スペイン語の絵本(ラテンアメリカやスペインの絵本)と日本語の絵本についてと、日常のあれこれをつづります。
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ぼくのともだち ドラゴン ーニカラグアの絵本ー
 ぼくのともだち ドラゴン

    原書の情報

タイトル:ぼくのともだち ドラゴン(Mi amigo el dragon

:アルベルト・サンチェス アルグエージョAlberto Sánchez Argüello)

絵:ウェン・シュウ・チェン(Wen Hsu Chen

発行年:201年 

出版社:Libros para Niños

 

ニカラグアの読書推進団体「リブロス・パラ・ニーニョス(Libros para Niños)」主催 第1回中南米児童文学コンクール最終ノミネート作品

 

絵本を1冊購入すると、本を買ってもらう機会に恵まれないニカラグアの子どもに1冊無償配布することになっている。

 

   あらすじ

とうさんは、しらない。ぼくのポケットにドラゴンがいることを。ドラゴンは、ブローチみたいにちっちゃくなったり、山みたいにおおきくなったりする。わたしのドラゴンは、夕方になるとマンゴを山ほどたべるの。ぼくのドラゴンは、こわいゆめをつかまえてくれるんだ。わたしのドラゴンは、コウモリとともだちなの。ぼくのドラゴンは…。

 

ピニャータのドラゴン、マンゴ好きなドラゴン、カメレオンドラゴンなど各ページにそれぞれ登場するドラゴンたちは、どれもラテンアメリカオリジナルのドラゴンばかり。さまざまな人種の子どもと、いろんなドラゴンが登場する絵本。

 

   作者について:

文:アルベルト・サンチェス・アルグエ―ジョ

1976年、ニカラグアのマナワ生まれ。心理士。児童文学作家としてだけでなく、大人向けの作品も手がける。ニカラグアの子どものための読書推進機関「リブロス・パラ・ニーニョス」主催の児童文学コンクールで最優秀賞等、受賞歴多数。本書『ぼくのともだち ドラゴン』は、第1回中南米児童文学コンクールで最終ノミネートされた作品

 

絵:ウェン・シュウ・チェン

コスタリカのイラストレーター。コスタリカ大学で建築を専攻、建築家として働いた後に米国ロードアイランド・スクール・オブ・デザインで美術学士号を取得。水彩とカッティングペーパーの技巧で高い評価を得ており、野間国際絵本原画コンクールでグランプリを受賞する等受賞歴多数。『まぼろしのおはなし(El cuento fantasma)』(アマヌエンセ社)は、ブラティスラヴァ世界絵本原画展で出版奨励賞を受賞した。

 

  おはなしの一部

 

とうさんは「おまえ、ますます おもくなったな」って、ぼくに いう。
とうさんは しらない。ぼくのポケットに、ドラゴンがいることを。



わたしのともだちのドラゴンは、ゆうがたになると、マンゴーを山ほどたべるの。



ぼくのともだちのドラゴンは、ぼくがねているあいだに、わるいゆめを のみこんでくれる。


………

よる、そらの ひかりをかぞえてみる。とうさんは、星だよっていうけれど

ほんとうは、ドラゴンの目が ひかってるんだよ。

| 18:08 | スペイン語の本 Libros españoles | comments(2) | trackbacks(0) |
チョウチョとりめいじんのクマ
 Oso cazamariposa

■ 原書の情報

タイトル:チョウチョとりのクマOso Cazamariposas

文:スサンナ・イセルン (SUSANNA ISERN) / 絵:マルジョリー・プルシェ(Mariorie Pourchet

出版社OQO Editora 2012/スペインの出版社

 

■ 本書について

友情、優しさ、恩返しがテーマの絵本。

 

■ あらすじ

森にくらしていたクマは、ぐうぜん見つけた虫とりあみで、湖におちたチョウチョをたすけてあげました。さっそく、チョウチョのぬれた羽をかわかすために、クマは鼻のあたまにチョウチョをのせてまつことに…。

 

ところが、目がさめたチョウチョは、おおきなクマを目のまえに、あわててとんでいってしまいました。それからも、クマは湖におちたチョウチョをたすけては、鼻のあたまでかわかしてあげるのですが、いつだって、チョウチョたちはおどろいてとんでいってしまうのです。

 

そんなある日のこと、クマの鼻のあたまからにげださないチョウチョがいました。なまえはブランカ、大きなしろいチョウチョです。ブランカとクマはともだちになり、まいにちいっしょにすごすようになりました。

 

ところがある日、こんどはクマが湖におちてしまったのです!およげないクマをたすけようと、こんどは、クマに助けてもらったチョウチョたちがいっせいにあつまり、雲のようにひとつになってクマをたすけにあらわれたのです…!

