)いいんです。
受け取ってください。
わかった。
それで君の気がすむなら…預かっておくよ。
次郎さん!預金から100万下ろしたのはこいつに渡すためだったのか?彼に話は…。
しましたちゃんと。
俺は承知しちゃいないよ!てめぇなんかなぶっ殺してやる!!
(明子)ちょっとやめてよ!やめてってば次郎さん!!やめてよ!やめてってば!!
(一同)またのお越しをお待ちしております。
お足元お気をつけくださいませ。
お願いしま〜す!
(田代警部)大女将!あれ田代警部。
大女将忙しいところ悪いけどちょっと頼みが…。
何かあったの?それがそこの霊丘公園で身元不明の男の刺殺死体が見つかってポケットからここのマッチが…。
うちのお客様かもしれないってこと?それを確認してもらおうと思って。
ええっ!?そんな!千夏さん!あぁ俺も行く!大女将じゃあ若女将と若旦那借ります。
また若女将仕事サボるつもりですよ。
本当に後先考えないんだから…。
ねぇ!
(刑事)部外者は出てください!私若女将なの!いいんだいいんだ。
通していいんだ。
若女将だって言ってるでしょ!
(パトカーのサイレン)あぁ…知りませんこんな男。
やっぱりおたくの客じゃ…。
えぇ違います。
なぁ千夏。
この包丁…。
んっ?いえこんな人は見たことは…。
田代警部眼鏡取ってもらえます?あぁ。
付け髭だったのか!ここ!ここの髭は!?あっ頭…。
頭は?山川さん…。
山川さん!ほんと山川さんだ!!どうしよう千夏!山川さんって?うちのお客様です。
何で変装を…?ねぇどうして変装してんの?すごい数だなぁ。
それも高そうな洋服ばっかり…。
田代さん。
こっちには眼鏡やカツラがあります。
女物のアクセサリーがどうしてこんなに?100万はありますね。
若女将昨日被害者から金を下ろすよう頼まれたんでしたよね?はい。
キャッシュカードを預かって。
100万も持ってるのに何で千夏にお金下ろさせたんだろう?若女将が言うように残高1000万以上ありますよ。
やっぱり山川さんってうさんくさい人だったんですね。
大女将のおっしゃるとおりでした。
私にはねお客様の職業ぐらいちゃんとわかります。
毎月「ヤマダハナコ」って人から50万振り込まれてますね。
2週間前同じ人から…300万!「ヤマダハナコ」?なんか偽名っぽいですね。
うん。
いやそれにしても何者なんですかね?山川って男は大女将。
調べるの刑事さんの役目でしょ!あぁ若女将。
あぁ源さん。
変なこと聞くけどうちの包丁が無くなってるってことない?あぁ…はい。
次郎が使ってた出刃が昨夜から…。
じゃああの包丁やっぱりうちのかしら?若女将あの包丁って?それがね!あっちょっと源さん。
はい。
(パトカーのサイレン)あぁ…。
藤村次郎。
山川洋司殺害の重要参考人として署で話を訊きたい。
同行してくれるな。
田代警部それどういうことですか?いや捜査の結果山川殺しの容疑が濃厚で…。
そんなバカな。
何かの間違いよね?次郎さん。
俺やってません!そうよ次郎さんが人を殺したりするはずないわよ。
若女将の言うとおりよ。
次郎さんは人を殺すような人間じゃない。
女将の私が保証するわ。
そうですよ!それに次郎君が山川さんを殺す理由なんかないじゃないですか!いや大女将たちの身内の人間をかばう気持ちもわかるけど…。
ケンちゃんあなたまさか次郎さんに前科があるからって。
前科!?別に前科があるから疑ってるわけじゃ…。
警察だって証拠がなくて引っぱりはしませんよ。
次郎さん!
(泣き声)次郎さんが傷害事件を…。
ほんとなの母さん。
別に話すこともないと思ったから黙ってたんだけど。
あなたたちがホテル継ぐ前の年3年前のことね。
お客様が明子さんに変なまねしたもんだから次郎さんカッとなっちゃって…。
本当にひどい客だったんですよ。
次郎さんが助けなきゃ明子さんレイプされてたかもね。
レイプ!?私がいけないんです!あの時も今度も私のせいで次郎さん…。
まさか山川さんもあなたに何かしようとしてそれで次郎さん?そうなの?明子さん。
正直に言ってちょうだい。
山川さんと何があったの?私山川さんにタレントにならないかって誘われてたんです。
もったいないよ!君みたいな素敵な子がこんな所でうもれてしまうなんて!私子供の頃からずっとタレントになりたいと思ってた。
でもなれるはずないって…。
いやなれるよ。
僕が保証する。
今度そこに立って。
君さえよければ大手の芸能プロダクションの社長紹介するよ。
僕ももちろん全面的にバックアップするから。
ねっ。
はい!ほんとになれます?デビュー前に自費出版で写真集を出すって手があるよ。
そうだ。
マスコミが飛びつくような衝撃的な写真を僕が撮ってやるよ。
じゃここに立って。
はい。
いい?こっち向いて。
そうすれば君は一躍スターだよ。
あたしがスターに?このチャンス逃したら永久に夢は叶わないそう思って…。
じゃあ次郎さんとの結婚は?私のことはあきらめてって…。
そりゃないよ!次郎君は明子ちゃんにベタぼれなのに。
そうよ!執行猶予が切れたらあんたと所帯持つんだって次郎さんそりゃ〜心待ちにしてたじゃない!あきらめきれなかったタレントの夢。
だから次郎さんに自分の気持ち一生懸命話しました。
でも次郎さんわかってくれなくて…。
私が山川さんに100万渡したの知って怒って殴り合いに…。
100万って…次郎さんと結婚するために貯めてた?山川さんが持ってたのはそのお金だったのね。
私のせいなんです。
私が夢をあきらめれば…次郎さん山川さんを殺したり…。
次郎!素直に罪を認めろ。
目撃者も証拠も揃ってんだ。
お前が昼間山川ともめてるところを目撃した証人もいるし夜11時頃お前が現場から血相変えて飛び出してきたところも見られてる。
何度も言いますが俺やってません!お前が昼間山川ともめたケリをつけようとしたんだろ?ほんとにやってないんです!まだそんなことを…!俺は山川に話をつけに行っただけです。
あいつの方から霊丘公園に11時に来いって…。
山川!返事しろどこだ!
