あー猿だ…。
猿だ猿だ。
可愛い…。
（猿の鳴き声）あれ？あの猿何やってるんだろう？
（猿の鳴き声）が骸骨！
（パトカーのサイレン）
（刑事）あっこりゃ本物の骸骨じゃん。
課長これっこれっ…。
下顎じゃな。
あの骸骨もこの穴ん中に埋まっちょたんでな。
バラバラ事件ですね。
（汽笛）
（子供）や〜だ〜。
（一ノ瀬美里）コラコラ待ってひろしくん。
どうしても治療したくないの？痛いのがイヤなんだ？そっかぁ…よしじゃあ今日はもう帰っていいわ。
ホント？でも覚えててね。
野球選手になりたいんだったら虫歯はちゃんと治さないとね。
どうして？だってこうバットを振る時に奥歯をうんと噛み締めないとホームランは打てないわよ〜！あっ…すいません。
先生すごい！バックスクリーン直撃！シー！そんなにハシャがないの。
先生。
ん？俺やっぱ歯治すよ。
だってホームラン打ちたいもん。
おおそっか。
（村松教授）え〜まず頭蓋骨を発見したら歯から人のものか獣のものか区別出来る。
そして歯こそ人間の履歴書だ。
その人の年齢性別時には職業や食べ物の好みまでが歯ひとつから推測出来る。
現在法医歯科学は遺体の身元確認で大きな成果を挙げている。
大災害や交通事故殺人事件などでは歯からどこの誰か特定出来るからだ。
警察の犯罪や事故捜査の鑑識作業の中でも非常に注目されている。
先生。
はい。
もし首がない遺体の場合では法医歯科学ではダメですか？
（村松）いやそんな事はない。
法医歯科学と言っても歯だけじゃない。
人間の体全体を研究したとえ首のない遺体でも身元確認出来るのが今の法医歯科学だ。
え〜じゃあ一ノ瀬くんスライド頼む。
はい。
え〜これは多摩で発見された男性の白骨死体の上顎と下顎のスライドです。
見ての通り下顎左側第２大臼歯下顎右側第１第２大臼歯のインレー修復がされている。
それと…下顎左側犬歯根尖付近の歯槽骨内不透過像があるのがわかる。
えーこれらの歯の欠損状態から年齢が４０歳から５０歳という事が推定出来る。
はい次。
はい。
（学生たち笑い声）すいません。
（村松）まったく君はおっちょこちょいなんだから。
はぁ…。
（村松）えーこの頭蓋骨から男性と推定出来るのは…この前頭結節。
それから…ここの乳様突起この部分だ。
これらの特徴から男性と推定出来るわけだ。
わかるね。
なるほど。
今朝屋久島の山中で身元のわからない頭蓋骨ですか…。
（木戸勇太）はい。
県警ではぜひ鑑定を法医歯科学の権威である村松教授にお願いしたいと。
なるほど。
たまたま研修で上京していた私が直接先生に頼みに参りました。
いやあお力になりたいんですがねあいにく学会が続いてましてね…。
代わりに助手を行かせましょう。
（ノック）はいどうぞ。
失礼します。
あの…研究室の片づけ終わりました。
一ノ瀬くんこちら鹿児島県警の刑事さんだ。
捜査一課の木戸です。
初めまして一ノ瀬美里です。
君にすぐ屋久島へ行ってもらう。
私の代わりに遺体の身元確認だ。
私が１人でですか？そうだ。
こりゃ大切な勉強だ。
わかりました。
頑張ってやらせて頂きます。
じゃあ早速持ってく資料や器具を準備したまえ。
はい。
失礼します。
大丈夫なんですか？あんな若い女性で。
ああ。
普段は少しそそっかしいところもあるが歯を鑑定する目は確かだ。
はぁ…。
そして私は鹿児島へ向かった
一ノ瀬先生明日朝一番のフェリーで鹿児島港から屋久島の宮之浦へ向かいます。
はい。
先程屋久島署に確認したんですが今日１日現場周辺を捜索しても被害者の胴体部分はまだ発見されてないそうです。
頭蓋骨だけなんですね。
そうですねぇ。
今のところ男か女かもわからない。
やっかいな事件ですよ。
なんとか手掛かりがつかめるよう頑張ります。
お願いします。
（汽笛）でもその観光客の方よく頭蓋骨なんか発見しましたね。
いや実はこれには猿が一役買ってるんですよ。
えっ猿？そうなんです。
屋久島に生息する屋久猿が頭蓋骨をいたずらしているところを観光客が見つけました。
猿がねぇ…。
でも首だけですから我々も現地の警察もバラバラ事件と踏んでます。
バラバラ事件…。
一ノ瀬先生まさか殺しの仏見るの初めてじゃないですよねぇ。
いいえ…いえ以前にも。
そうですね。
そろそろ屋久島に着きますから甲板に出てみますか。
はい。
（汽笛）霧がかかってるわ。
屋久島の山の上は霧がかかってる事が多いんです。
とっても神秘的な島ですね。
では始めます。
（一同）お願いします。
前歯２本は陶材冠ですね。
骨の損傷傷み具合から見て…死後半年程度。
頭蓋骨の形から見て男性なのは間違いありません。
歯がピンク色になっていますからこれは死ぬ前後に首に紐のようなもので強い力がかかった事を示しています。
ほう。
絞殺死体薬殺死体の場合は大抵このピンクティースの症状が出ます。
紐や手で絞め殺されたって事か？はい。
これは血液中のヘモグロビンが…。
面倒くさい説明はいいですから早く鑑定の結果を。
わかりました。
この奥歯の減り方…。
