在特会に対して大きなけんかを行います。
(優香)何迷ってんの?加奈子。
堀部先輩のこと好きだったんでしょ?中学のときから。
(加奈子)そうだけど。
(優香)超ラッキーじゃん。
憧れの先輩から告られたんだよ?
(浩介)《お前さ今いるの?彼氏》
(加奈子)《いません》
(浩介)《ああそう。
じゃあさ俺と付き合わない?》
(優香)どうしてその場でOKしなかったのよ?
(加奈子)大事なことだもん。
相談しなきゃ。
(優香)またそれ。
加奈子の気持ちの問題だよ?質問してもいいですか?
(信博)優香ちゃん。
ベルマークさ学校持ってって。
(優香)卒業したんだけど私。
(信博)ハハハハ。
そうだ。
ありがとうございます。
堀部先輩と付き合った方がいいですか?
(太田川)おい。
岸谷!
(美砂)「おい」?
(太田川)何だ?これは。
(美砂)ああ。
私が出した報告書ですけど。
(太田川)また生意気な口の利き方。
新米のくせにさぁ。
(美砂)用件は何でしょう?
(太田川)いや。
報告になってないだろ?えっ?
(太田川)殺されたばあさんの犬が見つかった経緯が何だって?「女子高生が振り子で発見
(超能力?)」って意味が分かりません。
(美砂)私は見たとおりのことを書いただけなんですけど。
(太田川)でも常識的におかしいよな。
うん。
殺人事件の捜査報告書として成立してないだろ。
でも事実なの。
事実確認は捜査の第一歩でしょ?
(太田川)じゃあ二歩目は何だ?捜査員全員が分かるようにお前が見たこと説明しろよ。
裏付け取って。
裏付けって?専門家とかに聞きゃいいだろ。
大学の先生とか。
ああ。
私はそういう人間とはもう関わりたくないの。
岸谷。
みんながお前のこと何て言ってるか教えてやろうか?ハァー。
帝都大卒の秀才。
(太田川)いいや。
…ちゃん。
はあ?…ちゃん!
(湯川)静止している物体は静止状態を保ち続け力を加えられ運動を始めた物体は等速直線運動を続ける。
(一同)ああー。
(湯川)僕とはもう二度と会わないんじゃなかったのか?えっ?女子ばっか。
まず事件の概要を説明します。
昨日の朝7時ごろでした。
大森の民家でこの家に住む野平みつ子さん72歳が死んでいるのが見つかったんです。
発見者は千葉に住むみつ子さんの娘さんでした。
これは慣性の法則による同期の実験だ。
(栗林)32個のメトロノームをばらばらに動かしていくよ。
(一同)はい。
娘さんは2日前から連絡が取れないと一人暮らしのお母さんを心配して訪ねてきたそうです。
野平さん宅は物色された跡がありました。
(娘)《お母さん。
ねえ…。
えっ?お母さん?》床に落ちた目覚まし時計が10時2分で止まっていることから犯人が侵入したのは…。
やがてこれが全部同じ動きになる。
メトロノームの振動が伝わり合って同期するんだ。
犯人が野平さん宅に侵入したのは遺体発見2日前の夜と思われます。
(栗林)先生はもう捜査には協力しないよ。
助手は黙ってて。
(栗林)何だと?
(みさき)あっ!
(田窪)動きが合ってきた。
ひもでつるされた板の上に複数のメトロノームを置くことで周期的振動が同期し相互引き込み現象が発生する。
(栗林)はい。
ノート取って。
あっ。
そしてですね野平さん宅からは金の延べ棒がなくなっていたんです。
(栗林)金の延べ棒!?仏壇の奥に隠し財産があったの。
えー!
(折川)おおー!
(萌子)合ってきた合ってきた。
この相互引き込み現象にはリミットサイクルが存在する。
あっ。
そしてもう一つ。
なぜかクリちゃんの姿が消えていたんです。
(栗林)クリちゃん?
(娘)《来てください。
母が。
奥にいます》野平さんが飼っていた番犬です。
(栗林)僕の中学のときのあだ名だ。
クリちゃんは誰彼構わず吠えかかる雑種のバカ犬でした。
はあ!?クリちゃんは大事なときには何の役にも立たなかったのか?えっ?