(田代警部)死んでた?お前が行った時にはすでに死んでたのか!?はい。
変装してたのに山川だとわかったのか?いえ。
だったらどうして逃げたんだ?すぐに警察に通報すりゃあよかったじゃないか。
関わり合いになりたくなかったんです。
俺執行猶予中だし疑われたらってなんか怖くなって…。
山川はこの出刃包丁で殺された。
次郎この包丁に見覚えがあるだろう?この包丁からお前の指紋が出た。
この包丁はお前のだろ!確かにこれは俺の包丁だけど板場からなくなったんです!本当です!俺殺しなんかやってない!!信じてください!本当です!!俺殺しなんかやってない!動機も目撃者もいる。
それになんたって凶器の包丁が…。
これだけ揃ったら逮捕状取れますよ。
あぁまあそうだが…。
田代警部!若女将。
次郎さんの着替えを持ってきたんですけど。
じゃあ預かります。
原田。
はい。
明子さん。
お願いします。
あのどういう状況なのか教えてください。
いやしかしそういうことは…。
大女将がすごく心配してまして何も訊かずに帰ったら私叱られるんです。
弱いんだよな大女将には。
原田俺昼飯食いそびれてるからちょっと食ってくるわ。
後頼むわ。
えっいいんですか?わかってるよ。
そうですか。
状況は次郎さんに不利ですね。
若女将…。
死体を見たときあの包丁がホテルのだって気づいたんじゃ?そうなんじゃないのかな?と…。
そういうことは言ってくれなきゃ。
すみませんでした。
ごちそうさま。
これ相棒に…。
どうもありがとうございました。
元気出して!次郎さんは殺してないって言ってるんだから。
でもいくら次郎さんが殺してなくてもあれだけ証拠が揃ってると…。
明子さんどうして次郎さん信じてあげないの?100人中100人が信じなくても恋人のあなただけは信じてあげなきゃ!もし秀夫さんが次郎さんのように殺人犯で捕まっても秀夫さんが「殺してない」って言ったら私は信じる。
私だけは秀夫さんの味方をするわ。
若女将…。
この人だって選んだ人だもの信じてあげなきゃ。
ねっ!よし!元気出して!!きっと誰かが次郎さんの包丁持ち出したのよ!ねぇ思い出して源さん!警察でも訊かれたんですが若女将さんもご存知のとおり4〜7時までの間戦場のように忙しくてその時間に誰が入ってきても…。
そう…。
あっしも次郎の無実は信じてるんですがお役に立たなくて…。
あぁいいのよ。
誰かが持ち出した可能性があるってわかっただけでも。
すみません…。
若女将!はい!こんなところにいらしたんですか!そろそろ団体様が到着する時間ですよ!若女将がお出迎えしなくてどうするんですか!えっもうそんな時間?あっほんとだ!源さんありがとう!あぁそんな走っちゃダメですよ!だから走るなって言ったでしょ。
どうも着物って苦手で…。
着物はね女将の勝負服よ!勝負服?お客様が何を望んでらっしゃるか一瞬たりとも気が抜けない。
だから毎日が真剣勝負なの。
だから勝負服!はい。
お客様のバスが到着しました。
はい行きましょう。
あんなことがあったんだからう〜んとサービスしなきゃね。
はい出陣!はい!よいしょ!…走らない!
(一同)いらっしゃいませ。
(一同)お疲れ様でございました。
でも信じられない。
山川さん昨日まで元気で私たちの写真撮っててくれてたのに…。
ねぇ。
こんなことになったらさ彼が私たちを撮ってくれた写真もらえないのかしら?私旦那に見せようと思ったのよ。
(中田徹)あんなやつの撮った写真なんか見たくもないよ。
失礼します!お酒足りてますか?はい。
あらうちそんなすごいもの頼んでないわよ。
ホテルからのサービスです。
あんな事件があって申し訳ございませんと大女将が。
ごめんなさい気をつかわせて。
いいのよ。
若女将と紀子さんって会社で先輩と後輩だったんですって?はい。
一緒にいましたのは3か月ですけど。
迷惑な話よね。
はい?その関係でこのホテルに泊まることになったんでしょ?テニスの練習と観光を兼ねた楽しい旅行だって言うからファッション雑誌の撮影キャンセルしてきたのに…。
百合さんそんな言い方しちゃ紀子さんかわいそうよ。
知り合いが殺されてショックなのはわかるけどねぇ。
百合さん山川さんと知り合いだったんですか?別に知り合いじゃ…。
あら私たちがここに来た日山川さん百合さんに親しそうに話しかけてきたじゃない。
あっちが私を知ってただけでカメラマンっていったって私仕事もしたこともないし名前を聞いたことも…。
あらそうなの?
(中田)もうよそう!不愉快だ!あんなやつの話。
えーっ!?あのテニスコーチと百合さんが怪しい?怪しいとまでは言わないけど山川さんと何かあったんじゃないかしら?千夏。
山川さん殺したのはさやっぱり次郎君だと思うよ。
あなたまでそんなこと言うの!?俺だって信じたかないけどさ目撃者もいるだろ?それに凶器の出刃包丁だって…。
だから次郎さんは犯人じゃないのよ。
えっ?証拠が揃いすぎてるもの。
人を殺すつもりなら自分の包丁なんて使う?まぁそう言われればそうだけど…。
源さんに訊いたらね板場が忙しい時間なら次郎さんの包丁持ち出すことはできるって。
じゃあ誰かが包丁持ち出して次郎君が山川さんと会う前に山川さんを殺した?山川さんはその人と会うために変装したんじゃない?だって次郎さんと会うのに変装する必要ないでしょ。
うん…。
でもさ普通の人間なら誰に会うにしても変装なんかしないよな。
それがこの事件を解く鍵よね。
それがわかればきっと犯人も…。
ではまた機会がございましたらどうぞ当ホテルをご利用くださいませ。
失礼いたしました。
(電話)あっまたキャンセルです。
これで5件目よ。
みんなも動揺してる…。
皆までおっしゃらなくてもすぐ従業員全員大広間に集めます。
コンベンションホールよ!あっ。
皆様もうご存知でしょうけれどもうちのお客様が殺され板場の次郎さんが殺人犯として疑われています。
もちろん私は次郎さんの潔白を信じています。
けれど世間の風当たりは強くキャンセルをなさるお客様が増えています。
ホテルにとってお客様のいらっしゃらないほどつらいことはありません。
普賢岳の噴火の後も何日もお客様のいらっしゃらない日が続きました。
シーンと静まり返った館内を歩いていると不覚にも涙がこぼれました。
お客様のいないホテルは死んだも同然です。
先の見えない状況の中でもう一度お客様の笑顔が見たい。
それを心の支えとして頑張ってまいりました。
あの時のつらさを思えばどんなことでも耐えられます。
島原復興のキャッチフレーズ「がまだす」の精神でもう一度頑張ってみようと思います。
どうか皆さん私に力を貸してください。
お願いします!もったいない…大女将頭を上げてください。
みんなわかったわね!「がまだす」よ!「がまだす」でこの危機を乗り越えるのよ!
