明日へ−支えあおう−「ボクらの夢は、終わらない〜福島・南相馬に集う若者たち」 2015.05.19


うんっ!土の中でもがいている若者がいます。
どうやら井戸を掘ってるみたい。
ここは福島県南相馬市の沿岸部。
津波で大きな被害を受けた場所です。
近所の人が差し入れを持ってきてくれました。
頑張ってて。
穴から出てきたのが今日の主人公…震災後東京から移住しここ南相馬でゲストハウスいわば簡易宿泊所を始めました。
津波の被害から残ったこの建物を持ち主から借りたのが2013年夏。
東京と南相馬をヒッチハイクで往復しながら同じ志を持った仲間たちと改修を続けてきました。
「ここを夢の出発点にしたい」。
そんな願いを込め「夢たびと」と名付けました。
ここを孝一君と切り盛りしているのが…震災後高知県から移住しました。
人なつっこい性格の悠介君。
怪しいものではなく地元のお役に立ちたい事をアピールするため地域の集まりに積極的に顔を出します。
・「津軽海峡冬景色」ありがとうございます。
(拍手)活動を始めておよそ2年。
少しずつ地元になじみ始めたやさき思いも寄らない事態が起こりました。
一度…一度というか。
彼らの夢は一体どうなるの?被災地に新しい風を起こそうと奮闘する若者たち。
その半年間を追いました。
津波で被災したコンクリート3階の建物ここが「夢たびと」です。
(一同)いただきます!オープンしたのは去年の春。
以来延べ600人の若者が全国から訪れています。
ありがとうございましたわざわざほんとに助かりました。
こんにちは。
はじめましてあいです。
よろしくお願いします。
(スタッフ)どこからヒッチハイクしてもらったんですか?この建物海からは1キロ以上離れたところにあるのですが…。
ここまで来たっていう事?はい。
津波は2階まで押し寄せました。
水道はまだ復旧していません。
宿泊費は無料です。
そのかわり利用した人は建物の改修を手伝ったりTシャツなどのグッズを買ったり自分にできる事を見つけて運営に協力します。
この日夕食の準備をしていたのは茨城県からやって来た…調理師の仕事を辞めボランティアをしながら東北各地を回っているそうです。
それでそれを伝える。
ボランティアそれとも自分探し?目的はさまざまですが見ず知らず同士夢を語り合ったり時には朝まで飲み明かしたり…。
若者たちを惹きつける理由を探りに去年9月取材を始めました。

(歌声)夢たびとを訪れる若者たち。
彼らに南相馬の町を案内するのが佐藤孝一君の日課です。
こんにちは。
こんにちは。
どうもどうも。
見たい場所ややりたい事を聞きながらその人に合ったプランを考えます。
そうですね。
イメージができたところで町歩きツアーに出発!あれ?孝一君が運転するんじゃないの?大学で発展途上国について学んでいた孝一君。
ある人から国内で困っている人にこそ目を向けるべきだと言われ2012年初めて南相馬を訪れます。
元気がないんだろうなあ。
でも目にしたのは普通の暮らし。
そんな町の姿を知ってほしいと活動を始めました。
さて孝一君の町歩きツアー。
やって来たのはJR常磐線鹿島駅近くの商店街です。
ここがでもおいしいんですよ。
こちらは創業120年の洋菓子屋さん。
孝一君のお薦めはシュークリーム。
2層になってる。
何かカスタードが下の方に入ってて上に生クリームが。
いただきます。
うんおいしい。
店の人もいい味出してますね。
いやとんでもないです。
とんでもないです。
アハハハハ…。
ほんとお体気を付けて下さいよ。
ちょっと空回り気味の孝一君です。
それでもめげずにお薦めの店を回りうんちくを熱く語ります。
おいしい!