(宇野原)きたきた!さらに遺体発見当日の夜野平さん宅から数百m離れたところでクリちゃんが死骸で発見されたんです。
えっ!?
(折川)あと一つ。
これもやがて。
まさか。
(栗林)クリちゃんが何で死んだんだよ?そんなことどうでもいいの。
(栗林)よくないよ。
問題は…。
(栗林)問題は?何なんだよ?問題は犬の死骸が発見された経緯です。
同期するぞ。
高校生の女の子が。
完全に同期した。
(一同)おおー!振り子を使って見つけたの!
(栗林)えっ?振り子?つまりこれは強盗殺人事件です。
野平みつ子さん72歳が4月13日の夜10時ごろ殺害され仏壇の奥にあった約3,000万円相当の金の延べ棒が盗まれた。
この家にはクリちゃんという番犬がいましたが野平さんの遺体が発見されたときには姿を消しており後に別の場所で死骸で見つかったんです。
おそらく犯人の手にかかったんでしょう。
何でクリちゃんまで?でもこの事件を非常に不可解にしているのはクリちゃんの死骸が発見された経緯です。
経緯?現場検証の際やじ馬の中に高校生の女の子がいたんです。
《クリちゃん?》《あっ。
ちょっといいかな?ごめんね》《ここのおばあちゃんのこと知ってるの?》《家が近くなんで》《ああ》《近所の子供たちに慕われてたそうね》《あなたも遊びに来たことあるの?ここに》《小学生のころですから》私は直感しました。
彼女真瀬加奈子ちゃんは何かを知っていると。
なぜそう思ったんだ?えっ?あっ。
刑事の勘。
出た!刑事の勘。
非論理的な刑事の勘ですよ。
バカ犬は黙ってて。
な…。
私は彼女の家を突き止め張り込みました。
僕はクリちゃんじゃないぞ。
そしてそのときあれを見たんです。
(いびき)夜10時すぎでした。
加奈子ちゃんが家から出てきたんです。
そして何かつぶやいていると思ったら振り子が。
回り始めた。
嘘だ。
加奈子ちゃんは振り子をポケットに入れて。
(たたく音)
(太田川)《痛っ》《ここで待ってて》《痛い》《いや。
あっちよトイレ》そしてT字路に来ると。
《何やってんの?》そこからは振り子を胸の前に垂らしたままゆっくりと歩きだしました。
そして立ち止まったんです。
《大丈夫?》えっ?クリちゃん。
犬の体内から農薬が検出されました。
野平さん宅に押し入った犯人が毒殺し捨てたんでしょう。
何てやつだ!クリちゃんの牙には人間の血液と思われるものが付着していましたが。
犯人の血だよ!クリちゃんがかぶりついたんだ!そのDNAデータは今解析中でまだそこから犯人を割り出すことはできません。
問題はその振り子だ。
そうです。
《あっ。
この振り子が教えてくれたの?》《これは私の祖母が亡くなる前にくれたミズガミサマです》
(栗林)ミズガミサマ?水の神様。
彼女の家に代々伝わるもので昔はそれで水脈を探していたようです。
どこを掘れば水が出るのか。
農耕民族にとっては死活問題だ。
《私は何でもこの振り子に相談するんです》《どうしていいか迷ったときとか何か答えが欲しいとき》《ああ。
あっ。
これが教えてくれるの?》
(加奈子)《答えがイエスのときは振り子が回ります》《ノーのときは動かないんです》《うーん》《その答えをいつも加奈子ちゃんは信じる?》《はい》答えが間違っていたことは?ないそうです。
じゃあ試験でどんな問題が出ても分かるっていうのか?それは私も聞いた。
(加奈子)《実は1回だけテスト問題を教えてもらおうとしたことが》《ウフッ》