(一同)はい!
(トメ代)頑張ろうね!山川さんが結婚詐欺師!?今田代警部がお袋のとこ来てしゃべってた。
指紋を照合したところ山川って言うのは本名阪口洋司。
前科2犯。
地方の温泉旅館を作家だカメラマンだと偽って泊まり歩いてその度に仲居たちから金をだまし取ってたんだって。
じゃああの洋服やカツラって女の人をだますための物だったのね!元俳優だったから変装はお手のものだったんだよ。
俳優?うん。
でも俳優って言ってもほら刑事ドラマなんかに出てくるひと言もセリフがなくて殺されちゃうような死体専門の役者だったんだって。
死体専門の役者…。
今田代警部がうちの仲居たちに話訊いてる。
明子ちゃんのほかにだまされた人がいないかどうか。
うん…。
ああっ!何だよ大きな声だして。
私!私!あの母親の形見の真珠の指輪!あーっ!そうだよ!!あいつ千夏のこともカモにしようとしたんだ!あぁーっ!中田さんと百合さんの様子が変だったのもそうかもしれない。
えっ?テニススクールの人たちは?ちょっと前に武家屋敷跡見に行くって出かけたよ。
あっちょっと…。
千夏?あ〜あ若女将また走ってますよ〜!今走ってたのは千夏と秀夫?この時間ならまだ大広間の片付け終わってませんよ。
いったい何考えてるんだろうねあの2人。
何も考えてませんよ!じゃあ大女将俺たちはこれで。
ご苦労様…。
ケンちゃん早く真犯人見つけて次郎さんうちに帰してちょうだいね。
いやおたくの仲居の中にほかにも被害にあった人間がいるんじゃないかと思ったんだがそれもいないってことになると…。
じゃあなんですか?その被害にあった仲居が山川さんを殺したと思ったんですか?いやいや。
うちにはそんな人いませんよ。
そうですよ!大女将のおっしゃるとおりです!そうは言っても凶器の包丁のこともあるし…。
いや〜正直言ってどう考えたらいいか…。
ケンちゃんあんた刑事でしょ?そんな弱音吐いてどうすんのよ。
大女将には参るよな。
ほんとに弱虫なんだから…。
ダメだ…。
(紀子)千夏さんどうしたの?皆さんにちょっとお伺いしたいことがあって。
えっ結婚詐欺師だったんですかあの人?私あんないい男ならだまされてもよかった…。
あの皆さんの中に被害にあった方は…?山川さん紀子さんのこと気に入ってたみたいよ。
えっ紀子さんを?そんなこと…。
そういえばやたら紀子さんの写真撮って話しかけてたわよね。
殺された日の朝一緒に散歩してたんでしょ?朝早く目が覚めて散歩に出たら偶然一緒になっただけで…。
やけに親しそうだったな。
徹さん見てたの?朝タバコがきれたんでロビーに行ったら君と山川が戻って来たところで…。
(紀子)どうして声掛けてくれなかったの?なんか楽しそうに話ししてたから声かけづらかったんだ。
話し掛けられたら無視するわけにも…。
それだけかしら?山川さんとなんかあったんじゃない?山川は口がうまい男だったから親しそうに見えたかもしれないけど紀子さんが中田さん以外の人と…。
そうよね紀子さん!えぇ。
中田さん紀子さんのこともっと信じてあげて。
なかなかうちの親が結婚認めてくれないから紀子は俺のこといやになったんじゃないかって…。
そんな…。
ごめん嫉妬したんだ。
あの男に…。
徹さん…。
やだ!結局ご馳走様って話?そうみたいね。
あ〜お腹いっぱい!ご馳走様!じゃ行きましょうか!なぁ千夏。
ん?山川を殺したのはあのコーチなんじゃないかな?中田さん?彼はただのコーチじゃなくてテニススクールの経営者の息子なんだろ?うん。
ほかにもレストランやゴルフ場を経営してる中田レジャー産業の御曹司。
父親はコーチは早く辞めて会社の経営に専念しろって言ってるそうだけど…。
テニスが好きで純粋な人よ。
そういう純粋な人ほどカッとなると何をするかわからないんだよ。
確かに山川はやたらと紀子さんの写真を撮ってた。
彼は紀子さんを愛するあまり嫉妬して…。
そうかな?ねぇ山川はどうして百合さんじゃなくて紀子さんをターゲットにしたのかしら?それは紀子さんの方がタイプだったからじゃないの?結婚詐欺師は女からお金を搾り取るのが目的でしょ?タイプがどうこうよりお金を持ってる女をターゲットにするんじゃない?確かにそうだよな。
百合さんは資産家の娘でお金もあるししかもファッションモデルでスタイルもいいしね。
えっ?スタイルいいのは関係ないでしょう。
山川は知り合いのような顔をして百合さんに近づいてきたのにターゲットにしたのは紀子さん。
なんか変だと思わない?お金目当てじゃない何かがあるのよ。
何かって?山川が紀子さんに近づいたのは誰かの思惑があったのかもしれない。
誰よ?百合さん…。
百合さん!?百合さんにどんな思惑があるって言うの?百合さんは中田さんのことが好きなのよ。
紀子さんから中田さんを奪うために山川に紀子さんを誘惑させようとしたんじゃ…。
まさか!事実中田さんは山川に嫉妬して2人の仲はおかしくなりかけたわけだし…。
でももしそんなこと頼んだとしたら山川と百合さんはよっぽど親しい関係ってことになるぜ。
そうよね。
ただの顔見知りじゃないわよね。
どこ行くんだよ。
千夏!資産家の娘と結婚詐欺師が親しい関係?はい!田代警部もしかしたら百合さんは昔山川にだまされたことがあるんじゃ。
だまされた女がそんなことを頼むとは思えないなぁ。
あの山川の預金通帳にヤマダハナコって人から300万振り込まれたのは2週間前でしたよね。
その山川がうちに宿泊の予約を入れてきたのもちょうどその頃なんです。
百合さんが山川に300万支払って紀子さんを誘惑するように頼んだってことは…?ありえますよね?300万も貰えば誰だって…なあ。
あのヤマダハナコって人は確か毎月50万の金も山川に振り込んでますよね。
もしヤマダハナコが百合さんだとしたら百合さんなんか弱みを握られて山川にゆすられてたんじゃ…!もし百合さんがゆすられてたとしたら山川を殺す動機があるってことになる。
さっそく宮本百合を調べてみよう!はい。
あぁそうだ。
山川が持ってたフィルムを現像したら若女将が写ってたよ。
写真に何か手がかりは?いや別に手がかりらしき物は…。
おたくの仲居やテニススクールの連中を撮ったスナップ写真ばかりだ。
見せてもらっていいですか?ネガあるから持って帰っていいよ。
そうだ大女将が捜してたよ。
えっ?お袋怒ってました?う〜ん。
噴火直前だった。
え〜っ!早く言ってくださいよ警部さん!!ホテルが非常時だっていうのに仕事ほったらかしてこんな時間まで!あんたたちいったい何考えてるの!?いや…俺たちだってホテルのことを考えて早く次郎君の無実をはらそうと思って…なぁ千夏。
そうなんです!職場放棄したのは申し訳…。
言い訳はおよしなさい!事件のことは警察に任せておけばいいんです!そうですよ!若女将と若旦那がこんなんじゃ従業員への示しがつきません。
ねぇ!トメ代さんの言うとおりよ。
二度と勝手なまねは許しません。
わかったわね?