(孝一)これがうまいんだよ。
時には若者たちを大勢引き連れ地元の味をご紹介。
この日は行きつけの食堂です。
一方町の人から見ると若者の姿はどんなふうに見えているんですか?そりゃあ見ず知らずの若者たちがたむろしていたら怪しく思われるのは当たり前だよね。
そうした地域の人たちとの関係づくりに力を入れているのが高知県から来た…震災の年は高校生で海外に留学していました。
卒業を機に被災地を見たいと南相馬を訪問。
孝一君と意気投合したそうです。
猪突猛進タイプの孝一君に対し人当たりがいいのが悠介君の特徴。
この日はカラオケ大会のお手伝いです。
・「逃げた女房にゃ未練はないが」・「こごえそうな鴎見つめ泣いていました」悠介君こんな昔の歌よく知ってるね〜。
おじいちゃんたちも喜んだね。
ありがとうございます。
(拍手)上手やな〜。
こうした地道な努力のかいもあり最近では地域の行事がある度に声がかかるようになりました。
いつの間にか地元の人たちの輪に加わる悠介君。
さすがです。
ところでさっきまで一緒にいた孝一君の姿が見当たりません。
実は孝一君毎朝3時に起きて新聞配達のアルバイトをしています。
ちょっと頑張り過ぎちゃったみたいですね。
もちろん悠介君も生活費を稼ぐためにアルバイトをしています。
おはようございます。
おはようございます。
江戸時代から続くみそ・しょうゆの蔵元で週に4日ほど働かせてもらっています。
南相馬に来て悠介君には小さな夢ができました。
それはデザイン。
夢たびとの活動をネットやチラシで紹介するために勉強を始めました。
ゆくゆくはこのお店のホームページを作って恩返ししたいと思っています。
ありがとうございました。
はいご苦労さまでした。
どうも失礼します。
失礼します。
去年秋佐藤孝一君は南相馬の魅力をアピールするための新たな試みを始めました。
訪れた若者を夢たびとではなく一般の民家にホームステイさせてもらうという企画です。
ちょうどこのころ国道6号線が全線で開通。
孝一君はわざわざ新宿まで迎えに行きそこから6号線を北上して南相馬に向かう事にしました。
途中原則として立ち入りが禁止されている帰還困難区域にさしかかりました。
すると窓から見える景色が一変しました。
すごいなこれ。
建物の入り口が全てバリケードで封鎖されています。
そして丘の向こうには東京電力福島第一原発その鉄塔が見えてきました。
帰還困難区域を抜け浪江町に入ったところでコンビニを見つけトイレ休憩。
やっと重苦しい雰囲気から解放されました。
IT関連の会社に勤める…震災の時たまたま福島にいたそうでその町がどうなっているのか知りたいと今回のツアーに参加しました。
話を聞いていると突然コンビニのシャッターが閉まり始めました。
(スタッフ)もう終わりなんですか?ここでは今も原発事故と隣り合わせの日々が続いています。
車でおよそ5時間。
ようやくホームステイをお願いしている農家に到着しました。
(一同)いただきます。
孝一君が南相馬に来てからずっとお世話になっているという藤原さん一家です。
ねっ!そうなんですよ。
それで現在に至るでした。
はい。
夢たびとでは週に1度藤原さんの家に通い苗を育てるところから米作りを手伝ってきました。
田んぼに立っているこのかかしも以前孝一君たちが作ったものです。
今回は藤原さんの畑で里芋の収穫をお手伝いします。
神奈川で介護の仕事をしている…震災直後にボランティアで石巻に行った事がありましたがその後被災地はどうなっているのか知りたいと参加しました。
採れた里芋を洗っていると近所の人が何やら持ってきてくれました。
えっ?水張ったとこお芋入れてこれを入れてこうやると皮むける。
ほんとにこれで皮がむけるんですか?
(孝一)結構効果あるんですねこれ。
やばいやばいやばい。
そうそう。
もっと早く!むけてきたむけてきた!むけてるむけてる。
一汗かいたところで近所の人たちがお昼御飯を作ってくれました。
うん。
ああおいしい。
(藤原)訪問もやってるの?