(加奈子)《でも拒否られました》《拒否?》
(加奈子)《振り子を使うときは初めに尋ねるんです》《自分がやろうとしていることが正しいかどうか》犬を捜すことは正しいと答えたわけか。
はい。
なるほど。
真に受けるんですか?先生。
真瀬加奈子ちゃんは品川区の公立高校に通う17歳です。
そしてこれがその振り子。
何だよ?持ってんなら早く出せよ。
だからあんたは万年助手なのよ。
はあ!?な…何で「だから万年助手」なんだよ?ここで本物の振り子を持ってくるからスーパープレゼンテーションになるんでしょ?スーパープレゼンテーション?ちょっと。
見せてもらってもいいかな?どうぞ。
質のいい水晶だ。
ダウジング。
はっ?彼女が行った行為はダウジングだ。
えっ?あっ。
ダ…ダウジング?それってこういうL字の針金2本持って歩き回るやつじゃないんですか?地下水脈の真上で棒が開くとかいう。
振り子を使った方法もあるんですよ。
19.5cm。
いんちきでしょ?あんなの。
いや。
実際に彼女はクリちゃんを見つけたわ。
偶然だよ偶然。
7.7g。
ダウジングなんて非科学的。
あり得ない。
あり得ない?えっ?1889年。
アイルランドのウォーターフォード・ベイコン製造所で井戸を掘るために雇ったダウジングの使い手。
いわゆるダウザーがある場所の地下24mから30mの間に水脈があると断言した。
そしてそこを掘るとそのとおり毎時1万9,000リットルもの地下水が噴き出してきたんだ。
えっ?1967年。
ベトナム戦争ではアメリカ海兵隊が地雷発見法としてダウジングを採用。
その効果は絶大で地雷による犠牲者の数は飛躍的に減少したんだ。
先生!じゃあダウジングは本物じゃない?しかし過去科学者が行ってきた立証実験ではダウジングの効果があると認められた例は一つもないんだ。
一つも?そんなものに関わるのやめましょう。
つまりダウジングの厄介なところは成功もあれば失敗もある。
立証もできなければ反証もできないという点だ。
立証してください。
先生。
あの子がやったことを科学的に解明してもらわないと私報告書が書けないんです。
報告書?ハァー。
貝塚北署じゃみんな私のことを…ちゃんって。
えっ?…ちゃん。
何ちゃん?オカルトちゃん!オカルトちゃん?プッ。
ハハハハ!アハハ!アハハハ!面白い。
面白くない。
(優香)えっ?うっそ!?渡しちゃったの?振り子。
(加奈子)だって犯人逮捕につながるって刑事さんが言うから。
(優香)加奈子の一番大事なものでしょ?野平のおばあちゃんが殺されたんだよ?
(みつ子)《お芋ふかしたから食べて》
(子供たち)《やった!》
(加奈子)《おいしい!ねえ?優香。
おいしい》
(加奈子)優香だって大好きだったでしょ?あのおばあちゃん。
(優香)うん。
(優香)ねえ?カドパン寄って帰ろ。
カドパン?こないだも。
(優香)めっちゃおなかすいたんだもん。
何がいいっかな?うーん。
堀部先輩。
(里沙)みんな浩介の中学の子?
(浩介)昔から三中の生徒のたまり場なんだよここは。
(克江)はい。
クリームパンにメロンパン。
お釣りが60円。
(浩介)行こう里沙。
(里沙)うん。
(克江)ありがとね。
(優香)何?あれ。
加奈子じゃなくてもよかったってこと?最低。
(加奈子)断って正解だったでしょ。
やっぱすごいんだね。
あの振り子。
・
(信博)あらまあ。
優香ちゃん。
(信博)また来てくれたの?