(2人)はい。
「心の底までしびれるような」「吐息が切ないささやきだから」
(客)女将さんビール。
若旦那!若旦那。
やっぱよしてくださいよ。
若旦那に酒の燗なんかさせちゃ…。
いや気にしないでよ源さん。
お袋の命令なんだからさ。
いやでもそんな沈んだ顔されちゃ…。
あっあっしから大女将には申し出ますから。
さっさぁさぁ…。
だから気にしなくて…。
千夏!えっと御銚子5本!ちょっと俺話があるんだよ。
源さん御銚子5本ね!おっかしこまりました!百合さんにアリバイ?仲居の正美ちゃんがこのホテルの中で山川を見かけたのが9時だろ?うん。
霊丘公園で次郎君が山川の死体を見たのが11時だろ。
ってことは山川が殺されたのは9時過ぎから11時までの間ってことになるよな。
うん。
司法解剖の結果はまだみたいだけどね。
思い出したんだよ。
その時間ならテニススクールの連中みんなうちのクラブで飲んでたんだ。
ほんと?間違いないよ。
いらっしゃいませ。
あら皆さん今日はご一緒じゃないんですか?百合さんと紀子さんも後から来るわよ。
あの2人お風呂長いから。
紀子に用ですか?いえそういうわけじゃないんですけど。
あの山川さんが殺された日皆さんこちらにいらっしゃったそうですね?
(中田)えぇ。
それが何か?中田さん。
紀子さんがなんか話があるから庭で待ってるって。
紀子が?たまには恋人同士ラブラブの2人きりになりたいんじゃないの。
コーチがこういう旅行だからってもう遠慮するから〜。
そうよ。
あんな結婚詐欺師に嫉妬するくらいなら紀子さんを百合さんと同室にはせずに自分と一緒の部屋に…。
あっごめん。
そう言い出したの百合さんだったわね。
ほら早く。
待たしちゃ悪いわよ。
あぁ。
じゃあちょっと失礼。
ごゆっくり!
(百合)いってらっしゃい。
若女将何やってるの?こんなところで。
あっいえ。
あの…。
(中田)紀子話って?私…。
うん?私…私やっぱりあなたとは別れたほうが…。
百合さんがまた何か?隠すことはないよ。
言っただろ?彼女の言うことなんか気にするなって。
いくら資産家の娘だからって僕は彼女のことなんかなんとも思っちゃいないんだから。
私あなたにふさわしくない。
身よりもないしご両親が反対するのもわかるわ。
両親が何と言おうと僕には君しかいないんだ。
どうしても許してくれないって言うんだったら僕が家を出るよ。
徹さん…。
(中田)もっと早く決心すればよかった。
君があの男と親しそうにしてるの見たとき君を奪われてしまうんじゃないかって…。
渡さない。
君を誰にも…。
ご苦労さん!源さんがさ具雑煮作ってくれたんだよ。
千夏好きだろ?一緒に食べよう!ねぇうちのクラブから霊丘公園まで行って人を殺してくるのに何分ぐらいかかると思う?何だよそれ。
私ねあの夜のこと百合さんに訊いたの。
夕食の後8時ぐらいから11時過ぎまでみんなでここで飲んでたわ。
途中誰か席をはずしました?トイレに立ったぐらいでお酒に弱い紀子さんも最後までいたわ。
あっそうですか。
百合さん席はずしたじゃない。
ほら携帯電話かかってきてここじゃうるさくって電話の声が聞こえないからって。
あぁそういえば…。
確か10時頃だった。
あぁモデル仲間のミカからかかってきて…。
それどれぐらいの時間?そんな長い時間じゃないと思うけど…正確に何分なんか覚えてないわ。
私覚えてる!カラオケ大好きなおやじが『北国の春』を唄い始めたときからだから…。
12分ぐらいなのよ。
12分…。
霊丘公園は近いからその時間で行って殺して帰ってくることもできるかもしれないな。
それができれば百合さんのアリバイ崩れる。
よし!よしよしよしっと!大丈夫?はい!火は怖いからね。
えぇ。
でもこうやって毎晩大女将が館内見回ってるなんて若女将は知らないでしょうね。
こういう大事なことはね千夏さんには任せられないもの。
そうですよね〜。
問題は包丁ね。
はい?私ね事件を推理したの。
大女将が事件を推理?山川は前科2犯だって言うけどまだまだ被害者がいると思うのよ。
泣き寝入りをした人もいるしまだ彼を愛してるって人もいると思うの。
ありえますね〜。
山川ってほんといい男だったから…。
犯人はそういう女の1人よ!山川は偶然町でその仲居を見つけてまだ自分を愛してるってうぬぼれて金をまた搾り出してやろうと思って呼び出したのよ。
山川との恋に傷ついていたその仲居は今はこの島原の旅館で働いていた!長髪で髭に変装したのもその仲居の好みだったのよ。
なるほど!そうすれば変装の謎も解けますね〜!ところがその仲居は山川を恨んでいてひとおもいにブスッ!わっ!問題は凶器ね。
うちの板場からどうやって仲居が持ち出したか。
できるんじゃないですか?忙しい時間に紛れ込めば板場の人間はわかりませんよ。
そりゃ忙しいとき板場さん仲居さんの顔見る余裕はないけど。
大女将この推理大当たりですよ。
田代警部に教えてさしあげた方が。
ケンちゃんに任せといたらいつまでたったって次郎ちゃんの疑いはれないし。
いや〜さすが大女将!ちょっと思いついただけ。
いやいやいや…。