そして縫合線の消え方から年齢は５０歳前後でしょう。
その頭の縫い合わせの線からも歳もわかるんだぁ。
はい。
歯の治療状態はとても良くインテリですね。
ほうそんな事までわかっとですか？自分の歯に対する意識の高い人は一般に教養程度も高いと言われています。
それにかなりお金のかかった治療法です。
仏は金持ちですか？会社社長や資産家とかかあ…。
社会的に地位のある方だと思います。
ああいやや島ではそんな行方不明者は出とらんですよ。
至急緊急本部に照会します。
ああちょっと…。
警察庁にも報告せんと。
はい。
なんで仏をわざわざこんな島に捨てたんかいなぁ。
わああ〜。
ああ…。
注意してくださいよ足元に。
はい。
この小さい島の天気は不思議でねぇ。
同じ日でも場所によっては晴れたり降ったりなんですよ。
だから珍しい自然があるんですねぇ。
そうこの島の自然は９３年にはユネスコの世界遺産にも選ばれました。
樹齢１０００年以上の屋久杉ガジュマル。
豊かできれいな水。
屋久鹿に屋久猿。
ああ…この杉は樹齢１８００年。
山の上の方に行けば樹齢７０００年とも言われる縄文杉が見られます。
木戸さんって屋久島の自然にホントに詳しいんですね。
フッ…だって俺はこの島の出身だもの。
高校まで住んでたんだ。
そうなんだ。
さあ急ぎましょう。
はいすいません。
ちょっと通してください。
ごめんなさいね。
はいすいません。
ここですね。
ええ。
わからないのはどうしてこんな観光地の道端に埋めたかって事なんですよ。
隠したいならもっと別の場所がいいですよね。
犯人が死体をバラバラにするのは身元をわかりづらくする為だからこんな見つかりやすい場所に埋めるのは変なんだなぁ。
まだ胴体の部分とかその後ろの谷に埋められ…。
うわー！おわっ。
すいま…。
どうしたんですか？すいません。
あの実は…初めてなんです殺人事件。
はあ！？事故の身元確認には何回か立ち会ったんですけど。
あは…そうなんだ。
たは…。
どうして殺人事件が初めてじゃないなんて嘘ついたんですか？だって…木戸さん教授が私を紹介した時からずっと不安そうだったんですもの。
ハハハハ…いやばれてましたかハハ…。
殺人事件が初めてなんて言ったらますます信用してもらえないかと思って。
でもこんなにきれいな島に頭蓋骨を埋めるなんてヒドイですね。
同感です。
犯人は何を考えたんだか…。
木戸係長！一ノ瀬先生！仏と思われる人が見つかりました。
指宿です。
指宿温泉のホテル社長が半年前に失踪しています。
指宿？よし仏と一緒に移動だ。
この屋久島で発見された頭蓋骨の輪郭をトレースしたものとこちらの被害者と思われる写真を重ねます。
（五十嵐良吉）いやあ…ピッタシじゃなかねえ。
間違いないですか？この社長さんである可能性は高いと思います。
ただこの方の歯科医のカルテと照合してみないと断定は出来ません。
どうなってますか？あっ家族がカルテを持って向こう行ちょっとですわ。
放してください。
ちょっとお待ちください。
（室井咲子）嘘でしょ。
ねえお父さんだなんて嘘でしょ。
まあ室井さんまあ落ち着いて。
先生…。
はい。
残念ですが間違いありません。
治療の後も歯根の形も全て一致しています。
イヤ…イヤー！イヤだー！お父さん…。
あたし…あたし…犯人が誰だか知ってるわ。
（咲子の泣き声）後妻の…後妻のかおりさんよ。
（咲子の泣き声）奥様…警察の方がお見えになっております。
（室井かおり）刑事さんこの度はいろいろありがとうございました。
こちらの東京から来た一ノ瀬先生がご主人の身元確認を行ってくれました。
一ノ瀬美里です。
この度はご家族には大変残念な結果でお悔やみ申し上げます。
本当に主人がなぜこんな事になったのかまだまるで信じられません。
（咲子）何よ白々しい。
お父さんを殺したのはあなただってみんな言ってんのよ。
違うの？違うならなんか言いなさいよ！待ちなさいよ。
（守口幹也）やめろ咲ちゃん。
放してよ守口さん。
だってそうじゃない。
あの人とそこの西島さんとの仲は町中の人が噂してるわ。
西島さんはっきりさせましょうよ。
（守口）やめろ咲ちゃん。
そんな話をこんな席で…。
おじさんのお通夜じゃないか。
お父さんの前だからこそはっきりさせたいのよ。
かおりさんが西島さんとお父さんのホテルを乗っ取るつもりだったの。
（泣き声）一ノ瀬先生？木戸さん…。
何してるんですか？ここで。
いいえあの…ちょっと事件が気になったのでどんなホテルなのかなぁと思って様子を見に…。
ああそんな事しなくていいです。
捜査は警察の仕事です。
それより指宿署に１０時にお願いしますね。
はい…。
でも気になるのよねぇ…。
私の初めての殺人事件なんだもん。
（守口有加）あっどうぞ。
有加…？有加！美里！
（２人の笑い声）でもビックリしたあ。
こんなとこで…。
有加が結婚した事もこっちに住んでる事も全然知らなかった。
私もねえ美里が社長の身元を割り出してくれたなんてもうビックリ。
あっは…。