(優香)時々ここのパンがめっちゃ食べたくなるんだよね。
(加奈子)うん。
(信博)ありがとな加奈子ちゃん。
今の堀部君もそうだけどさ。
中学卒業してからも来てくれるっていうのがねおいちゃん一番うれしいんだよ。
(優香)私チョコロール。
(信博)あいよ。
真瀬加奈子の自宅です。
父親は工務店勤務。
母親は主婦。
きょうだいはいません。
犬を捜しに出掛けたのはちょうど今ごろか。
はい。
ちょうどこの時間です。
あの子はまずここに立ち止まり振り子を取り出しました。
その夜風は?なかったと思います。
そうか。
何?現象には必ず理由がある。
真瀬加奈子はどっちに?向こうです。
ここでまた彼女は振り子を取り出しました。
彼女はどっちへ?左です。
ここでは曲がらず真っすぐ進んでいきました。
なるほど。
彼女はここで立ち止まったんです。
振り子を胸の前に垂らしたままゆっくりと歩き始めた。
はい。
まるで目的地が近づいてきたのを感じたかのように。
異臭はなかったのか?犬の死骸の臭いは?私には全然。
はい。
ここです。
あの中に犬の死骸が。
そういうことか。
えっ?何か分かったんですか?先生。
その夜は風がなかった。
通り道には高圧電線もない。
あったとしても水晶が電磁波の影響を受けるはずがない。
あっ。
消去法ですね。
マンホールとは別の方向に向かったということは地下水道に沿って進んだわけでもない。
ましてや道路標識や信号の影響は皆無。
はい。
ハハハハ。
振り子のダウジングの正体は何だったの?さっぱり分からない。
えっ?実に面白い。
はあ?ハハハハ。
死亡時刻が違う?
(アイザック)違うんですね。
(太田川)野平みつ子さんが殺されたの夜10時ごろだろ?置き時計の針が止まってたんだよ。
犯人が室内物色したときに落ちて。
(アイザック)解剖の結果は違います。
被害者はもっと早く数時間前に亡くなっていました。
(太田川)どういうことだ?
(アイザック)それを考えるのはあなたたちの仕事ですね。
あっ。
犯人は二度来たってことよ。
二度?まず昼間に野平さんの家に来た。
犬に吠えられたけど野平さんが招き入れてくれた。
どうぞ。
(アイザック)顔見知りってことですね。
そう。
犯人はそこで野平さんを殺害し犬に殺虫剤入りの餌をやっていったん帰った。
(太田川)何でだよ?野平さんが金の延べ棒を隠していたことは知っていたけどそれを探してる間犬に吠えまくられたら近所の人に怪しまれる。
(アイザック)さすが岸谷さん。
頭の回転が速い。
犯人は夜になって再び野平さんの家に戻ってきた。
そう。
そのとき犬はもう死んでいたから家じゅうをじっくり物色することができる。
お前自分に酔ってないか?そのさなか犯人はテーブルにぶつかってしまい置き時計を落としてしまった。
(アイザック)ここまでは筋が通ってますよ。
そしてついに仏壇の奥にあるお宝を見つけた。
そうよ。
これで全て説明がつく。
野平さんの死亡時刻と時計が止まっていた時刻が違うことも。
犬が毒殺された理由もね。
(太田川)じゃあ何でわざわざ犬を運んで捨てたんだよ?その犬をどうして女の子が見つけちゃったんでしょう?それは…。
(太田川)ほら。
やっぱりそこなんだよ。
振り子が教えてくれたじゃ通らないの。
結局お前の推理は穴だらけ。
その穴を今から一つ一つ埋めていくんでしょうが。
何だ?また先輩にそういう口を。
えっ?何ですか?
(アイザック)私の推理を言ってもいいですか?
