韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が、崖っぷち寸前にいる。6月に予定している訪米で、オバマ大統領率いる米政府から弾道ミサイル迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)の韓国配備を迫られる可能性が高まってきたのだ。経済で依存する中国の強硬な反対に配慮して、決断を先送りにしてきた韓国だが、ついに「二股外交」は限界を迎えるのか。
「北朝鮮の挑発に備えねばならない。THAADなどについてわれわれが話す理由だ」
ケリー米国務長官は18日、ソウルの在韓米軍基地で突然こう語った。直前に行われた尹炳世(ユン・ビョンセ)外相との米韓外相会談では、THAADについては取り上げられなかったため、韓国外務省はパニック状態になったという。
続いて、米国務省のローズ次官補が19日、ワシントンで開催された討論会で、「米国は、韓半島にTHAADの永久配備を考えている」と発言した。米統合参謀本部のウィニフェルド次長も同日、ワシントンでのセミナーで、「米国は、北朝鮮の脅威のため、韓国と在韓米軍の防衛力増強に向けてTHAADを使う可能性に関心を持っている」と語ったのだ。いずれも、東亜日報(日本語版)が21日報じた。
THAADとは、米国が韓国での配備を目指す、ミサイル防衛(MD)システムの中核だ。海上配備型迎撃ミサイル(SM3)が大気圏外で敵弾道ミサイルを撃ち漏らした場合、最新鋭の地上配備型迎撃システムであるTHAADが大気圏内の高高度で撃ち落とすという。
迎撃ミサイルとともに、敵のミサイル発射を早期探知する高性能レーダーの配備も必要となる。このレーダーが配備されると中国国内のミサイル基地の動向が丸裸になるため、中国は猛烈に反対してきた。