えっと有加のご主人が亡くなられた室井社長の甥でホテルの副支配人なんだっけ？うん。
私たちね結婚して３年経つんだけど社長にはホントに良くしてもらったの。
でも…。
なんでこんな事に…。
有加…泣かないで。
私も出来るだけ犯人捜すのに協力するから。
…ありがとう。
でもホントにいい町ね。
有加の結婚式に呼んでくれれば良かったのに。
ほとんど駆け落ちだったの。
どうして？神戸の両親私が歯医者と結婚して夫婦で医院を継いで欲しかったみたい。
でもね守口は歯医者じゃなかったから反対されてね。
有加は今こっちで歯科医として働いてないんだ。
ええ。
もったいない。
せっかく歯科大出てるのに。
う〜んでもねホテルも手伝わなきゃならないし。
手伝ってるんだ？うん。
うちの人の為にもね。
ありゃ？な〜によ最後は結局のろけ？イヤ〜違うよ。
ワハハ…可愛い。
可愛い…ウフフ…。
（五十嵐）ああ先生！おはようございまーす。
おはようございます。
五十嵐さんちで飼われてる犬ですか？はい。
へえ名前は？タローですたい。
タロー…ウフフ…。
なんだかのんびりした犬ですね。
いやぁ警察犬を定年退職した老犬ですさかい。
我が家で引き取って面倒みちょります。
あらあらイヤだこの子…。
え？歯槽膿漏が進んでるわ。
ほら歯がグラグラしてる。
ああああ〜そいでこの頃ちょこっと食欲と元気がなかったんすかコラッ。
早く治してあげた方がいいですよ。
はいわかりました。
じゃあ先生またあとで。
はーい。
ほらタロー…。
バイバイまたね。
ほらタロー行くぞ…。
我々の考えでは動機の点で妻のかおりが一番あやしい。
通夜に来ていたホテル専属のテニスコーチと噂されていたのも事実だ。
本当に不倫してたんでしょうか？本人たちは否定しているが今裏が取れるか聞き込みしているところです。
でもかおりさんお通夜の時すごく悲しそうでとてもご主人を殺したとは思えないわ。
わかるもんか。
女はいくらでも芝居するからな。
それより殺しの方法を聞きたい。
あのピンクティースっていうのは？ピンクティースと言うのは英語でピンク色の歯という意味です。
それぐらいの事はわかる。
その場合どういう殺され方なのかを訊いているんだ。
普通の人の歯は黄色がかっていますが首に強い力がかかると歯の血液が鬱血して歯をピンク色に見せます。
長い理屈はいいよ！わかってるのかなぁ。
これは単なる事故じゃなく凶悪な殺人死体遺棄事件なんだ。
法医歯科学の勉強会じゃないんだ。
犯人を捜す為にはクドクド説明を聞いてる暇…。
木戸さんは…少し気が短すぎると思います。
屋久島の自然の美しさを話されていた木戸さんらしくないわ。
確かに私は殺人事件は初めてですが…。
でも事故死であろうと殺人であろうと生きている人間と同じように丁寧に接すれば歯もおのずと語りかけてくれるんです。
わかりました。
この場合頭部に外傷はありませんが首に紐のようなもので強い力がかけられた絞殺などが考えられる事は以前お話ししましたね。
女でも可能って事か…。
殺してから胴体と切断してバラバラにして屋久島に運んだのか…。
でもこの発見された屋久島の土壌に半年間放置されていたにしてはあめ色に変色していません。
最近殺されて埋められたって事か。
いえ人が土の中で白骨化するには平均８か月かかりますから。
水の中や大気中なら１〜２か月で骨になるはずだ。
いえそれよりも半年前に殺害されて一度別の場所に埋められ最近になって屋久島に移されたのでは？そりゃ単なる君の想像じゃないのか？骨から見た推定です。
僕の方が君より見てる仏の数も多いんだ。
（ドアの開く音）あっ木戸係長。
県警の鑑識から報告がありました。
頭蓋骨に付いておりました土砂つまり土の件です。
「土は２種類で骨の外側は屋久島の土だが内側には指宿周辺のものと思われる硫黄を含んだ土が付着していた」つまり指宿周辺で一度埋められてから最近屋久島に移されたって事ね。
女の勘の鋭さかな。
刑事長さん社長の失踪前後の足取りをもう一度洗いましょう。
じゃど半年前の事じゃけだ〜れも覚えちょらんがねえ。
法医歯科学をやってる人間に向かって「女の勘だ」なんて失礼しちゃうわ。
こうなったら私が絶対に犯人を見つけてみせるわ。
ふ〜んあの刑事さん美里にそんな失礼な事言ったの？そうなの〜。
もう科学的な分析に対して「女の勘」はないわよね。
ホーントね。
ねえやっぱりアレかしら？鹿児島の男って古くて男が女より偉いと思ってるのかしら。
さあ人によるんじゃな〜い。
うちの守口はそうでもないけど。
こんにちは守口です。
…どうも。
美里さんの噂は伺ってます。
初めまし…。
あ…あのお通夜の時に…。
はあ…あの時は大変失礼しました。
いえ…。
さあどうぞ。
はい。
この度は社長の件で大変お世話になりました。
はぁ…残念でしたね。
社長が亡くなってホテルも我々もこれからが大変です。
だからこそうちの人が頑張んなきゃいけないのよね。
なんだ…お前だって頑張ってくれよ。
うん。
まあまああてられちゃう。
指宿はアツイこと。
あ…イヤ…違う。
