サキどり↑「今こそ酪農レボリューション!」 2015.05.19


長かった冬に終わりを告げた北海道。
新緑まぶしいこの北の大地でもう一つ春を迎えたものがありました。
それが…。
(鳴き声)酪農の世界。
新しい流通の仕組みが登場して農家の売り上げもやりがいもアップ。
一方エサ代が安く済む飼育方法で大きな利益をあげる酪農家も。
更に日本人の職人魂が質の高い乳製品を次々に生み出しています。
さあ目指すはもうかる酪農だ!
(2人)おはようございます。
今日のテーマは酪農です。
カビラさんそちらお願いします。
ド〜ン!お〜そろえましたね。
できる限り乳製品集めてみましたよ。
牛乳はもちろんバターチーズ乳酸菌飲料にヨーグルトですよ。
それから…。
おっ!アイス大好き〜。
いいですよね。
こういった牛乳乳製品の日本の市場規模実は…更に1世帯当たり牛乳乳製品どれぐらい買っているかというと実は年間…おコメよりも買っているんです。
結構お金遣ってますね。
でもエネルギーは使わないように。
ただこちらをご覧下さい。
酪農家の数を見ると年々減少。
今では1万8,000戸余りなんですよ。
おやおや。
更に生乳の生産量ピーク時の平成8年から15%も減。
フレッシュな国産牛乳が飲めない時代が来るかもしれないって事ですか。
なぜこのようになってしまったのか?まずは酪農の現状そしてそれを乗り越えようとする新たな動きご覧下さい。
北海道の東に位置する別海町。
人口およそ1万6,000に対して乳牛が10万頭以上もいる日本最大の酪農の町です。
別海町でも有数の規模を誇るこちらのメガファーム。
一日に生産する生乳の量は?え〜牛乳パック1万6,500本!?それが毎日〜。
さぞかしもうかっているんでしょう…と思いきや中山さん頭の痛い問題を抱えていました。
それは牛のエサの値上がりです。
1頭当たり毎日30キロは食べるという牧草やトウモロコシなどの輸入飼料。
それが世界的な穀物価格の高騰や円安の影響で10年前に比べて4割も値上がりしたのです。
そのためエサ代の負担が年間3,000万円も増えました。
このままでは牧場経営は破綻する。
そこで中山さんは大きな決断をしました。
生乳の出荷先を農協から民間の卸売会社に切り替えたのです。
これまで中山さんは生乳の販売を地元の農協を通じ国の指定を受けた団体に委託してきました。
一元集荷・多元販売と呼ばれ日本の生乳の95%以上はこのシステムで流通しています。
一方こちらは今回中山さんが取り引きを始めた民間の卸売会社の仕組み。
卸売会社のトラックが農家の庭先で生乳を回収し乳業メーカーに直接販売します。
流通システムをシンプルにする事で中間経費の圧縮をねらっています。
そして迎えた初出荷。
牧場には卸売会社の社長茂木修一さんもやって来ました。
こうした生乳の卸売りを全国規模で手がけるのは茂木さんの会社1社だけです。
気になる価格ですが中山さんの場合これまでより1キロ当たり7円ほど高く買い取ってもらえる事になりました。
という事は一日…なんと年間4,000万円以上も売り上げアップ!現在全国40軒の酪農家が茂木さんを介した新しい流通に乗り出しています。
取扱高はおよそ40億円。
年々成長を続けています。
実は今回別海町で生乳の卸売り先を変更したのは中山さんだけではありません。
4つの牧場が事業協同組合を作ってみんなで出荷。
記念の祝賀会は牛乳で乾杯です。
中山さんたちがここまで盛大にお祝いするのにはもう一つ理由がありました。
これまで中山さんたちの生乳は出荷後ほかの生産者の生乳と混ぜ合わされどんな製品になるのか分かりませんでした。