(トメ代)それではあちら消してまいります。
終わりました。
ここが最終コースだからこれでお袋たちは部屋に戻る。
うん!霊丘公園の最短距離はここしかないわね。
うん。
ここからだと人に見られることはないし…。
あとは時間だよな。
うん。
よし。
ヨーイ…!スタート!6分34秒。
あっちですぐ折り返してきたから殺す時間は入ってないの。
えーと殺すのに5分30秒かかったとしてもそんなに息が上がってたんじゃみんなに変だと思われるね。
無理みたいねこの時間じゃ…。
百合さんは犯人じゃないってことか?ハァ…!ごちそうさまでした。
ごちそうさまでしたお先に…。
ねえ若女将ちょっとお願いがあるんだけど。
私たち明日帰るじゃないですか。
だから今晩カニが食べたいな…。
ああ…渡りガニですね。
最初の日に出していただいてすごくおいしかったから…。
ありがとうございます。
源さん今日ガネは?はいちゃんと仕入れてありますからお出しできますよ。
うわー嬉しい!じゃあお願いします。
はい。
やっぱ言ってみるもんね。
若女将…今のお客さんの話で思い出したんですが山川さんあの日あっしのところへ…。
源さん忙しいところ悪いけど今晩ガネ出してくれないか。
ああはい承知しました。
頼むね。
そう…6時ごろこの板場に…。
事件に関係ないかもしれませんがちょっと思い出したもので…。
山川さんが…?あの夜11時過ぎにクラブから部屋へ戻って私はお風呂に行ったけど…。
紀子さんお風呂長かったわよね。
どれぐらい?1時間ぐらいだったかしら。
じゃあその間百合さんは1人でいたのよね?ええ…でもそれが?うん何でもないのありがとう。
司法解剖の結果は出てるが死亡推定時間を教えるわけには…。
次郎さんが無実の罪で死刑になるかもしれないんです!教えてください!いやあダメです。
大女将が訊いてくるようにと…。
ええっ?ハハハ…わかりましたよ。
ええっ!?山川が殺されたのは11時以降!?司法解剖の結果ね山川の死亡推定時間は11時から1時の間ですって。
霊丘公園には歩いても往復10分ちょっとでしょ。
だから紀子さんがお風呂に行ってる間に百合さんが霊丘公園へ行って山川を殺すことはできたはずよ!ううん!ちょっと待ってよ。
だって次郎君は11時に山川の死体を見たと証言してるじゃない。
次郎君が言ってることは嘘なの?ううん…次郎さんが嘘をついたんじゃないと思う。
山川は詐欺師だったんでしょ!?死んだときまで嘘をついたんじゃないかしら…。
死んだときまでって…死体が嘘をついたってこと!?彼は死体専門の役者だったんでしょ?次郎君が見たのは死体のふりをしていた山川!あの日山川は夕食にカニを食べたいといって源さんの板場に入り…そのとき次郎さんの包丁を持ち出して…。
その包丁を使って山川は死体のふりをし次郎さんを追い返したんだわ。
でもどうして追い返す必要が?どうせなじられるだけだから次郎さんには会いたくなかったんじゃない?そこへ女の人から会ってくれって言われたら…。
それが百合さん!山川が死体のふりをしたのは百合さんに唆されたからじゃ…。
そんな男追い返して私と会って。
追い返すって言ってもな…。
変装して死んだふりすればビックリして逃げるんじゃない?あなた俳優なんだもの…うまくだませるわよ。
そうか…そう考えれば次郎君の包丁が使われたことも山川の変装の謎も解けるし百合さんのアリバイも崩れる!すごいぞ千夏!よし行こう!えっどこへ?警察に決まってるじゃない。
行くわよ!でも…あれ…?
(クラクション)若女将!どこ行くんですか!?ああ…田代警部…!ちょうどよかった。
なるほど…「死体が嘘をついた」か…。
それで死亡推定時間を?はい。
これは私の推理で証拠はありません。
でもそれでいろんなことが説明がつくんです。
あとは百合さんが山川を殺す動機さえあれば…。
動機はある。
宮本百合の母親は再婚で百合の実の父親は8年前窃盗で捕まって松山刑務所に収監されている。
驚いたことにそのときの同房だったのが山川こと阪口だ。
ええっ…!?じゃあ百合さんが資産家の娘っていうのは嘘だったんだ。
まあ母親の再婚相手は地方の土地持ちですがね。
阪口がどういう経緯か昔同房だった窃盗犯の娘だと気づいたんでしょう。
例のヤマダハナコからの月々50万の振込みですがここ1年の宮本百合の銀行口座を調べたら50万をおろした日と山川名義の口座に50万振り込まれた日が一致してます。
山川は父親のことで百合さんを強請ってたのよ。
実の父親が窃盗犯じゃイメージダウンだもんな。
それと300万ですがやはり振り込まれた同じ日に宮本百合の口座から300万おろされてます。
そりゃ月々50万も強請られてたら殺したくもなりますよね…。
すべて状況証拠だが宮本百合を締上げてみるか…。
どうしたんださっきからミスばかりして…。
どうしたのかしらね?うん…。
もういい交代!
(2人)はい。

(うめき声)百合さんどうしたの?大丈夫!?どうした!?大丈夫か!?百合さんどうしたの!?
(中田)救急車早く!どうしたの!?どうしました!?急に倒れて…。
すぐに連絡だ!はいわかりました。
大丈夫かい!?