そんなんじゃない。
ね。
とにかく私はお２人の為にも警察の木戸さんより先に犯人の手掛かりが見つけられるよう頑張るわ。
心強いわ。
僕からもぜひお願いします。
任せて。
（富永妙子）副支配人！お客様です。
はい。
それじゃあごゆっくり。
あはい。
有加さんあんた何？いつまでこんなとこで油売ってんの？ああの…ご紹介します。
こちらあの私の同級生で社長の身元を確認してくれた歯医者さんです。
初めまして一ノ瀬美里です。
こんにちは富永妙子です。
今晩は大きな団体さん７組も入ってんのよ。
早く行って手伝いなさいよ。
わかりました。
すぐ行きます。
ホントにもういつまでもお嬢さん気分が抜けないんだから。
だ〜れあの人？ホテルの仲居頭よ。
へえ。
社長のね前の奥さんの妹にあたるの。
じゃああのお通夜の時にもいた？ううん。
あの人ね仕事の鬼だから仮通夜の時もホテルに１人だけ残って仕切ってた。
ホントはさあ前の奥さんが亡くなった時に自分が後妻に納まってホテルの支配人になりたかったって話。
へえ…。
（妙子）早く来なさい。
太田さん何してるの。
早く行きなさい。
（有加）それが社長は若いかおりさんと再婚したでしょう。
あてがはずれてますます性格がきつくなったみたい。
あ…ごめんうるさいからさ。
（電話）はい一ノ瀬です。
あっ教授。
ええ一応鑑定は終わりました。
鑑識からの報告書も揃いましたので簡易鑑定書を提出しました。
よくやった。
君が身元の割り出しに成功したんで県警から私のところにお礼の電話があったよ。
ホントですか？嬉しい。
あ…で教授出来れば私もう少し指宿に残りたいんですけど。
まっ現場の経験は法医歯科学では何より大切だから事件が少し見えてくるまで指宿にいなさい。
ありがとうございます。
きっと犯人逮捕に役立つように頑張ります。
タローおいで！タロー！よーし…。
歯は見てもらったかなぁ。
どうだぁ…。
アハハ…良かったねぇ。
治ってる治ってる。
ああ…先生。
あっこんにちは。
まあありがとうございました。
え？あの…獣医さんに見せたらまあほっといたら大変だったって。
そうですか。
化膿してましたからねぇ。
歯を抜いて良かったと思います。
タローは幸せもんだねぇ。
偉い先生に歯を見てもらって。
うちん人が言ってました。
先生はとっても偉くて…とってもよかおごじょだって。
よかおごじょ？ンフフ…。
こっちの言葉でべっぴんさんって事です。
まあハハハ…。
ハハハ…。
ああ…このタローも今はもう歳ですが昔は警察犬の訓練も受けて活躍しました。
アハハ…散歩に行きたいのかな？ねタロー。
フフフ…。
あれは…西島さんとかおりさんだわ。
やっぱりあの２人何かあるのかしら…。
かおりさんもう忙しいのにどこ行ってたんですかぁ？いえちょっと…。
（妙子）まさかまた西島さんと会ってたんじゃないでしょうね。
そんな事ありません。
世の中にはホントに恐ろしい事をする人がいるもんだ。
うちの社長を殺して埋めるなんてね。
おいで。
（咲子）出てって！出てってよ！わかりましたわかりました。
木戸さん！？また君はウロウロしてるのか。
いやちょっと咲子さんに話を聞きに来ただけです。
警察のマネならやめといた方がいい…。
いやそうです。
おいはお茶をぶっ掛けられた。
お通夜以来ずっと精神が不安定なんだよ。
署の連中もみんなお手上げじゃ。
ねえ出直した方がいいんじゃない？いいえ。
会ってみるわ。
（チャイム）
（有加）咲ちゃん私たちも社長の為に早く犯人を捕まえたいの。
失踪前何かいつもと違った様子ありませんでしたか？今は何も考えたくないの。
ただ父の思い出に静かに浸りたい。
そこをなんとかですね…。
あなたたち他人には父がどんなに素晴らしい人だったかわからないわよ！私わかります。
お父様は真面目で几帳面で本物の贅沢を知ってる。
そう外国の葉巻を吸いながら本を読むのがお好きでいつも心にゆとりを持っていらした。
なぜわかるの？あなたは父に会った事がないのに。
会ってます。
ご遺体でしたが…。
歯からはお人柄が十分しのばれました。
まあ…。
西島さんが…うちのホテルの専属テニスコーチになったのは８か月前です。
かおりさんも習い始めました。
あっ…。
（西島慎司）ハハハ…。
（咲子の声）大きなホテルの若い後妻と町へ来たばかりのハンサムなテニスコーチですものすぐ噂になりました。
でも父はそんな噂は信じてませんでした。
父は西島さんを可愛がり自分もテニスを習ったりしてました。
わざわざ西島さんに週に１回の屋久島でのコーチの仕事も世話したくらいです。
屋久島？でも…ちょうど父が失踪する１週間程前に事件がおこりました。
うっ…うっ…。
（咲子の声）かおりさんが妊娠したんです。
もちろんかおりさんは父の子だと主張しましたが父はとっても悩んでました。
そんな時…。
お父さん。
（室井泰三）おお咲子か。
うんちょうど良かった。
遺言状を書いておこうと思ってね。
（咲子）遺言状？うん。
まあ新しい家族も増えることだし。