しかし今後は自分たちのブランド牛乳となって販売されるのです。
う〜ん酪農家の皆さん夢の一歩という事で何か意気込み感じますね。
ねえ。
本当にいい笑顔されてましたもんね。
そうですよね〜。
さあ乳製品大好き一家の…。
大好きです。
坂下千里子さんよろしくお願いします。
何パックぐらい入っているんですか?うちですか。
大体4〜5パックは常に入ってます。
牛乳?牛乳。
ゴクゴク?もうね…ゴクゴク!本当に息子とパパが大好きなので主人が好きなので。
息子は1人でも下手したら飲んじゃう1パック。
すごい。
すごい好き。
スタジオにはもう一方です。
農業ジャーナリスト浅川芳裕さんです。
お願い致します。
流通を簡素化しますよっていう茂木さんのあのスタイルこれが普及すればいいっていう気もするんですけどそんな単純な話ではない?複雑な仕組みがありましてもともと酪農始めるにあたってはやっぱりいろんな設備さっきみたいな設備だとかいろんなお金がかかります。
それやっぱり借金をしたりだとかあとエサを農協から買ったりだとかいろんな投資がされます。
ですから農協と二人三脚で始めてきたと。
なのに農協に出荷しないでさっきの会社に出荷するのは何事だと。
独自に?独自にやるという事は非常に勇気のいる事で今しがらみがいろいろあるんだという事なんですね。
結構坂下さん微妙なバランスに成り立ってるんですねこれね。
でもそもそも酪農は何でこんなに厳しくなってしまったんですか?一番の理由はですね穀物の価格が上がってしまったという事ですね。
普通は仕入れが上がれば牛乳の値段も高くしてほしい訳ですけども今の仕組みだと出荷して終わりですから自分が出した生乳の価格を決めたりとかいう事はできないんです。
牛乳の値段だけは据え置いてコストだけが上がればどんどん厳しくなる。
でも乳製品というと今はやっぱり気になるのが…そう!私もうバターが…。
うち家真ん中にしたらスーパーが2軒あるんですけど1軒のスーパーはもうこの半年間ず〜っとバターが無くてわざわざ遠い方まで行かなきゃ売ってないんですよね。
あれ困ります。
困りますよね。
浅川さんに言っちゃった。
でも何でバター不足になっちゃったんですか?生乳の生産量は少し下がったとよく言われるんですけどもバターがもう足りなければ世界にはまだある訳ですから輸入ができますよね。
でも国が一応酪農家のためにという事で輸入を独占してるんです。
好きな時に輸入ができないと。
あとは輸入できたとしても関税が高いので一般の消費者が手に届かないような。
例えば海外の500円のバター日本に輸入するとですね2,000円ぐらいになるんです。
ちょっと!あとはほとんどのバターは北海道で作られてる訳ですね。
ですから北海道の量がちょっと減るとほかの地域でカバーができないというのもあるし。
でなおかつじゃあ輸入の飼料穀物ですよね穀物に頼らなくてもいいんじゃないですかっていうような発想はやっぱりこれはむちゃなんですか?牛乳の1頭当たりの生乳の量を増やそうと。
穀物を食べてもらった方がお乳は出る訳なんですか?出ますね。
ここでクイズです。
ん?さあ牛1頭当たりの搾乳量。
1965年年間4,250キロほど。
これが2012年どのくらいの搾乳量になっているでしょうか?およそ50年という事ですよね。
そうですね。
一日に直すとおよそ11キロ牛乳パック11本分一日に牛1頭からとれると。
単純計算して栄養価が上がっていっぱい出るんだったら倍はいったんじゃないですか?おっおっ!カビラさんは?1.5倍ぐらいですかね。
正解は…。
ドキドキするよね。
こちら。
え〜!