(救急車のサイレン)田代警部…百合さんの容態は!?すぐに胃を洗浄したんで何とか命は取り留めましたが…意識不明の危険な状態で…。
飲み物に何か入っていたんですか!?医者が言うには農薬の一種じゃないかと…。
農薬!?…じゃボトルに入れてたんでしょうか!?追い詰められての自殺でしょう。
自殺…!?何か証拠が?ええポケットの中にこれが…。
皆さんにはそのときの様子を伺いたいのでこちらへ…。
「山川こと阪口を殺したのは私です」…!?「死んでお詫びします」…。
百合さんが山川を殺した犯人で自殺を図るなんて…。
私は大女将の推理が当たってると思ったんですがねぇ…。
いいのよ慰めてくれなくて…。
慰めじゃなくてホントに…。
私自信がなくなっちゃった。
推理が外れたぐらいでそんなことおっしゃらないでくださいよ。
違うのよ人を見る目よ。
私にはあの人が自殺を図るなんて見えなかったけど…。
でもちゃんと遺書があって…。
だから自信がなくなったってそう言ってるでしょ。
大女将…私次郎さんを迎えに行ってきます。
千夏さん…あなたねえ事件のことどう思う?ああ…次郎さんの無実が晴れたのは嬉しいんですけど何かスッキリしないんです。
そうよねぇ…。
スッキリしないのよねぇ…。
明子さん…。
さあ…!ごめんなさい…私のせいで…私がバカだったから…!もういいよ…もういいって…。
いろいろ心配かけました。
よかったわね。
行こう。
明子さん…。
紀子さん。
千夏さん。
朝子さんと美恵さん予定どおり明日帰るそうだけど紀子さんは?私は徹さんと一緒に残ろうかって…。
そう中田さんと。
こんなことになってショックなのはわかるけど…元気出して。
(トメ代)若女将〜!はい!行かなきゃ。
一度座るとなかなか立てなくて…。
大変ね。
旅館の仕事って一日が終わると足がむくんで動くのもしんどいって…。
そうなのよ足がパンパンにはれて…。
若女将!こんなとこにいらしたんですか。
お待ちですよ。
じゃあね!あ〜山川の写真?うんさっきテニススクールの朝子さんから電話があってさ自分が写ってる写真やっぱり送ってほしいの…だって。
そう。
俺だったらさ殺された奴が撮った写真なんて欲しくないけどね。
そうよね…。
ん…?紀子さんどうしてこんな顔してるのかしら?ん?大当たり〜!静かにしなさい射的場じゃないんだから。
申し訳ございませんあんまりにもお見事だったもので…。
千夏さん?千夏さん!えっ?はっ?…はい。
あなたの番よ。
ええ…ああはい。
だめですねぇ若女将は!弓道は集中力が勝負よ。
何か心配事でもあるの?まだ寝ぼけてるの?事件も解決次郎さんの疑いも晴れたし…。
別に若女将が気にかけるようなことは…。
紀子さんのこと?私も気になってたのよ。
最初はあんなに幸せそうだったのに日増しに暗い顔になって…。
そりゃ無理もありませんよ。
いくら恋敵とはいえテニス仲間が殺人犯だったうえにそのうえ自殺されたんじゃそりゃショックですよ。
自殺を図る前からよ。
中田さんとうまくいってないんじゃない?まさか…。
えっ?えっ?あいいえ…。
また走ってる。
弓道場も走っちゃダメ!神聖な場所です。
はい。
ええっ!?百合さんは犯人じゃないかもしれない!?私たちの推理間違ってたのかもしれない。
そりゃないって。
だって遺書にも「自分は犯人です」って告白してあったし筆跡も百合さんのものだって…。
だから私も百合さんが犯人じゃないかと思ったんだけど考えてみたら百合さんのように気の強い人が自殺なんて考える?じゃああの遺書は?あれは偽造だったのかもしれない。
偽造!?うん何らかの方法で百合さん本人に書かせたんじゃ…。
じゃ千夏は…百合さんは自殺しようとしたんじゃなくて誰かが飲み物に毒を入れて殺そうとしたっていうの…!?百合さんきっと犯人に気づいたのよ。
ちょっと待ってよ。
犯人って誰だよ!?…紀子さん。
紀子さんが!?私も信じたくないけどねえ秀夫さん…この写真見て。
どう思う?気づかなかったけどこの紀子さん別人みたいだな。
何か怖いよ。
紀子さんきっとレンズの向こうの山川を見てるのよ。
この目まるで憎んでるみたいじゃない?じゃ紀子さんは山川を憎んでたっていうの?そうとしか思えない…。
でもさ紀子さんは恋人の中田が嫉妬するほど山川と親しそうにしてたんじゃなかったっけ?だから変なのよでも私たちの推理紀子さんでも当てはまらない?アリバイのこと?えーと紀子さんが風呂に入ってたから同室の百合さんにはアリバイがないって推理したけど逆にいえば紀子さんにもアリバイがないってことになるな…。
うん山川は紀子さんに近づこうとしてたぐらいだから紀子さんに死体のふりをして変装するようにって言われたら承知するんじゃない?うん…うん!でも動機は何だ?…それがわからないのよ!山川に言い寄られたくらいで殺すはずがないしな…。
事件があったのは紀子さんたちが来て3日目の夜だからその間に殺すほどのことがあったとは思えないし…。
ねえ…過去に何かあったんじゃないかしら?過去…?えーと山川は温泉旅館を泊まり歩いた結婚詐欺師だった。
温泉…。
旅館…!?大変ね。
旅館の仕事って一日が終わると足がむくんで動くのもしんどいって…。
あれは実際に働いた人じゃないと言えないわよ。
仲居さんや女将の私もそうだけど一日が終わると足がむくんで…。
きっと紀子さんの身近な人が旅館で働いてたのよ!その人が昔山川にだまされた!うん…殺すぐらいだからよほどひどい目にあったんじゃない?千夏…お前紀子さんのこと心当たりないの!?君の後輩だったんだろ!?うーん一緒だったの3か月だし紀子さんあんまり自分のこと話さなかったから…。