将来に向かっていろいろと整理をしておこうと思ってな。
やめてよ。
そんな縁起でもない。
まだそんなもの書かないで。
うんまあそうだが…。
（咲子の声）その時はそれだけでしたが…。
父がいなくなったのはその３日後でした。
結局かおりさんは４か月で流産した為子供は誰の子なのかわからずじまいです。
なるほど。
しかし遺言状の件はどうして今まで我々に言わなかったんですか？だって私も実物を見たわけではないから。
ホテル及びこの家の捜査ではそげんもん見つかっとらんど。
本当に書いたんでしょうか？おそらく書いたと思います。
そして西島さんとの不倫を父に知られたかおりさんは自分や自分の子供に財産がこないのを恐れて父と遺言状を抹殺したんです。
（五十嵐）じゃど助かりましたぁ。
先生のおかげで貴重な情報…取れましたですもんねぇ。
やっぱり女の話は女が聞くのがいいんだな。
それだけじゃないわよ。
美里が社長の人柄を当てたから咲ちゃんの気持ちがほぐれたのよ。
そげんです。
たんにおごじょ同士っちゅう事だけじゃなかぁ。
じゃどどげんしてあげん室井社長の事はわかったとですか？几帳面で読書を好むタイプっていうのは歯の手入れが行き届いていた事でわかります。
はぁ…。
贅沢を知ってるっていうのはお金のかかった治療法ですからね。
（五十嵐）うんうんうん。
今は昔と違って白いセラミックの方が流行りなんですけどでも馴染み具合では金の方が勝っているので室井社長はこの見えない奥歯の方は金歯にしてありました。
はあはあ。
もちろんどちらも保険外です。
外国製の葉巻って言うのは付着物を分析した鑑識の報告書からだろ。
そうです。
じゃああの…室井社長の心にいつもゆとりがあったっちゅうのは？治療してある歯が５本しかなく年齢の割にとても少ないからです。
え？じゃあそれとゆとりとどげな関係があるとですか？あの…ストレスが多い人っていうのは一般に歯が悪くなりやすいんです。
唾液が上手く出ないからなんですけど。
ああ警察官は気をつけにゃいかんど…ですね。
フンッ俺へのあてつけか。
（笑い）あっいけね。
１時半にホテルで室井かおりと会う事になってるんだ。
あっあの…私も連れてってください。
いや先生はいいですよ。
いやいや係長。
あの奥さんも先生と一緒の方がよう喋るんじゃなかですかね。
あっさあ参りましょう。
はい。
遺言状の話はご存知でしたか？いいえ…主人は私に何も言ってませんでした。
何か悩んでいる様子があったのは確かですか？はい。
でも家庭やお腹の子供の事ではないと思っていましたから。
おそらく仕事の事だろうと…。
え〜仕事上のトラブルは支配人副支配人会計士弁護士いずれからもなんもきちょりませんね。
（かおり）あっ…そうですか。
はい。
みなさんが私を疑っている事は知っておりますが私は西島さんとは何もありません。
ご主人とは仲がよろしかったとおっしゃるんですね。
ええそうです。
この社長室も失踪以来私が毎日掃除していたのは主人が必ず無事に戻って来ると信じていたからです。
あの…じゃあ昨日川べりで西島さんと会われていたのは…。
こんなに噂が広がっているので謝りたいと彼が言ってきただけなんです。
じゃあ奥さんは一体ご主人誰に殺されたと思うんですか？実は…思い当たる人が１人います。
誰ね？主人の義理の妹の妙子さんです。
（かおり）昨日の晩の事です。
ホテルの裏の空き地で妙子さんを見ました。
何か探し物が見つからないといったような感じでした。
奥さん富永妙子は何かご主人に対して恨みを抱いている様子はありましたか？
（かおり）恨みかどうかはわかりませんが妙子さんは経営にとても関心が強く営利を追求するタイプです。
儲け主義でない主人とはいつも意見が食い違っていましたから。
まさかぁその空き地の中に室井社長の胴体が埋められちょる…ね。
あっどうですか？えいやちょっと…。
シー！今夜来っとかいねぇ。
かおりが嘘をついてるのかもしれませんね。
おいたちの目を妙子に向けさせる為ですか？西島とかおりの関係もまだはっきりしてませんし…。
はぁ…。
来ました！えっ！？あっち！ほらあそこ。
（土を掘る音）おい！お前は何してるんだ！
（パトカーのサイレン）おいちょっと待った。
おいあったぞ。
見つかりましたー！おいこっちだ。
ホントに私じゃありません！あんたが犯人じゃないならどうして犯人しか知らない仏の埋め場所知ってるんだ！ある人から聞きました。
誰だ！教えられません！どうして！私たち従業員はお客さんがお酒の席で言った事は秘密にしなきゃいけない義務があるんです。
あのねあんたたちにはね守秘義務なんてなか。
知っちょうか？お？
（ノック）はーいどうぞ！木戸さん。
外観所見並びに紫外線の所見から骨は重複していないのであのご遺体はやはり社長と思われます。
（泣き声）ほらほらほらほらほら。
泣かんでちょう。
え？誰から聞いたか教えてくれんか？そうじゃないとお前の立場はますます悪くなるしお前が好きじゃった社長さんも成仏出来ねえが。
ん？んほら。
…言います。
うん。