(飯島)はいはい。
1対1なんで。
そしたらじゃあ…
(笑い声)
(飯島)間違いないですねえ。
おかあさんたちのパワーにたじたじ。
でも会ったばかりなのに本当に楽しそう。
より元気になりましたね。
いい思い出をほんとにありがとう。
待ってるよ。
来てね。
ねっ。
どうもありがとうございます。
(藤原)待ってるからね。
是非来て下さい。
南相馬の人たちのために何かしたいとやって来た飯島君と高橋君。
逆に元気をもらって帰っていきました。
年が明けて今年の2月。
地域の人たちとの関係づくりをしてきた大濱悠介君も新しい事に挑戦しようとしていました。
自分が出会った南相馬の人たちの魅力をインターネットを使って全国に発信しようというのです。
協力してくれたのは何度も夢たびとに通っているという映像作家くろやなぎてっぺいさんです。
テレビ番組のオープニングタイトルやミュージックビデオなどをたくさん手がけています。
この日悠介君とくろやなぎさんは夢たびとの近くにある仮設住宅にやって来ました。
ここには南相馬の中でも避難指示がまだ解除されていない小高地区の人たちが暮らしています。
ちょうど編み物クラブの集まりが開かれていました。
ふだんからよく顔を出している悠介君。
まるで孫のようにかわいがられています。
これちなみにブローチのやつですよね?うん。
入れてこう指で押さえてでここ半分に。
半分にこう…。
そうそう合わせて。
この針をここのとこに通して…。
それでこれで…もう何か頭が。
皆さ〜ん。
編み物に夢中だからね。
くろやなぎさんが作文のテーマに選んだのは「南相馬の未来」です。
これからの。
はい。
書いた作文をカメラの前でリズムにのせて読み上げてもらいます。
トップバッターはこの仮設住宅の自治会長藤島さんです。
ラップって手が重要で手をこういう感じで。
未来への希望を込めてこんな作文を作りました。
「み」。
「な」。
「み」。
「そ」。
「う」。
「ま」。
はいカット!
(悠介)ありがとうございます!続いてお願いするのは…震災の年の10月から夫と2人でこの仮設住宅に暮らしています。
今原町。
ここ鹿島だから…造るんですか?新しく?ええ。
震災が起こり一緒に暮らしていた家族は離れ離れに。
避難中義理の母親も病気で亡くしました。
「み」皆バラバラ。
「な」なみだがでます。
「み」未来…。
(くろやなぎ)そうだよね難しいね気持ちが入っちゃうからね。
ごめんね。
(くろやなぎ)いえいえ大丈夫です。
(くろやなぎ)ちょっと後にします?すいません。
(岩崎)ごめん駄目だ思い出して。
いえいえそうですね。
ごめんね。
(くろやなぎ)とんでもないです。
頑張っかじゃ。
ゆっくりで大丈夫です。
(悠介)自分のできる範囲で。
じゃあ回して下さい。
「み」。
「な」。
「み」。
「そ」。
「う」。
「ま」。
(くろやなぎ)カット。
OKです。
(悠介)ありがとうございます。
すばらしい。
(悠介)ありがとうございます。
(笑い声)
(笑い声)言われてます。
南相馬の人たちの傷ついた心の内に触れた悠介君。
手伝いに通っているだけでは気付きませんでした。
じゃあありがとうございました。
ほんとに。
ありがとうございます。
どうもありがとうございました。
(くろやなぎ)また遊びに来ますね。
すごく私は助かりました。
「もっと地元の人たちに寄り添わなければ」。
悠介君は自分に言い聞かせていました。
そんなやさき思いも寄らない知らせが…。
慌てて彼らのもとを訪ねました。
(スタッフ)孝一君聞きたいんだけどさ…アハハッ唐突!ちょっと今ね…使います?これ。
(スタッフ)いや分かんない。
これ今ちょっと…一度…一度というか。
この夢たびとBASEのこの住所の…。
夢たびとが終わる。
2人にとっても突然の話でどうしたらいいのか分からない。
そんな様子でした。
津波で多くの建物が失われたこの一帯では市が土地を買い上げ農地にするための整備が進められていました。
そうした中ここの土地も市に売られる事になったのです。
大家の佐藤さんにとっても生活を再建するためにはやむをえない選択でした。
みんなと出会えてよかったよ。
容子さん最後来てくれると思わなかったから。
ねえあんなに頑張ってたのになあ。
いろいろやってねみんなでずっと頑張ってて。
夢たびとがなくなったあとどうしていくのか。
悠介君と孝一君は選択を迫られていました。
南相馬の人たちと一緒に町を盛り上げていきたい。
でも自分にはまだ足りないものがある。
悠介君はそう感じ始めていました。
(スタッフ)悠介どうすんの?このあとは。
(スタッフ)向こうで何か決まってるんだ?一方の孝一君は一人南相馬に残り活動を続けていく事にしました。
夢たびとがなくなるまであと2日となった今年の3月11日。
おはようございま〜す!最後の時間を一緒に過ごしたいと多くの若者が全国から集まりました。
孝一君はこの日も南相馬の町を案内して回りました。
これが「夢たびと」として最後の町歩きツアーです。
夢たびとを根城に息の長い活動をしようとしていた孝一君。
運転免許を取っていました。
そして迎えた夢たびと最後の夜。
彼らの活動を応援してくれていた地元の人たちも駆けつけてくれました。
南相馬に残る事を決めた孝一君に変わらず激励の言葉をかけてくれました。
何だ何だおい!