確か身寄りはなくて鹿児島出身って聞いたけど?指宿だ!指宿?うん紀子さんね指宿の高校からテニスのインターハイに出場して個人で6位になったって朝子さんがしゃべってた!指宿といえば温泉地よね。
旅館だってたくさんある!千夏…俺指宿行ってくるわ。
うん!もう一度打ち合わせしとこうよ。
後で俺と君の言うことが違ってたらまずいだろ?何か嘘つくのって…。
大丈夫だって。
もしばれたら必ず俺が責任取るよ。
うん。
えーと友達の名前は田中さんで今は商社に勤めてて昨日から長崎市に出張にきてる。
そいつが昨夜電話をかけてきて仕事が早く片付いたから今日市内で会わないかと言ってきた。
それであなたは旧交を温めようと喜んで出かけた!完璧だ!オッケー!クシャクシャになっちゃった…。
俺は指宿に行くんだよね!?あっ千夏!何かわかった!?話聞いてビックリと言うかあぜんと言うか驚愕と言うか…。
母さん今日はごめんね千夏から聞いてるでしょ?大学時代の友人の田中が長崎に出てきたんだよ。
市内で飲もうって言うから…お土産もらっちゃった。
いい奴なんだよ懐かしかったな全然変わってなくてね…。
秀夫さん!嘘ばれたの…。
千夏さんに嘘は無理よ。
すみません。
あなたは私の目を見て嘘を言うからタチが悪いわよ。
若旦那親をだますなんて親不孝な大女将がお気の毒ですよ!これお土産。
ちょっと…ばれたら責任取るって言ったじゃない。
千夏さん…こんな人ほっときなさい。
お酒さめるわよ。
はい…。
何してるのよ…早く行きなさい。
あっ…千夏…!あなたががっかりすることないでしょ。
そう…。
山川ってのはホント嘘で固めた人生を送ってきた奴だったんだよ。
許せないよ男として…。
百合さんが意識を取り戻した…?田代警部から連絡が…。
まだしゃべれる状態じゃないそうですけど近いうちに警察が事情聴取をしますって。
そう百合さん意識を…。
あんただったのか!?殺人未遂で現行犯逮捕する!中田さん…!?さあ…。
千夏がいない?そろそろ朝食の時間なのに厨房にも食堂にもロビーにもいないのよ。
母さんそれホント?捜査に協力してくれって言うから承知したんだけど昨夜遅かったから寝坊したんじゃないかと思って…。
まさか…!?「まさか」って?元気な子供たちの声が響いてたこの学校も6年前の火砕流で…。
友達も別れ別れになってどこにいるのか…。
ごめんなさい友達のあなたに罠をかけるような真似はしたくなかったんだけどあなたに罪を認めてほしかったの。
千夏さんあなたの気持ちがわかったから私自首するつもりで徹さんにすべてを話したの。
まさか彼があんなことをするなんて思いもしなかった。
中田さんは百合さんさえいなくなればあなたを失わなくて済む…そう思って…。
それだけあなたのことを愛してるのよ。
そんなに愛してくれてる人がいるのにどうして人を殺したりしたの!?紀子さん…。
だからつらかった…。
ホントにつらかった…。
でもあの男は許せない。
どうしても許せなかったの。
秀夫さん指宿に行って話を聞いてきたの。
あなたのお姉さん仲居さんをしていたそうね。
そう…指宿へ…。
お姉さんが仲居をしてた旅館では山川は伊藤と名乗ってたそうね。
しかも小説家だって偽って…。
姉結婚するんだって私に報告に来てくれた。
ホントに幸せそうに…。
えっ!?お姉ちゃん結婚するの!?あっすみません…。
もう…紀子に紹介したかったんだけど彼小説家として大成してからって…。
売れない小説家だったら苦労するんじゃない?彼お金持ちなの。
父親が残してくれた不動産があるって。
そう…お姉ちゃんには幸せになってほしい。
今までずっと私のせいで苦労かけてきたから…。
そんな…苦労だなんて。
ホントにおめでとう。
(姉)ありがとう。
あのときの姉の幸せな顔今でも目に浮かぶ。
中学のときに交通事故でご両親を亡くしてからお姉さん親代わりにあなたを育ててくれたそうね。
結婚もせず私に好きなテニスをやらせてくれて大学まで行かせてくれた…。
お姉ちゃんには幸せになってほしかった…。
誰よりも幸せに…。
大阪で山川と暮らすようになってからお姉さんから連絡は?落ち着いたら電話くれるって言ったのに全然…。
詐欺師の山川はお姉さんのお金を全部奪って暴力団系の金融業者から1千万円も借金させてソープランドで働かせて…自分は姿を消したのよ。
愛する人に裏切られてお姉ちゃんどんなにつらかったか…。
私にひと言も…。
あなたにも害が及ぶのを恐れて何も言えなかったんだわ…。
取り立て屋は指宿に逃げ帰ってきたお姉さんをしつこく追いかけてきたぐらいだもの。
バカよ…お姉ちゃん。
1人で苦しんで命を絶つなんて…。
幸せに暮らしてるとばっかり思ってたのに…!あんなに変わり果てた姿になって…。
(紀子)仲居の光子さんに姉の身に起こったことを聞いて…私…信じられなかった。
どうしてこんなことに…!?お姉ちゃん…!どうして…!?伊藤って男を逮捕してください姉はこの男に殺されたんです!逮捕してください!あんたの気持ちはわかるが自殺したんだあんたのお姉さんは!自殺じゃない殺されたんです!伊藤が姉をだましてひどい目に遭わせたからだから!どうにかしてください何とか捕まえてください!でなきゃ忍さんが浮かばれませんよ!被害者が死んだ以上詐欺罪で立件するわけにもいかんだろう!そんな…!お姉ちゃんを殺した男が何の罪にも問われないなんて…!こんなひどいこと…!