(太田川)えっ?犯人は真瀬加奈子ですね。
(太田川)えっ?まさか。
(アイザック)犬の死骸がどこにあるか。
それは犯人しか知り得ない事実ですね。
(太田川)確かに。
(バイブレーターの音)あっ。
ちょっと待って。
何じゃ?こりゃ。
これは物体の振動速度を非接触で測定する装置でロケット開発にも使用されているものだ。
僕の専門分野ではないが振り子の3軸振動速度を計測しその動きを工学的アプローチで解析できないかと思って使わせてもらっていた。
はい?どうぞ。
座ってくれ。
あっ。
帝都大学の物理学者湯川学准教授よ。
物理学者?ええ。
座って。
君の大切なものだ。
先生に検証してもらったの。
その振り子のダウジングが本物かどうか。
質問をしてもいいかな?君は犬の死骸を捜そうと思ったときにまずそれが正しいことかどうかその振り子に聞いたんだね?はい。
そして見つけた。
そうです。
その振り子が教えてくれた?実はね加奈子ちゃん。
警察が一番疑ってるのはあなたなの。
強盗殺人事件の容疑者として。
あっ。
でも私は加奈子ちゃんがやったなんて思ってない。
だって高校生の女の子がそんなことするわけ…。
それは非論理的だ。
高校生だって凶悪犯罪を起こすことは珍しくはない。
私じゃありません。
人を殺すなんて。
僕はそんなことはどうでもいい。
僕が知りたいのは君のダウジングが本物か偽物かだ。
君は最近その振り子を何か他のことに使ったかい?事件とは関係のないことでもいい。
この前中学のときの先輩から付き合ってくれって言われました。
前から憧れてた人だったけど振り子に尋ねたらやめた方がいいっていうから。
断ったの?はい。
好きだったのに?でも昨日カドパンで先輩が知らない女の子と一緒にいるのを見掛けました。
やっぱりこの振り子は正しかったんです。
あの。
カドパン?私が通ってた中学の生徒がよく行くパン屋です。
振り子の力はホントなんです。
信じてください。
じゃあこうしよう。
真犯人の名前をその振り子に教えてもらうんだ。
えっ?「あ」から順番に振り子を垂らしてイエスかノーかを聞いていけばいい。
さあ始めてくれ。
コックリさんじゃないんだから。
君は黙ってろ。
さあ。
どうした?嫌です。
やりたくありません。
なぜ?なぜなんだ?先生。
君は口を出すなと言ってる。
取り調べは警察の職務です。
ダウジングの謎を解いてほしいと言ってきたのは君の方だぞ。
でもそんな追い詰めるような言い方しなくたって。
彼女はまだ高校生ですよ?だから?法律的には未成年です。
でも子供じゃない。
子供なんです。
違う。
何でそうやって言い切れんのよ?じんましんが出ていない。
はあ?非論理的な会話のかみ合わない子供を相手にすると僕はじんましんが出て体中がかゆくなる。
しかし今僕はまったくかゆくない。
つまり彼女は子供じゃない。
誰にでも分かる三段論法だ。
はあ!?犯人の名前を聞くことは悪いことではないはずだ。
その振り子は絶対に拒絶したりしない。
さあダウジングを僕に見せてくれ。
加奈子ちゃん?野平のおばあちゃんを殺した犯人を聞くのは正しいことですか?ありがとうございます。
その犯人の名前を聞いてくれ。
「あ」から順番にだ。
始めてくれ。
犯人の名前は「あ」から始まりますか?「い」ですか?「う」ですか?「え」ですか?まだやるんですか?もちろん。
続けて。
加奈子ちゃん。
「お」ですか?こんなんで分かるんだったら警察なんかいらないじゃない。
続けてくれ。
次は「か」だ。
犯人の名前は「か」から始まりますか?
(電子音)あっ。
「か」!?
(電子音)《振り子を使って見つけたの!》
(アイザック)《犯人は真瀬加奈子ですね》
(加奈子)《野平のおばあちゃんを殺した犯人を聞くのは正しいことですか?》そういうことか。
今僕が立てた仮説はおそらく実証できるはずだ。
もういい。
実験は終了だ。
ちょっと待って。
何でここでやめんのよ?犯人の名前が分かりかけてんのに。
僕は犯人には興味ない。
そこが一番大事なんでしょ!じゃあ続けるといい。
振り子は正しい答えを教えてくれるはずだ。
加奈子ちゃん。
犯人の名前の次の文字は何?
(太田川)ちょっとちょっと。
何でそいつが犯人なんだよ?それを確かめに行くんです。
いや。
令状もなしに逮捕すんのか?振り子が教えてくれたのよ。
振り子。
貝塚北署の岸谷といいます。
(太田川)太田川です。
俺が先だろ。
・
(信博)おいショウタ。
お前ちゃんと勉強やってんのか?門松さんですよね?その足どうされたんですか?
(太田川)いきなりそんな質問すんじゃないよ。
すいませんね何かね。
待ちなさい!押さえて。
押さえて押さえて。
(太田川)痛っ。
早く。
(信博)ああ!
(太田川)何で逃げんだよ?おとなしくしなさい。
あっ。
(太田川)あっ。
歯形!?うわー!
(克江)お父さん?