 

■ 感想

きめ細かい繊細なタッチで描かれた素敵な絵本。人の良いおとぼけクマとおおきなかわいらしいチョウチョのブランカとの出会い、そして仲間のチョウチョたちが一丸となってクマをたすける場面の色とりどりのチョウチョたちのきれいなこと!作者はスペイン人だけど、画家はフランス人。だからかな?オシャレな絵柄にうっとりします。


   おはなしの一部

 

森に、いっぴきの クマがすんでいました。


クマがすきなことは さんぽ、

みずうみのほとりで おひるね、

森でみつけた いろんなものを、

ひろってあつめることでした。


ある日のこと、木のえだに

虫とりあみが ひっかかっていました。

クマは ワクワクしながら、おもいました。

「これで、なにをしようかな?」

………………………………..

 

| 01:37 | スペイン語の本 Libros españoles | comments(2) | trackbacks(0) |
ペルーの児童書事情について
  ペルー


国際子ども図書館さんのお仕事で、1年かけてペルーの児童書調査をしました。


長距離マラソンのような仕事でしたが、ようやくカタチになってほっとしています。

 

ペルーのブックリスト

http://www.kodomo.go.jp/info/foreign/pdf/booklist_peru.pdf

ペルーのブックリスト等に係る報告書

http://www.kodomo.go.jp/info/foreign/pdf/report_peru.pdf

 

報告書にも書きましたが、ペルーに暮らす日系人は 約 8 万人以上と言われています。また、法務省「在留外国人統計(2014 6 月末)」では、日本に在留するペルー人の数は48,263人となっています。


多文化共生と言われる今、 在日外国人児童を対象にした読書支援、読書環境の充実は益々求められるでしょう。

 

今回のブックリストが、在日外国人児童の子どもたちの支援に少しでも役立ってくれたらと…願っています。

 

 

| 21:29 | 日々のあれこれ | comments(0) | trackbacks(0) |
なんていう? ―グアテマラの絵本―
como se dice

    原書の情報

タイトル:なんていう?(¿Cómo se dice?

:ローレンス・シメルLawrence Schimel)

:ロミーナ・ペルニゴッテRomina Pernigotte

発行年:201 

出版社:Grupo Amanuense社 

 

   あらすじ

お城であそびたいって、王さまにおねがいするとき、なんていう? クマがあなたのいえで、春がくるまで 冬眠していいって いってきたら、なんていう? 「おねがい」そして「ありがとう」の場面を想像力たっぷりに紹介し、新たな想像力のレベルへと導いていく絵本。

 

   作者について:

文:ローレンス・シメル

1971年、ニューヨークで、母親と同じ病院で生まれた。15年以上前から、スペインのマドリッドに住んでおり、詩人や翻訳家として活躍する他、大人向け子ども向けの本を多く執筆している。『パパのところへ』(エカレ社、邦訳は岩波書店)、『庭にあるなぞ』(カランドラカ社)など多数。彼の作品はIBBY障害児図書推薦リストにも選定されている他、ホワイト・レイブンやベネズエラ優良図書などにも選定されている。

 

絵:ロミーナ・ペルニゴッテ

1875年、アルゼンチンのブエノス・アイレス生まれ。幼少期、叔母のマルガの幼稚園が、まるで自分の家のようで、様々な色や音や絵に触れて育った。その後も、幼少期に過ごした思いがずっと心に残っており、そうした思いや感情を絵にしている。幼少期から絵を学ぶ。水彩、インク、鉛筆画など様々な技法で絵を描く。また、アルゼンチンのタンゴが大好きで、時々絵を描く合間に、タンゴを踊っている。

 

  おはなしの一部

 

ケーキやさんへいったとき、

あじみようのクッキーをもらったら、

なんていう?

 

………………………….

クマがあなたのいえで

はるがくるまで とうみんしたいって いってきたら、

なんていう?

 

............................

こんどは、ドラゴンが

せなかにのせてくれて、王国のうえをとんでくれたよ。

なんていう?

...........................

ねるまえに、

本をよんでもらいたいとき、

なんていう?