(坂下)嫌だ正解!ほぼ正解!およそ2倍なんです。
そんなに効率がいいんですか!一日当たり牛1頭大体22キロ。
うわ!どうしよう。
ハワイ旅行当たりました?今。
そうですね。
(笑い声)だからエサはどんどん輸入して下さいねと。
それを食べさせて効率的に牛乳作って下さいねと。
昔の乳価がもう少し牛乳が…みんな国民がたくさん飲んでいる時はもうちょっと値段がよくてエサの値段も安かったという事で以前はよかったんだけどもそれが高騰してしまうとかつ為替がありますから円安でまた高くなると。
自分の経営の未来を自分で決めれないようなという事ですね。
コストの半分ぐらいがもうエサですからね。
坂下さん大人すぎますねこの企画。
ちょっとね〜。
大人すぎてもうがんじがらめですね。
でもそうなってくるとですよここまで効率がいいという事になると当然頼る訳で頼るしかし高騰している穀物の価格。
確かに穀物に頼るというのが主流になっているんですがそこであえて穀物に頼らない酪農を取り組んでいる方々取材してきました。
できるんですね。
岩手県の山中四輪駆動車を豪快に操るのは中洞正さん。
東京農業大学の客員教授も務める酪農家です。
中洞さんが取り組むのはその名も山地酪農。
山間部を切り開いて牧場にします。
牛はみ〜んな放し飼い。
草食動物である牛が自然に生える草を食べてお乳を出す。
そんな酪農スタイルを求めて30年前この地で牧場を始めました。
しかし1987年中洞さんにとって転機となる出来事が起こりました。
牛乳の乳脂肪分は3%以上と定められていますが当時乳脂肪分の高い牛乳が大ヒット。
すると大手メーカー3社が3.5%以上の生乳をと業界団体に要望したのです。
このため要望に合わない3.5%未満の生乳は引き取り価格が引き下げられました。
穀物をほとんど与えない中洞さんの放牧では牛が弱る夏場などには乳脂肪分が3.5%を割ってしまいます。
出荷をしても赤字が膨らむばかり。
中洞さんは追い込まれました。
悩んだ末に中洞さんは自ら牛乳を生産して販売する直販に切り替えました。
しかしこの時放牧を諦め穀物に頼る飼育に切り替えた酪農家は多いと中洞さんは言います。
所変わって北海道足寄町。
(取材者)おはようございます。
ここに穀物に頼らず乳脂肪分3.5%を達成している酪農家がいます。
13年前ここ足寄町に牧場を開いた吉川友二さん。
訪ねた時はまだ雪が残る牧場でしたが…雪が解けるとこうなります。
吉川さんが穀物に頼らなくても済む訳。
それがこの放牧。
世界に冠たる酪農大国ニュージーランド方式だからなんです。
牧場に生える草を食べる牛たち。
でもこの草になんとも奥深いノウハウが詰まっているんです。
例えば10ヘクタールある牧草地。
ここに栄養のバランスを計算して数種類の牧草を育てます。
でもただ放牧するだけでは牛たちは自分の好きな牧草ばかりに集中。
根こそぎ食べたあとには雑草が生え牧草地も荒れてしまいます。
しかしニュージーランド方式では10ヘクタールを柵で区切って10分割。
1区画に全ての牛を押し込みます。
すると牛たちはほかの牛に食べられまいとより好みをせずに全ての草を満遍なく食べるのです。
そして半日で隣の区画へと牛を移動。
そうする事で土と草を休ませ最大限に牧草の収量を増やせるのです。
このニュージーランド型集約放牧。
安いコストでバランスよく栄養が与えられるのだといいます。
更に放牧だと牛が出す糞尿は自然と土に帰ります。
これなら処理する設備も時間も必要ありません。
そんな吉川さん自分の収支を全て公開しています。
酪農学園大学の荒木教授がまとめたこのデータ。
吉川さんの放牧酪農と穀物を多く与える酪農を比べています。
飼っている牛の頭数が違うものの吉川さんのエサ代が圧倒的に安い事が分かります。
その結果生産量が少なくても吉川さんは高所得を実現しているのです。
やっぱり放牧がいいんじゃないですかね。
生き物ですからそういう排出物もやっぱり大変じゃないですか。
自然に帰るなんてすばらしいですよね。
かといって浅川さんこれが全て解決策になるのかという訳でもそんな単純な話でもないんですよね。
確かに少しずつ今広がっているのは事実なんですね。
ただ放牧にするとまずは乳量が減りますよね。
今まで乳量を増やすためにみんなが穀物食べさせたりとかいろんな努力をしてきたのに「増やさなくて今減らすの」というと頭の切り替えがですね。
「どこに向かうの?自分の酪農っていうのは」…というの非常に時間がかかると。
しかもこのケース北海道ですけど本州の場合なかなか広大な土地っていうのも難しいですよね。
だから面積に合わせた頭数を飼うと。
でも先ほど見たようにまだ日本は山林がたくさんあってまだ全然使ってないとかですねむしろ林業で使われてなくて逆に重荷になってる山が各地にありますから飼える場所は実はあるという事ですね。
ただ飼料が高騰するというリスクも軽減されます。
飼料を買うためのドル/円レート要するに為替のリスクもないっていう事ですね。
