生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
10時5分です。
「くらしきらり解説」最近デジタル教科書ということばを耳にするようになりました。
文部科学省はこのデジタル教科書を子どもたちに導入することを検討する会議を設置しました。
そこできょうは導入進むの?デジタル教科書と題して西川龍一解説委員です。
デジタル教科書ということですが私はアナログ派で電子書籍も読まないんですけれどもいわゆる電子書籍のようなものなのかなと思っているんですがどうでしょうか。
西川⇒紙でできていた本がデジタル化で電子書籍になったのと同じように紙の教科書もデジタル化するということなんですけれどもこんな感じで使うというのを見ていただきたいと思います。
東京・文京区にある筑波大学附属小学校です。
子どもたちが端末を使っていますけれども、中を見てみます。
これは教科書と同じ内容のものですか。
端末の中に教科書のソフトが入っています。
大手教科書会社が開発したこのソフトですが教科書の内容をすべて取り込んだものです。
教育現場でのデジタル化は急速に進んでいるんですね。
今、先生が使っているモニターですがこれは電子黒板というものなんです。
この中にも教科書の内容を取り込むことができます。
黒板もデジタル化しているんですね。
文部科学省のまとめでは公立の小・中学校のデジタル化ですが先ほど見た電子黒板は全国の小・中学校のおよそ8割で導入されています。
かなり進んでいるんですね。
タブレット端末は合わせて7万2000台余りが導入されています。
こうした情報機器を使って授業をする光景がよく見られるようになっているということなんですね。
先生が黒板に板書して子どもの机には教科書とノートがあってという以前の光景とはずいぶん違うものでしたがあの映像を見ると、もう一部でデジタル教科書の導入が進んでいるということですか。
今、紹介したのはあくまでも試験的なデジタル教科書を使った授業です。
多くの学校でタブレットなどにインストールされて使われているのはあくまでも副教材という扱いになります。
副教材というのは教科書とはまた違うということですか。
紙の教科書は別にあるということでそれを補助する形で使っているということなんですね。
デジタルならではの便利な使い方が紙の教科書と違ってできるんですね。
先ほどの授業をもう一度詳しく見てみます。
これは6年生の国語の授業なんですけれども。
漢字の練習をしているんですね。
そうですね。
アニメーションでこのように書き順を確認することができます。
そしてこれは?画面にマーカーのように線を引いていますね。
色分けをすることもできるんですね。
この日の授業では先生が自然に関する説明文の中で耳で聞こえることを表現した文章には青い線を目で見えることを表現した文章には赤い線を引いて色分けするように指示しました。
子どもたちはずいぶん慣れた手つきで作業をしていましたね。
線を引く作業ですが紙の教科書ですと一度引いてしまうと消せませんよね。
端末だとその心配はありません。
授業中にほかの子の発言を聞いて考えが変わることがありますけれどもその場合は消して書き直すことも簡単にできるんです。
これは思考力を高めることにつながります。
電子黒板には子どもたちが書き込んだ内容が転送されているんですね。
先生はどの子がどんなことを考えているのかを見て発言を求める順番を決めることができますので授業の円滑な進行に役立てることもできます。
これは便利ですね。
授業の仕組み自体が変わっていく可能性があります。
今は国語の授業でしたけれども国語以外の別の教科でも活用できそうですね。
デジタル教科書のメリットは文字や写真だけでなく音声や動画が利用できることがあるんです。
例えば英語の場合ですと教科書に出ている文章を、英語を母国語としている人の音読で音声で聞くことができます。
ヒヤリング力がつきますね。
辞書の機能も組み込んでおけば分からない単語も簡単に調べることも可能です。
先ほどの漢字の書き順のアニメーションも動画の一種なんですけれども理科の場合ですと自分たちが行った実験の映像をいつでも確認することもできます。
さらに繰り返しの演習ですよね。
ドリルのような演習を自分でいつでも、できます。
このような特徴があります。
いいことばかりのように見えますがどうしても紙で自分が学んできたのでこうして教科書をデジタル化してしまって本当に子どもたちに心配なことはないのかなと思ってしまいます。
教育的な効果はあるという意見は多いんですけれども実証するようなデータがあるわけではないんです。
一方で、小学生のころからパソコンやタブレットを日常的に使うことへの健康面への影響を懸念するという専門家もいます。
そこは気になりますね。
私も何人かの子どもに話を聞いてみたんですけれども紙の教科書よりもデジタル教科書のほうが好きだ使いやすいという子もいる一方タブレットに慣れるとノートのけい線に合わせて字を書くというのが苦手になってきたと話す子もいたんです。
それは問題ですね。
音読をするときにはやっぱり紙の教科書を自分でめくって読むほうが読みやすいと話す子もいました。
実際に使ってみると紙には紙のメリットがありますのですべての教科書をデジタル教科書に統一するというのは、なかなか難しいという意見も聞かれます。
メリット、デメリットをしっかりと検証する必要があります。
導入を進めるとなると、いろいろ課題も出てきそうですね。
このほかにも課題ということがあるんですけれども教科書となれば受けなければならない検定です。
教科書検定ということになるんですけれども紙の教科書をそのままデジタル化するというだけではなく音声や映像を入れていくということになりますよね。
その音声や映像を国の検定作業でチェックできるのかという新たな問題も出てきます。
検定量が膨大になりますからね。
さらに、この端末ですよね。
端末をどうするのか。
今回、取材した学校はコンピューター室にある端末を共用していますので一人一人が自宅に持ち帰ることができないんですね。
自分専用ではないんですね。
そうすると予習や復習が教科書を使ってできないとなりますので紙の教科書と同じように一人一人がいつでも持ち歩いて見られるようにするとなると1人1台の端末が必要になります。
そうなった場合、今は無償の紙の教科書と同じように無償にすることができるのかという予算上のハードルも出てきます。
そう簡単にはいかないということですね。
文部科学省は導入に向けて会議を発足させたのも、こうした多くの課題があるからなんです。
難しそうですね。
デジタル教科書を巡っては政府の教育再生実行会議も先週まとめた第7次提言の中で導入を推進することを盛り込みました。
さらに新たな市場分野として経済的な効果を期待する向きも多くて教育や情報通信に関連する企業や団体が協議会を発足させて実用化に向けた議論を進めるなど経済界が後押ししている側面もあります。
1人1台となると大きな市場ですからね。
デジタル化の流れ自体は止められないのではないかと思いますがことは教科書だけに市場の論理で前のめりに進むことはできませんよね。
文部科学省の会議では、まずは主たる教材としてすべての子どもたちが使う教科書本来役割を見極めながら議論を進めてほしいと思います。
西川龍一解説委員でした。
次回は室山哲也解説委員とともにお伝えします。
2015/05/19(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「導入進むの?デジタル教科書」[字]
NHK解説委員…西川龍一,【司会】岩渕梢
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出演者
【出演】NHK解説委員…西川龍一,【司会】岩渕梢
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ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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