(信博の泣き声)
(栗林)パン屋が犯人だった!?自宅の天井裏から金6kgが見つかりました。
門松はギャンブルで借金つくってたんです。
奥さんも知らない。
クリちゃんを捨てた理由は?ああ。
2回目に忍び込んだときに死んでいると思った犬がいきなり起き上がってかみついてきたんだって。
(栗林)えっ!?DNA鑑定でも犬の牙に付着した血液と門松のものが一致。
毒入りの餌を食べさせられたのに?最後の力を振り絞ってかみついたわけか。
番犬の鑑だクリちゃん。
門松は懸命に振り払いそこで犬は力尽きました。
でもそのままにしておくと牙に付いた血から自分が割り出されると思って死骸を処分した。
大悪党め!カドパンのおじさんって中学生たちに慕われてたのにね。
でもどうしてそのパン屋が犯人だって分かったんだよ?それは…。
振り子のダウジングで彼女が言い当てたんだろ。
ダウジング!?えっ?クリちゃんも犯人も全部ダウジング?先生。
君完全にオカルトちゃんじゃないか。
助手は黙っててよ。
出た。
助手は黙ってて。
都合が悪いときの逃げ口上。
よし。
助けてください。
先生。
私このままじゃ週刊誌に書かれちゃう。
女子高生の振り子に頼って犯人見つけた貝塚北署のオカルト刑事って。
書かれろ書かれろ。
ざまぁ見ろ。
フッ。
これで実証できる。
えっ?振り子?真瀬加奈子が持っていたものと同じ長さ同じ重さの振り子だ。
見ていてくれ。
回りだした!?えっ?どうして?何の力も加えてないのに振り子が回転することはあり得ませんよね?栗林さん。
この支え棒が振り子に力を加えてるんですか?えっ?これ動いてんの?実は微妙な振動をリズミカルに加えてるんです。
ほら。
おおー。
へえー。
振り子の長さと重さを考え力を加えるタイミングが合えば規則的な回転になる。
これを共振現象という。
じゃあこの支え棒が人間の腕だとしたら?あの振り子は彼女が自分で回してるってこと!?それ以外に考えられない。
えー?だが彼女自身そのことに気が付いてないんだ。
気が付いてない?不覚筋動。
ふかくきんどう?潜在意識が筋肉に働き掛ける運動だ。
潜在意識?岸谷君と一緒に真瀬加奈子が歩いた道をたどったとき僕はずっと疑問に感じていたんだ。
なぜ彼女が犬が歩いていける場所にいると思っていたんだろうかと。
えっ?その時点では犬がどこにどんな状況でいるのかまだ誰も知らなかったはずだ。
車や電車が必要なほど遠くにいることだってじゅうぶん考えられたはずだ。
そうだ。
そして彼女に会ったとき僕は確信した。
(栗林)何を?僕は彼女にこう尋ねたんです。
《君は犬の死骸を捜そうと思ったときまずそのことが正しいかどうかその振り子に聞いたんだね?》《はい》じゃあ最初から彼女は犬が死んでるって知っていたってこと?捨てられた場所も!?