(泣き声)私もしその男に出会うことがあったら殺してやる…そう心に決めたの。
だからいつもバッグに農薬と姉が最後まで身に付けてた写真を。
写真?お姉さん自殺したときもこの写真を?きっと悔しかったんだと思う…。
この男を道連れに死ぬ…そんな気持ちだったんじゃ…。
この写真があったから山川が伊藤だってすぐにわかったのね。
まさかホントにあの男と出会うことがあるなんて…。
一目惚れなんだ。
えっ?君に初めて出会った瞬間この人しかいないって…。
君に彼がいるのは知ってるよ。
でもこの気持ち抑えられなくて。
誰にでもそんなこと言ってるんでしょ。
違うよ僕はそんないいかげんな男じゃない。
こんな気持ちになったのは初めてだ。
出会って間もない君にこんなことを言うと驚くかもしれないけど…結婚してほしい。
今まで女の子を好きになったことはないとは言わないけど結婚したいなんて思ったのはこれが初めてなんだ。
信じてよ。
中田さんがいるのに殺すことに迷いは…。
あの男が私を口説いたりしなければ殺さなかったかもしれない…。
でもきっと姉もこんなふうに…そう思ったら私…たまらない気持ちになって…。
それで…殺すことにしたのね…。
夕方庭で会ったあの男に夜人目につかないように会ってほしいって…。
嬉しいよ君が僕の気持ちわかってくれて。
でも11時に人と会う約束があるんだ。
私を好きだって言ってくれたの嘘だったのね。
嘘じゃないよ。
じゃあそんな人追い返して。
僕だって会いたくないさ。
前科のある奴でね何か僕のこと誤解してるみたいなんだ。
山川さん前に刑事ドラマで死体の役をやったって話してたわね。
(笑い声)遊びでね。
変装して死体のふりすればその人驚いて逃げるんじゃない?とっさに思いついたの。
11時に山川の死体が目撃されればアリバイがつくれると思って…。
まさかその人が千夏さんのホテルの板前さんで犯人だって疑われるなんて…。
それで11時過ぎまでみんなと一緒にいてアリバイをつくりその後お風呂に行くって霊丘公園へ…。
チョロイもんだよ君の言うとおり死体のふりしたらビビって逃げてったよ。
演技上手なのね。
君に会いたい一心だよ…。
私も見たいな。
ん?あなたの死体の演技。
フッ…かしこまりました。
いいかい?ウッ…!ホントに死んでるみたい…。
(笑い声)
(叫び声)あの男を殺したこと後悔なんかしてない。
百合さんはどうしてあなたの犯行だってわかったの?お風呂に行ってる間に私のバッグから…。
そのカーディガン血がついてる。
山川を殺したのはあなただったのね。
動機は…この写真?このことは黙っててあげる。
その代わり中田さんと別れて。
あなたが庭で待ってるって中田さんに言っとくから今すぐ別れて。
「いや」とは言えないでしょ?
(笑い声)じゃああの夜中田さんに別れ話を持ち出したの?でも徹さん「別れない」って言ってくれたの。
だから私百合さんに…。
別れられない!?私彼を愛してるの。
人を殺しといてよくそんなことが言えるわね。
彼を失うくらいなら死んだほうが…。
じゃあ死ねば?死んでよ。
ちゃんと遺書残して。
遺書…!?黙って死なれちゃ困るのよ。
どうせ死ぬんだからホントのこと教えてあげる。
私山川に強請られてたの。
嫌な男だけど女を口説くテクニックは一流だからあなたを誘惑させることにしたの。
300万円払って…。
つまり私にも山川を殺す動機があるってこと。
だからあなたに遺書を書いてもらわなきゃ困るのよ。
若女将は私のこと疑ってるみたいだし…。
このとおり書いて。
「山川こと阪口を殺したのは私です。
死んでお詫びします」。
わかったわ。
話がわかるじゃない。
(電話)はい…宮本百合は私です。
(紀子)彼女が電話をかけてるすきに彼女の筆跡を真似て遺書を書いた。
そしてもう1枚自分の筆跡で書いて…。
(百合)わかりましたそれじゃ…。
彼女は私が真似たものを自分が書いたものだと思って燃やした。
そして次の日山川を殺すために持ってた農薬を百合さんの飲み物に入れて…。
百合さんが書いた遺書をテニスコートで…。
(百合のうめき声)大丈夫!?許せなかった…百合さんも私から徹さんを奪うためにあんなひどい男に私を誘惑させようとするなんて…。
そのうえあなたを脅かし…それがかなわなかったら死ねだなんて…ひどい人ね百合さん…。
私千夏さんに憧れてたの。
いつも明るくて元気で…どんなことにもめげない。
私もそんな人になりたいって…。
千夏さん…ありがとう。
紀子さんダメ!死んじゃダメ!死なせて!私もう死ぬしか…!中田さんを残して死ぬの!?彼に何て言ったらいいか…死んでお詫びするしかないの!彼はあなたのために人を殺そうとまでしたのよ!?紀子さんも彼を愛してるんでしょ!?人を殺したことは許されることじゃないわ。
でも警察だってきっと紀子さんの気持ちわかってくれると思う。
ちゃんと罪を償って…。
中田さんのためにも…。
そして亡くなったお姉さんやご両親のためにも精一杯生きて…幸せにならなきゃ…!ねえ紀子さんうんと幸せに…!紀子さん!島原の精神…がまだすよ!がまだす!千夏さん…あなたは刑事でもない探偵でもなく南風楼の女将です。
はい!返事はいいけど仕事を放り出して事件にかまけて女将の自覚があったらそんなことはできないはずでしょ。
おっしゃるとおりですよ!ちょっと母さん千夏だってやむにやまれず…!秀夫さん…大女将のおっしゃるとおりです。
仕事をおろそかにしてしまったこと申し訳ありませんでした!わかってくれたんならいいけど。
はい。
じゃ仕事戻ります。
大女将甘すぎますよ!若女将が今回のことで懲りてると…?若女将はよく言えばめげない言い換えれば懲りない方ですから。
そんな言い方しなくても…。
私は大女将がお優しい方だからあえて申し上げてるんです!トメさんの言うとおりよ。
じゃ今回は給料カット休日返上はなしね。
誰がそんなこと言ったの?お給料はカット休日は返上です。
ハァ!?罰としてあんたたちが堪えるようなこと…。
俺たちが堪えるようなこと…?何でも言ってください私頑張ります。
これですもの若女将が堪えるようなことなんて…。
アレですよ。
どれ…!?千夏…俺もうダメ。
足がしびれてきた。
じっとしてるのってこんなにつらいことだったのね…。
でもお母様ってすごいわね。
私の弱点見抜いてるもんね。
感心してどうすんだよ?
(肩を叩く音)
(肩を叩く音)イタ…!さすが大女将…堪えてますよ堪えてます!これで千夏さんも少しは落ち着いてくれるでしょ。
(2人)ああ…!給料カット休日返上のうえに毎日1時間の座禅。
しかも無期限だよ。
何か体固まっちゃったわよ。
あら…ホテルまで競争しようか?ハァ!?がまだす!がまだす?行くわよ。
ヨーイ…!こっちだよ。
こっちよ。
こっちのほうが近いよ。
こっち!ヨーイ…負けたら風呂掃除!スタート!こらーっ!2015/05/22(金) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
温泉若おかみの旅情殺人推理[再][字]

長崎、島原普賢岳、宿泊客の中に真犯人がいる!死体が嘘をついた理由

詳細情報
◇出演者
東ちづる、岡田茉莉子、渡辺いっけい、大宝智子 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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