JR長崎線:特急同士あわや正面衝突 緊急停車で回避
毎日新聞 2015年05月22日 20時16分(最終更新 05月22日 23時36分)
◇あと93メートル けが人なし
22日午後0時20分ごろ、佐賀県白石町のJR長崎線肥前竜王駅で、博多発長崎行き下り「特急かもめ19号」(7両編成)が本来の進路を外れて待避線に進入し、運転士が非常ブレーキをかけて緊急停車した。待避線にはすれ違い待ちのため長崎発博多行き「かもめ20号」(6両編成)が停車しており、19号と20号は同じ線路上に93メートル離れて向かい合う形となった。乗客計約230人にけがはなかった。
JR九州によると、現場は単線区間で、本来は隣の肥前鹿島駅ですれ違う予定だった。しかし、19号の運転士が肥前竜王駅の手前で異音に気付き、約300メートル走って同駅の信号機のほぼ真横で停車した。このため、すれ違う駅を同駅に変更し、19号が安全確認をしている間に20号が到着した。
20号が待避線に入ったのを受けて、JR九州指令が運転再開の許可を出したが、この時、19号が停車している位置について、運転士と指令の間に食い違いが生じていた。運転士は既に信号機を越えていると認識し、発車指示が出たことでポイントが直進方向になっていると思っていた。だが実際は信号機の直前で止まっており、指令側は少し進んで信号機で再び停車した後、ポイントを直進側に切り替えるつもりだった。
国土交通省運輸安全委員会は同日、事故につながる恐れのある「重大インシデント」と判断し、鉄道事故調査官2人を現地に派遣して原因の調査を始めた。
長崎線は特急19本、普通列車13本が運休したほか、特急6本と普通11本に最大約7時間の遅れが生じ、約6000人に影響した。【尾垣和幸、松本惇】