…西島さんです。
えっ西島！？西島…。
あれは…社長が行方不明になってすぐの事でした。
（笑い声）私らみんな社長がいなくて寂しくてですねぇ。
大丈夫だよ。
そのうちひょっこり帰ってくるからさ。
フフフええもう。
でも案外裏の空き地に埋まってたりなんかしてな。
やめてくださいよ変な冗談。
（西島）冗談冗談。
（妙子）その時は単なる悪い冗談だと思ってたんですけど…。
屋久島で社長の頭蓋骨が見つかってかおりと西島さんが疑われてくると私…あの時の西島さんの発言が気になって気になってそれであそこに…。
はい腕をもっと伸ばしてね。
いいよなかなか。
はい。
はいいいですよ。
ちょっと皆さん集まってください。
なかなかねうまくなりました皆さんね。
それでねもう少しね…。
どうもキザでいけ好かない奴だな。
どうして西島さんに事情聴取しないんですか？証拠が何もないんだよ何も。
でも西島さんは週に一度屋久島にテニスコーチに行ってるんでしょ？その時に頭蓋骨を埋めたとも考えられるんだが裏が取れないんだよ。
目撃者とかいないんですかねぇ。
もっと押し込むようにね。
皆さんちょっと自主トレやっててください。
球出ししてあげて。
副支配人の守口だ。
有加の旦那さんよ。
何を話してんだか…。
私訊いてきます。
あー！ちょっと待っ…。
守口さーん！あー美里さん。
どうしてここへ？いやちょっと…散歩のついでに。
ああ。
あなたテニスやります？いえ。
よかったら僕教えましょうか？あありがとうございます。
じゃあ失礼する。
うん。
失礼します。
守口さん。
守口さん西島さんと親しいんですか？ああ。
彼が指宿に来た頃から亡くなった社長と一緒にいろいろと面倒みてる。
でもなんだか西島さん守口さんに対していばってるみたい。
あいつは男に対してはいつもああなんだ。
ま女性に対しては優しいけどね。
守口さんは西島さんとかおりさんの関係どう思われます？うーん…噂が本当だとしたら２人が社長を殺す動機はあったと思う。
人の悪口は言いたくないけどね。
（エンジン音）
（クラクション）どこに行くんですか？私も連れていってください！どいてどいて！あーもう！
（クラクション）
（クラクション）ちっくっそー逃げられたかー。
行くぞえい！行け！
（笑い声）おれ！よ〜し。
（笑い声）しっかりタローは先生になついてしもうて。
まるで若い時みたいに元気になりました。
そうそう食欲も出てきて。
うん。
口元が気にならなくなったからでしょうね。
こげん元気が戻ったらまた警察犬として復帰出来るかもしれん。
うん。
まさかぁアハハハ。
飼い主と同じで歳だからね。
しょうもないね。
何言うちょっか。
おいはまだ現役ぞ。
タローお前はほら…。
でもこのタローは子供のない私らにとってはねホントの子供のようなもんです。
（パトカーのサイレン）急いでください！こちらです。
ごっつえヒドかなこりゃあ。
焼身自殺じゃなかか？いや…そばにガソリンもなんも残っとらんで。
こりゃ殺人じゃろう。
被害者は殺されてからガソリンをかけられて燃やされたらしい。
所持品はなく衣服も指紋も焼けていて身元がわからないんです。
そうですか…。
先生どうですか？３０代の男性ですね。
最近一度歯石を除去してるようですからレントゲンを撮り歯科医に当たればカルテと照合出来ると思います。
鹿児島県内の歯科医師会に協力頼もう。
はい！よし。
うちにはこういう患者さんいらっしゃいませんね。
そうですか。
おいまだ有力な情報は出んのか？まだです。
間違いないですか？はいはい。
どうもありがとうございました。
わかりました！えっ！？該当者が鹿児島市内の医院に見つかりました。
レントゲン写真と合う人がいたんですか？はい。
住所は指宿市内。
名前は守口幹也３４歳です。
守口幹也？ままさか…。
西島…。
そうそうこんな感じのブレザー着てました。
何か彼と話をしましたか？確か…「ホテルで働いてるから歯を清潔にしたい」とか言ってましたけど。
歯石を取るだけの患者さんでもレントゲン写真撮るんですね。
ええ。
うちの丁寧なデンタルエステは県内でも有名なんです。
デンタルエステ？あはい。
今若い女性を中心に歯を美しくする事が流行ってるんです。
矯正歯石クリーニング歯を白く見せるなどこれがデンタルエステです。
歯医者さんは昔と違って歯を治すだけのところじゃないってわけですね。
そういう事です。
どうもありがとうございました。
無理もないよな。
君が鑑定した焼死体が友人のご主人のものだったんだから。
君はもう東京帰ったほうがいいよ。
君の仕事は終わったんだから。
西島を追うのは我々警察の仕事だ。
おいなんか悪い事言ったか？違うの…。
家族を亡くすのってとっても悲しい事だもの…。
君もそんな経験があるのか…？私は…高校の時に両親を交通事故で亡くしたの…。
観光バスが崖から落ちて炎上して…。
守口さんとおんなじように誰だかわからない焼死体で発見されたわ。
（遺族の泣き叫ぶ声）その時歯医者さんが身元確認をしてくれるのを役場の寒い廊下でじっと待ったの。