 

 

……………………………

 

| 23:05 | スペイン語の本 Libros españoles | comments(2) | trackbacks(0) |
ちひろ美術館<企画展>聖コージズキンの誘惑展を見てきました。


koji suzuki1

「聖コージズキンの誘惑展」へ行ってきました。


ああ、すばらしきラテンカラー。Viva la Vida(ビバ・ラ・ビダ:生命万歳)の世界です!
まるでメキシコの壁画を見ているようでした。

事実、メキシコ、バリ、東欧など、各地を旅するなかで、「先住民がつくるもののなかに、『僕』を見つける」とのコメントが。

シャガールのように空飛ぶ人々であったり、東欧の赤であったり、メキシコの壁画のようであったり…。各国のエキゾチックな要素が混ざり合っていて、とても興味深いです。

でも、私的には、やはりスズキコージさんの中にあるラテン(特にメキシコ)の部分にすごく魅かれました。

そして、すごいのはアウトプットでは完全に「スズキコージワールド」になっていることでしょうね。誰にも真似のできないオリジナルワールド。生命力あふれるエネルギッシュな空間でした。




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天井にはメキシコの伝統的な切絵細工パペルピカドが飾られてありました。



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左は「絵を描きたくなるアトリエ」の一部です。巨大な絵具がたくさん置いてありました。








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このガイコツも洒落てますよね。メキシコでは死は生の一部。死は恐れるものではなく、つねに身近にあるもの。生と死は一体…。
そうした死生観を持つメキシコには、ステキなガイコツグッズやイラストがあふれています。きっとスズキコージさんも、メキシコのガイコツに魅かれたのではないでしょうか?


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この右側にあるのは便器です。タイトルも「HEART BENZA」、「獣BENZA」、「PIANO BENZA」など。素敵な便座の数々!



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お庭には、顔抜きパネルがあります。この裏側が…
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ブルーになっていた!

絵本になった!『窓ぎわのトットちゃん』展も同時開催中です。
対照的なお二人の世界を満喫できます。


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スズキコージ展覧会公式絵本『アッチ コッチ ソッチの歌』(2014年 未知谷)
この本はとってもおすすめです。2008年〜2014年の間の作品をセレクションしたものが紹介されています。一輪車ウサギ、ギターウサギ、それから惑星の絵がかわいらしくて、絵本を買うつもりが、結局こちらの購入となりました。

絵本はこちら♪
ちひろ美術館ギャラリーでも購入できますよ。





お時間のある方はぜひぜひ。

今回、ブロガー特別鑑賞会に参加させていただいたので、写真撮影の許可を頂いて撮影しています。


期間:2015年3月1日(日)〜5月24日(日)
場所:ちひろ美術館・東京(展示室2・4)
http://www.chihiro.jp/










| 13:14 | 日々のあれこれ | comments(0) | trackbacks(0) |
はじめての翻訳絵本 『まぼろしのおはなし』
まぼろしのおはなし

まぼろしのおはなし



世の中には、たくさんのおはなしが あふれています。トカゲのしっぽみたいに
ながいおはなし、みじかすぎて おしまいのことばすらないおはなし、みんなちがっているのです。色とりどりの鳥のはねのように。さまざまな人のかおのように。大きなイチジクの木の、かぞえきれない木の葉のように。


以前紹介した記事はこちらです。





この度、翻訳絵本としてワールドライブラリー さんから『まぼろしのおはなし』を出していただくことになりました。





2013年にこの絵本に出会い、この絵本を通じて思いもよらぬ方々との出会いがたくさん生まれました。1冊の本から、世界が広がりました。





以前、自分のHPやブログには「目の見えない世界がどのようなものか、目の見える人に知ってもらうおはなし」と書きました。けれど、そもそもオリジナルは点字の絵本だと分かり、では、目の見えない人にとって、この絵本はどう響くのだろうと、ずっと考えています。





私は『まぼろしのおはなし』を初めて読んだとき、すこし泣きました。今まで読んできたラテンアメリカの絵本の中で、これほど繊細な絵本に出会ったことはありませんでした。「みんなちがっているのです」という言葉に、「こんなすばらしいおはなしは、ほかにはない」という言葉に、心がゆさぶられました。





この間、池袋のジュンク堂で「見えない子も、見える子も、いっしょに楽しむ絵本の世界」のトークイベントに参加してきました。このイベントのテーマのように、『まぼろしのおはなし』も見える子も、見えない子にも心に響く絵本であったらと願わずにはいられません。