ないという事ですね。
解決策の一つのパターンである事は間違いない。
そうですね。
さあここまでは酪農の現状生産について見てきましたがやはり酪農の未来を考える上で大切な事こちらです。
え?そう乳製品チーズ。
千里子さんお好きですか?もう大好きです。
もう食べたいぐらい今。
今すぐ?今目で食べてます。
実は本場ヨーロッパに引けを取らないチーズ職人がいると聞いて私片山行ってきました。
いいな〜。
訪ねたのは北海道の十勝地方更別村です。
すいません。
よろしくお願い致します。
(坂下)優しそう。
野矢敏章さん。
10年前雪に閉ざされる冬場の暇つぶしにという事で農業のかたわらチーズ作りを始めたんだそうです。
味が評判となり今では40軒余りのショップやレストランにチーズを納めるまでになりました。
何か本格的ですね。
うわ〜上から下まで…うわ〜奥までチーズですよ。
熟成中です。
いい香りでしょ。
野矢さんのチーズ作りそのこだわりは何と言っても手間を惜しまない事。
味の決め手となる乳酸菌の働きはペーハー計でこまめにチェック。
こうして指先で発酵具合の僅かな違いを探るんですって。
まさに職人さんですね。
(坂下)本当ですね。
本当のおいしさの秘密まだまだここからですよ。
え?えっどうしてるんですか?これアルコール消毒をし始めたんですね。
どうして?見て下さい。
取り出したのはチーズ作りに欠かせない乳酸菌。
実は味を決める乳酸菌野矢さんは自分で培養してるんですね。
あっ雑菌が入らないように殺菌してたんですね。
というのも乳酸菌は培養を繰り返す事で変化するんです。
最も状態のよい7代目から50代目だけを使うというこだわりなんです。
(坂下)うわ〜すご〜い!徹底してる。
野矢さんの妥協を知らないこだわりが生み出すチーズ。
う〜ん。
2008年の洞爺湖サミットで世界の首脳に振る舞われた事でその名は一気に広まりました。
すごい!さあその野矢さんのチーズご用意致しました。
ちょっと!もうにやけが止まらないですね。
もう笑みがこぼれてます。
頂きます。
香りがいい〜!口の中にもう香りがすっごく広がります。
ふわ〜っと。
頂きます。
フフフフッ…。
口の中がエクスタシーです。
朝から申し訳ありません。
こうやって本物のチーズが根づくまさに新しい食文化広がる可能性もありますか?こうやってやると世界に通用するような商品が少しずつ出来てきてるというのが一つありますからこれから需要が伸び代があるというふうに裏返して言う事もできると思うんですね。
もう一個は日本人がこれを知らないからこのチーズだとかバターの文化を知らない人が多いから今後そういうものが出来れば需要も増えていくと。
それに対応していきたいという職人さんや酪農家工房とか増えてきてそうする事によって結果日本がもっと酪農の食文化大国になる今ちょうどその過渡期なのかなというふうには思いますけどね。
しかも日本人のきめ細かさその安全安心ねえ技ありますからそれでもしかしたら本場に負けない勝ってくるようなものを。
超えましょうよ。
超えましょうか!ねえ。
作れますよね。
まさにピンチチャンスに変える時が今という事ですよね。
いや片山さん。
作って下さる皆さん供給している皆さんこれシステムを変えるとかなりポテンシャル高い日本の酪農っていう気がしてきましたよ。
ですよね!ふだん無意識に「おいしい」って口にしていましたけれども酪農家の皆さんの努力ありこれまた可能性感じましたね。
ですね。
そして消費者の皆さんも意識も変えればという事でエンディングナンバーはYouAmIで「Mr.Milk」。
2015/05/19(火) 01:30〜02:00
NHK総合1・神戸
サキどり↑「今こそ酪農レボリューション!」[字][再]

今や暮らしに欠かせない乳製品だが、原料の生乳を作る酪農家は年々減少している。新たな流通の仕組み作りや、飼育方法の工夫など、現状の打開を目指す取り組みを紹介する。

詳細情報
番組内容
今や暮らしに欠かせない、牛乳をはじめとする乳製品。だが日本の酪農家は毎年1,000軒単位で減少し、生乳の生産量も減少傾向にある。こうした中、効率の良い経営をめざし、新たな流通のしくみ作りや、生産コストを下げる飼育方法への挑戦が行われている。さらに日本人の得意とするきめ細かなモノ作りの力を生かした、質の高い乳製品作りも広がりつつある。日本の酪農が現状を打開し新たな成長の道を見出していく可能性を探る。
出演者
【ゲスト】坂下千里子,農業ジャーナリスト…浅川芳裕,【キャスター】ジョン・カビラ,片山千恵子

ジャンル :
情報/ワイドショー – その他
ニュース/報道 – 経済・市況
バラエティ – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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