生前のカルテやレントゲンと合わせてみて歯の治療痕からあなたのご両親とわかりました。
（泣き声）よかったですねお嬢ちゃん。
早くにご両親がわかって。
あなた身元がわかるだけ幸せなんですよ…。
（号泣）あの時はただただ悲しくて…。
でも後になって思ったの。
両親の死はもちろんつらいけどでも身元がわかればまだ少しは救われる。
もしわからないままなら家族の悲しみはより深いものだって…。
そんな事があったのか。
美里さんはだから…。
え？いやだから一ノ瀬先生は法医歯科学の道を選んだんだ。
ええ。
いけない。
つい余計な事まで話しちゃったわ。
木戸さんに「女はすぐ泣くからイヤだ」って言われそうね。
いやそんな事はないですよ。
嘘！何かの間違いよ！昨日ご主人から何か連絡ありませんでしたか？夕方ホテルから「今晩は西島さんに誘われて一緒に食事をする」って連絡があっただけです。
やっぱり西島か…。
有加…有加しっかりして。
この部屋です。
（ノック）西島さん！西島！西島！これ開けてください。
西島！２階どうですか？空っぽです。
くそー逃げられたか。
（携帯電話）はい。
西島の車が鹿児島市内で発見されました。
じゃど本人は見つかっちょりません。
あいつ車乗り捨てて高飛びする気だな。
港と空港を緊急配備！了解！大丈夫？もう大丈夫。
じゃあ私いったんホテルに帰るけどもし何かあったらすぐに連絡ちょうだいね。
うん。
いろいろと…ホントにありがと。
あらー…。
懐かしい…。
学生時代の写真ね？うん。
帰れるならあの頃に帰りたいわ。
悩みとか悲しみとかもなかったもの。
有加…今こんな質問するの変だけどあなたもやっぱりご主人殺したの西島さんだと思う？…そう。
主人が私に言った事があったの。
「西島とかおりさんの噂は本当だ。
西島はホテルを乗っ取るつもりだ」って。
え…。
その時私そんな事信じられなくて「そんな事ないそんな事心配する事ない」って。
でも…主人がこんな事になってみてあの時主人が言った事はホントだったかもって…。
きっと西島は主人の事が邪魔だったのよ！それに主人は社長殺しの件で西島がやったという証拠を何かつかんでたのかもしれない。
それで…西島に殺された…。
奥さん西島の居所を知ってるなら話してください！知りません。
私は彼とはなんでもないんです。
彼がご主人を殺した疑いが強いんです。
考えられません。
西島さんは女性に優しく誤解されやすい人でしたが人殺しなんて出来ない人です。
しかしご主人を殺した後にあなたに取り入ってホテルを乗っ取ろうと考えていたのかもしれません。
そして殺人を目撃されてしまった西島は守口さんを口封じの為に殺した。
まさか…。
とにかく何もやましい事がなければ西島は急に逃げる事はないんです。
ホントに知らないんですか奥さん。
知りません。
お帰りなさいませ。
３０３号室お願いします。
はいかしこまりました。
はい。
どうしたの？虫歯？実は右の親知らずがずっと痛くて。
そう。
じゃ食事も困るでしょ。
仕方がないから左で食べてます。
そう。
じゃ。
ごゆっくり。
すいません。
有加この人の歯をよく見て。
この人右側でよく噛んでた人だわ。
右の歯の磨耗の度合いが左に比べて強いでしょ？確かに右側が左より減ってるわ。
でもあなたのご主人の守口さんは左側をよく使っていたはずよ。
ほら見て。
彼の鼻筋がこっちの左のほうに曲がっているのは左側で噛んでいた証拠よ。
ええ。
あのー一体どげん事ですか？人間の鼻筋は咀嚼筋という噛む筋肉の関係でよく使う歯の方向に曲がるんです。
はあ。
つまり右でよく噛む人の鼻筋は右側にそして左でよく噛む人の鼻筋は左に曲がります。
はあはあ。
とにかくこのご遺体は守口さんじゃない可能性があるわ。
えっ！まさか…。
だとしたらうちの人生きてんの？ええ。
ちょちょっと待ってください！もうすでに警察では守口さんっちゅう事で決まった仏さんですたい。
それをいきなり右側とか左側とか「守口さんじゃなか」なんちゅう事言われても…。
お願いします。
急いで木戸さんを呼んでください。
いやそりゃもうすぐ連絡取りますたい。
じゃど木戸係長が戻るまではなーんもせんで待っちょいてくださいよ？わかりました。
よかですね？お願いします。
有加私ホテルに戻って資料を整理し直してみるわ。
あなたは守口さんの顔写真をもっと集めて欲しいの。
どうして写真が必要なの？スーパーインポーズ方式で確認したいの。
わかった。
あのー３０３号室の一ノ瀬さん呼んで欲しいんですけども。
あっお客様なら先ほど外出されましたが。
外出！？ええそうですね１０分ぐらい前にお１人で急いで出ていかれました。
すいません警察ですが部屋を見せてもらいます。
ああ…はい…。
タロー。
タロータロー。
待ておいおいおいおい。
こらタロー。
どこ行くんだお前。
おいお前こら待て。
待て。
（タローの吠える声）お係長。