(拍手)ほんとに。
いやぁ…。
かっこよかった。
ありがとうございます。
さっき軍曹が言ったみたいに…今日ありがとうございました。
ほんとありがとうございます!
(拍手)
(スタッフ)何もなくなっちゃったね。
何もないっすね。
建物は跡形もなくなってしまいましたがここで過ごした2年間は何を残してくれたのでしょうか?孝一君は既に新しい拠点を造り始めていました。
地元の人も全国を旅する若者も気軽に立ち寄れるスペースにしたい。
夢たびとを解体した時に出た廃材を活用しています。
以前夢たびとに通っていた女性が手伝いに来ていました。
地元のいわきで夢たびとのようなゲストハウスを造りたいとノウハウを学びにやって来ました。
南相馬の人たちと全国の若者をつなぐ懸け橋になりたい。
孝一君はまだ夢の途中です。
被災地のために何かしたいという若者たちを地元に暮らす人たちが温かく迎え入れている姿印象的でした。
震災から4年がたって支援する側される側という関係を超えて互いが笑顔になる関係ができたらいいなあというふうに思いました。
さて先日この番組でも紹介しましたMayJ.さんが歌う新しい「花は咲く」。
ミュージックビデオが完成しました。
・「真っ白な雪道に春風香る」・「わたしはなつかしいあの街を思い出す」・「叶えたい夢もあった」・「変わりたい自分もいた」・「今はただなつかしい」・「あの人を思い出す」・「誰かの歌が聞こえる」・「悲しみの向こう側に」・「花は花は花は咲く」・「いつか生まれる君に」・「花は花は花は咲く」・「いつか恋する君のために」・「わたしは何を残すだろう」・「君に」・「花は花は花は咲く」・「いつか恋する君のために」・「真っ白な雪道に春風香る」このMayJ.さんが歌う「花は咲く」。
東北のNHK各局が番組やイベントを通して東北の魅力や子供たちの未来に向けた希望をお届けする「大好き東北」のキャンペーンソングなんです。
詳しくはホームページをご覧になって下さい。
では被災した地域で暮らす方々の今の思いです。
田老の中心部で物産の販売と発送を行っております。
震災の年から店を再開いたしました。
今でも売り上げは震災前の半分です。
それでも続けるのは田老の物産を待っている人がいるからです。
私はこの三王岩の周りで小さい時から遊んできました。
この三王岩は1億年前に誕生したと言われていますけども何回も津波に遭ってびくともしませんでした。
宮古市田老でイタリアンのお店をやっています。
震災後田老を離れた事もありましたがずっと思っていた田老に去年12月この店をオープンしました。
2015/05/19(火) 02:00〜02:50
NHK総合1・神戸
明日へ−支えあおう−「ボクらの夢は、終わらない〜福島・南相馬に集う若者たち」[字][再]

“復興”を願い全国から集まるボランティアの若者たちの拠点だった、南相馬“夢たびとBASE”が今年3月、閉鎖に…。彼らの復興への“夢”はついえてしまうのか!?

詳細情報
番組内容
南相馬市の津波跡地にポツンと建つ“夢たびとBASE”。全国から集まるボランティアの若者たちが、ここを拠点に“復興”への願いを胸に、地元の人たちとつながってきた。農作業の手伝いや町のイベント企画から地元PRビデオの制作まで…。ようやく地元の人たちにも活動が認められ始めてきた矢先、建物を撤去しなければならないことに…。彼らの“夢”はついえてしまうのか!?南相馬の復興に向けて“夢”を追う若者たちの物語。
出演者
【キャスター】畠山智之,【語り】濱田岳

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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