この絵本のオリジナル版については、「点字があることが本の美しさの一部になっている」と、編集の担当の方は言いました。たくさんの人に手にとってもらえるようにと、ハードカバーにしていただきました。読む人によって感じ方はさまざまだと思います。目の見える人にも、見えない人にも心に響くと願いつつ、それが本当のところどうなのか…。その答えを知るために、これからいろんな人の声を聞いていきたいと思っています。今回は墨字本としての出版となりましたが、今後は点字本としての可能性も探っていけたらと思います。





人生は儚い。日々これ最後と思って、やり残しのないように…。そんな気持ちもあり、2011年の5月にブログをはじめました。カタチにならなくても、前のめりに倒れて終われば本望。そんな風に思うようになってから、それまで書きためてきたものを、絵本の紹介記事にしてブログに載せてきました。





私にとって絵本さがしの旅は、鉱山でダイヤモンドの原石を発見するようなものです。ラテンの心豊かな絵本を紹介したい。そんな想いでつらつらと書いてきて、カタチにこだわらずなんて言ってきましたが、やっぱりカタチになるのはうれしいものですね。





これまで、ブログやHPを通じていろいろな方々との出会いがありました。優しく、強く背中を押してくれたみなさまに、心から感謝しています。本当にありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしくお願いいたします。








| 23:10 | スペイン語の本 Libros españoles | comments(2) | trackbacks(0) |
アール・ブリュット展に行ってきました。
アール・ブリュット展
アール・ブリュット展に行ってきました。
 
展示会会場は、中野マンガ・アートコート。旧桃丘小学校だったところです。


アール・ブリュットは、「加工されていない生(き)の芸術」という意味なのだそう。


つまり、正規の美術教育を受けていない人々が、独自の発想で制作した作品の数々。


アールブリュット


それはもうダイヤモンドの原石のような作品の数々。強烈な印象となって心に焼きつきます。


だれかに見てもらおうとか、認められたいといった欲ではなく、

描くと安心する といったコメントも。

街で目に留まる看板や目にする工程を自作のノートに記録して、

いっぱいになるとセロテープで止めて封印するのだそうです。

これでおしまい、という意味だそう。


 


中野のサンモール商店街が、空中ギャラリーに。

中野ブロードウェイには、階段ギャラリーになっていて、作品ポスターなどが展示されています。




興味のある方はぜひ。



生きるエネルギーが感じられます。



| 23:15 | 日々のあれこれ | comments(2) | trackbacks(0) |
だいすき ぎゅう ―ベネズエラ人作家とイタリア人画家の絵本―
 だいすき ぎゅっ

   原書の情報


タイトル:だいすき ぎゅう(NO HACE FALTA LA VOZ


アルマンド キンテーロArmando Quintero)

マルコ・ソマMarco Somá


発行年:2013年 


出版社:OQO Editora社 

 


   あらすじ


たくさんのどうぶつたちは、なきごえで すきだよってつたえたり、すてきなことばをいったりします。いぬはワンワン、こいぬはキャン。ねこは、ニャーニャー、こねこは、ミャー。めんどりかあさん、コケコッコー。ひよこたちは、ピヨピヨピヨ…。

 

ところで、キリンは? キリンには、なきごえがありません。もちろん、ちびキリンにも…。けれど キリンには、とってもながいくびがあるんです。ママきりんは、ながいくびで ちびきりんを いいこ いいこ、やさしくなでてあげます。


あるひのこと、ちびきりんは ママから たくさんぎゅうをしてもらいました。とっても ここちよかったので、ちびきりんは、ともだちの ぞうくんに ぎゅうをおしえてあげました。ぞうくんは、とらくんに ぎゅう。とらくんは、おおかみくんにぎゅう。おおかみくんは、うまくんにぎゅう。こうして、いつのまにか みんなが ぎゅうをするように!