(加奈子)塾の帰りでした。
友達からメールが来て自転車を止めたんです。
・《チクショー!えーい!ハァ》
(信博)《うわっ!ああ。
ああー》
(加奈子)私はいけないものを見てしまったと思いました。
じゃあ門松が何を投げ捨てたのかそのときは分からなかった。
でも次の日野平のおばあちゃんが殺されたって知って。
もしかしてあれは…。
《クリちゃん?》でも信じたくなかったんです。
(信博)《おいおい。
健一。
あの。
ベルマーク学校に持っていって》
(健一)《俺かよ?》
(信博)《何だよ?お前》
(加奈子)あのおじちゃんが。
みんなが大好きなカドパンのおじちゃんが強盗殺人の犯人だなんて信じたくなかった。
だけど…。
殺されちゃったのは野平のおばあちゃんだから。
(みつ子)《ほら。
できたでしょ》
(加奈子・優香)《うわー》
(みつ子)《やってごらん》
(加奈子・優香)《はーい》
(加奈子)《こっちの方がいいんじゃない?》
(優香)《いや。
でも短い方でしょ》
(加奈子)《そっか》優しかったおばあちゃんだったから。
(みつ子)《ああああ。
気を付けてね》《うん》じゃあ加奈子ちゃんはあのとき振り子に何を尋ねてたの?最初から目的地は分かってたわけでしょ?自分じゃ決められなかったんです。
だから…。
《このまま進んでもいいですか?》
(加奈子)分かれ道がくるたびに。
(加奈子)《このまま進んでもいいですか?》
(加奈子)「私はこのまま進んでいいの?」って振り子に。
決めてもらってた?結局あの振り子は彼女自身の意思を確認するための道具だったんです。
憧れの先輩から交際申し込まれて断ったのも実は彼女自身が相手のチャラい本質を見抜いてたからなんですよ。
最初は痛い不思議ちゃんかななんて思ってたけど慎重に自分の行動を決めるしっかりとした女の子だったんですね。
ああ。
ああ。
おいしい。
もういいかな?はい?僕はこれからランダム振り子の周期運動と電磁波の量子状態について分析するんだ。
用件が済んだら速やかに帰ってほしい。
まだまとめは終わってません。
ダウジングを科学的に否定した上で犯人逮捕に至る経緯を報告書にまとめるんですから。
僕はダウジングを否定したつもりはないが。
えっ?最初に言っただろ。
ダウジングは立証もできなければ反証もできない。
つまり今回の一件だけでいんちきと決め付けることはできないんだ。
それじゃ報告書書けないんですけど。
僕には関係ない。
不覚何とかとかがあのダウジングの正体だって先生言ってたじゃないですか。
あの。
ふかくきんどうだか。
あっ。
不覚筋動。
それは僕の専門分野ではない。
偉そうに講釈垂れてたじゃないのよ?専門ではないが。
運動力学。
つまりスポーツの動作は全て物理学的に解析できるといえる。
ちょっと待って。
スポーツ種目の技術は最小努力で最大効率を求めることを基礎として成り立ってるわけで。
メモ取るから待ってって。
もう手帳がない。
例えば陸上競技。
あれ?陸上競技は物体の移動を第一に考えて行われるスポーツで基礎的な力学の…。
待ってください。
先生。
お願いします。
基礎的な力学の知識は。
2015/05/19(火) 14:55〜15:50
関西テレビ1
ガリレオ #02[再][字]
「指標す(しめす)死を呼ぶ水晶振り子!変人vs美少女」
福山雅治 吉高由里子 渡辺いっけい 澤部佑 川口春奈 ほか
詳細情報
番組内容
湯川学(福山雅治)は、どんなことでも祖母からもらった水晶の振り子に相談して決めているという女子高生・真瀬加奈子(川口春奈)に出会う。そのきっかけは、ひとり暮らしの老婦人が自宅で殺害された事件だった。被害者宅からは隠し財産の金の延べ棒がなくなっているため、強盗殺人事件と思われた。そして、遺体発見当日、被害者宅から数百メートル離れた場所で、彼女の飼い犬の死骸が発見されていた。
番組内容2
その死骸を水晶の振り子の力で見つけたのが加奈子だった。
岸谷美砂(吉高由里子)からこの事件について相談を受けた湯川は、加奈子の行為はダウジングだと推察する。が、ダウジングはその有効性が認められた事例がいくつもあるにもかかわらず、科学者による立証実験では効果が認められないという代物でもあった。つまり、立証も反証もできないのだ。
番組内容3
振り子のダウジングに興味を抱いた湯川は、加奈子が犬の死骸を見つけたときと同じ道をたどり、その正体に迫ろうとするが…。
出演者
福山雅治
吉高由里子
澤部佑(ハライチ)
渡辺いっけい
ほか
スタッフ
【原作】
東野圭吾
【脚本】
福田靖
【企画】
鈴木吉弘
【プロデュース】
牧野正
【演出】
西坂瑞城
澤田鎌作
【音楽】
福山雅治
菅野祐悟
『オリジナルサウンドトラック』(ユニバーサルミュージック)
【主題歌】
KOH+『恋の魔力』(ユニバーサル J)
【制作】
フジテレビドラマ制作センター
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – その他
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