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追い込み漁のイルカ 入手禁止

05月20日 19時08分

追い込み漁のイルカ 入手禁止

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「日本動物園水族館協会」が、国際組織に残留する方針を決めるとともに追い込み漁と呼ばれる方法で捕獲したイルカを入手することを禁止したことを受けて小樽市の「おたる水族館」では、将来的なイルカの確保の方法を検討することにしています。
「おたる水族館」は昭和34年に開設された水族館で年間35万人以上が来館します。
イルカが出演するショーが人気で、このショーを目当てに来館する人も少なくありません。
芸を披露する6頭のうち5頭が和歌山県の太地町から入手したイルカです。
飼育されているイルカはいずれも推定で6歳から20歳とみられ、健康状態は良好でショーの運営にただちに影響がでることはないとしています。
しかしイルカの繁殖は複数の水槽や高い技術が必要で、この水族館では成体まで飼育したことがありません。
今後、追い込み漁で捕獲されたイルカの入手ができなくなると水族館の一番の呼び物となるイルカショーの開催にも影響が出かねないため、繁殖などイルカを確保するためのさまざまな方法を検討することにしています。
水族館の伊勢伸哉館長は「10年後20年後を見据えて繁殖などさまざま方法を検討する必要があり、これまでと違うイルカの飼育のあり方を考える重要な岐路に立っている」と話していました。
一方、動物園からは安どの声が出ています。
関連国際組織から離脱すると動物園が国際的な繁殖計画の枠組みに参加しにくくなるなど、国内での希少な動物の展示や繁殖に影響が出るという懸念が動物園の関係者にありました。
札幌市の円山動物園は、これまで国際組織の協力を得て希少な動物を入手したことはありませんが、日本の協会が国際組織に残留する方針を決めたことに対し安心したという反応を示しています。
円山動物園の田中俊成園長は「一言でいうとほっとした。もし脱退となっていたら動物の交換の国際的なネットワークが使えなくなり、動物園に期待されている種の保存という役割を果たせなくなるおそれがあった。たとえば当園で繁殖に成功しているホッキョクグマについても今後は海外からの新たな血統を導入しなければ遺伝的な問題が生じるおそれがあった」と話していました。
また、旭山動物園の前の園長で、動物園の運営に詳しい小菅正夫さんは「きちんとした判断をしてくれたと思う。将来のことを考えれば、動物園や水族館は国際組織と一緒にやっていかなければ生き残っていけない。人間が利用するあらゆる野生生物は人間が繁殖して利用すべきで、そういう時代になった現れだと受け止めている」と話していました。

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