こえにださなくても、ぎゅうってだきしめることで つたわるんだって、わかったんです。だいすきママ!だいすきパパ!だいすき…。

 

   感想


楽しいとき、悲しいとき、どんなことばをかけてよいか分からないときは、言葉よりも ぎゅうっとだきしめるほうが ずっとたくさんのことが伝わりますよね。言葉をおしえこむよりもずっと大事で、木の根っこにたくわえる水のようなものかな。ふとくたくましい木にそだつために…。

 


   作者について:


文:アルマンド・キンテーロ


作家、語り部(オーラルナレーター)。1944年ウルグアイ生まれ。1978年からベネズエラへ移住。大学教授として、またイラストレーターとしても活躍。1987年、読み聞かせグループ「あおいうしのおはなし(Los cuentos de la Vaca Azul)」を設立。さらに1991年、アンドレス・ベジョ大学の読み聞かせグループを主催し、ワークショップ等を開催しながら会の運営に携わっている。自ら語り部としてラテンアメリカ各地で活躍。国内外で受賞歴多数。

 

受賞作品歴

2004年 『森にあるばしょ(Un lugar en el bosque)』がKalandraka社から出版され、ベネズエラのバンコ・デ・リブロ優良図書に選定されたほか、2006年ウルグアイ国民児童文学賞の受賞作になった。さらに、スペインの出版社Editorial OQOから、カタツムリシリーズ5冊の絵本を出版。この作品は、スペインのガリシアの児童文学賞「Xosé Neira Vila」にノミネートされた。

 

絵:マルコ・ソマ

1983年生まれ。イタリア人イラストレーター。美術アカデミーで絵画を学び、卒業後、さらにマチェラータにある美術アカデミーでイラストレーションを学ぶ。2011年、2013年、2014イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選。イタリアで活躍する受賞歴多数の若手イラストレーター。

 


 

■ おはなしのいちぶ


こえをだしてなくどうぶつは、たくさんいます。

なきごえで、すきだよってつたえたり、すてきなことばをいったりするのです。

 

いぬのなきごえは、ワンワン。

こいぬたちは、キャンキャン。

 

ねこは、ニャーニャー。

こねこは…ミャー!

 

めんどりかあさん、コケコッコー。

ひよこたちは、ピヨピヨピヨ。

 

ところで、きりんは?

きりんには、なきごえがありません。

もちろん、ちびきりんにも…。

 

………

 

あるひのこと、

ちびきりんは、ママからたくさんぎゅうをしてもらいました。

 

とっても ここちよかったので、

ちびきりんは、ともだちのぞうくんに

ぎゅうをおしえてあげました。

 

 

………

| 10:45 | スペイン語の本 Libros españoles | comments(2) | trackbacks(0) |
ごめんくださーい! ―チリの絵本―
ごめんくださーい!

■    タイトル:ごめんくださーい!《POR FAVOR POR FAVOR》 
作者:ビルヒニア・エレーラ・バンヘルテール(Virginia Herrera Bangerter
発行年:2012
出版社:Pehue’n  Ediciones (ぺウエン社)
 
2012年、チリパシフィコ大学とぺウエン社主催 絵本コンクール最優秀賞作品
 

■あらすじ

 

あるひ、こぶたのチャンチャは、とってもおなかがすいて目をさましました。あちこちたべものをさがしてみたけれど、みつけたのはソラマメひとつぶ。そこで、おとなりのウサギさんをたずねることにしました。「ごめんくださーい!」。りっぱな畑をもっていたウサギさんは、こぶたのチャンチャに、にんじんをおすそわけ。こまったときは、おたがいさま。

 

さて、こぶたのチャンチャをたすけたウサギさん、たいせつな歯をみがくハブラシがみつかりません。そこで、おとなりのニワトリさんの家にいきました。「ごめんくださーい!」

 

それからというもの…ニワトリさんはヒツジさんに、ヒツジさんはネコさんに、ネコさんはモグラさんに、モグラさんはハリネズミさんに、ハリネズミさんはカメさんに…。

 

さいごは、まくらがみつからないハリネズミさんは、ものしりのカメさんをたずねます。「カメさん、まくらもってる?」カメさんは、ハリネズミさんをみておおわらい!「もう、ハリネズミさんったら、おっちょこちょいなんだから。まくらなら、きみのあたまにささってるよ!」

 

 

 

■作者について:

ビルヒニア・エレーラ・バンヘルテール(Virginia Herrera Bangerter

1984年ベネズエラ生まれ。ビジュアルアートを学び、各地でイラストのワークショップを開催。2012年、チリパシフィコ大学と出版社ぺウエン主催 の絵本コンクールで最優秀賞を受賞。その後も、チリの出版社各社より本を多数出版。社現在はチリのサンティアゴに在住。

 

 

おはなしのいちぶ 

あるひ、こぶたのチャンチャは とっても とっても

おなかがすいて めがさめました。ぐーぎゅるぎゅるるー! おなかのおとも、きこえてきます。

 

チャンチャは キッチンのとだなを あけてみました。

けれど、みつけたのは、ソラマメ ひとつぶ…。

 

そこで、おとなりのいえのウサギさんに、たすけてもらうことにしました。

「ごめんくださーい!ウサギさん、たべものを すこし わけてもらえませんか?」

ウサギさんは、りっぱな ニンジンばたけをもっていたので、チャンチャは おなかがいっぱいになりました。

 

 

おつぎは ウサギさんです。ねるまえのハミガキをしようとしたところ、ハブラシが みつかりません。

………………………

「ごめんくださーい!ニワトリさん、ハブラシを、もっていませんか?」

………………………

 

 

ニワトリさんは、あみもののとちゅう。ところが、けいとが たりません!

………………………

「ごめんくださーい!ヒツジさん、けいとを すこし わけてくれませんか?」

………………………

 

 

ヒツジさんは、いそいそ いえにもどると、できたてのスープを かきまぜました。

ところが、かくしあじにたいせつな ちょうみりょうが ありません。

………………………

「ごめんくださーい!ネコさん、スープのちょうみりょうを わけてもらえませんか?」

………………………

 

 

ネコさんは やねにもどると、いえのしゅうりに とりかかりました。

ところが、くぎをうつ とんかちがみあたらりません。

………………………

「ごめんくださーい!モグラさん、とんかちを もっていませんか?」

………………………

 

 

モグラさんは いえにもどると、おちゃをのんで ひといきつこうとしました。

ところが、おちゃにいれる おさとうがありません。

………………………

「ごめんくださーい!ハリネズミさん、おさとうを すこし わけてもらえませんか?」

………………………

 

 

ようやく おやすみのじかんです。ハリネズミさんは、あくびをして、うとうとしかけました。

ところが、おきにいりの まくらが みあたりません。

………………………

「ごめんくださーい!カメさん、まくらをもっていませんか?」

………………………

 

 

カメさんは、ハリネズミさんをみたとたん、おおわらい。

「ハリネズミさんったら、おっちょこちょいなんだから。まくらなら、きみのあたまに ささってるよ!」

………………………

 

 

ながいいちにちが おわり、ハリネズミさんは スヤスヤゆめのなか。

「ありがとう!みんな、また あしたね!」

 

 


| 16:20 | スペイン語の本 Libros españoles | comments(2) | trackbacks(0) |
イエラ・マリ展へ行ってきました。
『木のうた』イエラ・マリ作 ほるぷ出版


イエラ・マリ展 
―字のない絵本の世界― へ行ってきました。

 
木のうた 秋
『りんごとちょう』、『木のうた』、『と おもったら…』、『あかいふうせん』」などの絵本の原画が展示されています。
 
上記の絵本は『木のうた』の絵本です。季節を追った木の一生が描かれています。秋の紅葉で、赤い葉が風にふかれて鳥が飛びつ場面に、おもわず「わぁ…」と心がゆさぶられます。
 
一点のにじみもない均一の線とち密な観察力、自然と対峙する作者の人柄はとても慎ましい方だったとのこと…。確かに、すごい人ほど謙虚ですもんね。

 


 


 


 
くつろぎのスペースにも、こんな工夫が…


他の絵本や作品も充実しています。
 
ブルーノ・ムナーリ 『読めない本 白と赤』



紙の魔術師 駒形克己さんの本



 
ブラジル作家のアンジェラ・ラーゴさんの『夜の通りで』


 
おなじくブラジル人作家で国際アンデルセン賞受賞のホジェル・メロさんの『野生』



 
あわただしい師走の日々の中で贅沢なゆったりと時間を過ごしました。なくしつつあったものを、ちょっと取りもどせたような感じ。
 
今日、ご一緒してくれたYさん、ありがとう。さすが美大卒だわ。ペンにこだわっていた彼女はさすがです。また、作品はじめてくれないかしらん♪
 

私たちふたり、旦那に子どもを預けた束の間の休息でした。地元の駅につくやいなや、ふたりで夕飯のおかずの話になり、そのままスーパーへ。
 
ああ…イエラ・マリの異空間から、おせちが並ぶリアルワールドへ戻ってきたのでした。



 


イエラ・マリ展 −字のない絵本の世界ー
期間:2014年11月22日(土)−2015年1月12日(月・祝)
ただし、12月29日〜1月3日までは休館日
場所:板橋区立美術館にて 
| 00:07 | 日々のあれこれ | comments(0) | trackbacks(0) |