一ノ瀬先生はあの焼死体は守口のものじゃない可能性が高いって言ってたんですね？はいなんかその鼻が右にいや左に曲がったとか歯の磨耗の仕方がどうとかこうとか…。
その後は？はあ係長に連絡して戻ってみたらもうおらんかったです。
事件に巻き込まれてなきゃいいがな。
一ノ瀬先生のにおいを覚えようとしちょっとですな。
タロータローほら。
しっかり覚えっとぞ。
ほら嗅げ。
嗅げタロー。
んわかったか？タロー行け！タロー気張れ！こげんところはにおいが車の排気ガスで消されてしまいますもんねぇ。
タロータローほらしっかり覚え！ほらこれたい！これたい！守口さん…！待ってましたよ美里さん。
じゃあやっぱりあの焼死体は西島さんなのね？どうしてわかったんだ？さっきかおりさんに西島さんの写真を持ってきてもらったの。
西島さんの鼻筋は右側に曲がっていてあのご遺体の歯の特徴と合うわ。
さすがだ。
よくそんなところまで…。
西島さんを殺したのはあなたなの？ああ。
どうして？あいつは…俺が社長を殺した事を知ってたからだ。
…あなたが社長を殺したの？社長は俺を息子のように可愛がってくれ次期の支配人にしてくれると約束もしてくれていたんだ。
それがなぜ！
（守口）ちょうど半年前俺がバブル期に会社の金で投機して失敗した損害を社長が見つけちまったんだ。
俺は謝ったんだが事は簡単にはすまなかった。
社長は真面目な性格で投機が大嫌いだった上俺が損害を５年間隠し続けていた事が許せなかったんだ。
確かちょうどその頃かおりさんの妊娠がわかったのよね？ああ。
元からかおりと西島は特別な関係なんかじゃなかった。
社長はかおりと西島を疑っていなかったんだが咲子は誤解した。
咲子は父親がかおりの妊娠で悩み遺産相続まで心配していると俺に相談してきた。
（守口）どういう事ですか！だから君を将来ホテルの支配人にはしないと言ってるんだ。
どうしても支配人になりたいのならば別のホテルを探しなさい。
このホテルをここまで大きくした僕に辞めろって言うんですか？あの損害だってホテルの将来を思って土地を買収したんです！私はね危険な投機はしない主義なんだよ。
私とは方針が違うようだから君にはこのホテルを任す事は出来ません。
くっそー！俺が将来いなかったらあの色気だけのかおりや甘ったれの咲子にこのホテルの経営なんて出来るもんか！
（室井）なんだねその下品な言い方は！今すぐこのホテルを出ていきなさい！ついでに君の作った損害も横領として法的手段に訴えてもいいんだぞ！うっ！き君…。
あ…。
（守口）そこまではうまくいったんだが西島に見られたとは知らなかった。
あいつは警察にそれを話さない代わりに俺を脅してきた。
関係ない。
いいんですよ守口さん。
社長の事は警察に言いませんから。
でもまず１００万ほど都合つけてくれませんか？
（守口）あいつは最初は金を要求してきたがだが何度か金をせしめると今度は金ではなく…。
誰も知らなかったが西島のホントに好きな女はかおりではなく有加だった。
うまいうまい。
なかなかいいね。
負けちゃったすいません。
ん…やっちゃった。
あー大丈夫ですか？
（守口）ああいうプレイボーイは案外有加みたいに家庭的で無邪気な女に弱いらしい。
あいつは…有加を要求してきたんだ！奥さんまで要求されたから逆に社長を殺した罪を西島さんに押し付けて殺そうと考えたのね？そうだ。
歯が身元鑑定の最終手段になるという事を知っての計画だった。
（守口）俺はあいつの機嫌をとり歯石を取る歯のクリーニングを勧めた。
「いい男の間では流行りだ」と言ってな。
すみません守口っていいますけど…。
（守口）あいつは結構純粋だからすぐその気になって出かけたよ。
俺のクレジットカードと俺の保険証を持って俺のブレザーまで着ていった。
鹿児島市内のクリニックを選んだのは顔がばれない為ね？ああ。
自分からわざわざホテル勤めだと言って俺のフリをしてくれたらしい。
あなたと西島さんはタイプは違うけど背格好も年恰好も似ていて血液型も同じだわ。
１回しか会ってない歯医者なら間違えても無理ないな。
（守口）偽のカルテが出来たんで俺は社長の頭蓋骨だけを掘り起こし屋久島へ向かった。
屋久島は毎週西島が通ってる島だからな。
最初から人に見つけてもらいやすいように観光地に浅く埋めたんだ。
まさか屋久猿が見つけるとは思っていなかったんだが計画どおりすぐに発見されたよ。
頭蓋骨が発見されてからは警察がかおりさんと西島さんを疑うようにあなたがまた２人の噂を流したのね！そうだ。
計画どおり警察のマークはかおりと西島にいき社長の胴体の骨まで偶然掘り起こされて準備は整った。
なんの用だよ？大した用事じゃないんだけどさ有加の事で決心がついた。
あっ何する…。
（守口）俺は準備が整ったところで西島を長崎鼻に呼び出して殺した。
殺した後ガソリンをかけて身元がわからぬ焼死体にしあいつが逃亡したように見せかける為に車を鹿児島市内に乗り捨てた。
１つだけ質問させて。
あなたの犯行は歯に詳しい人じゃないと考えつかないわ。
まさか計画したのは…。
（守口）おい。
有加…！
（タローの吠える声）よーし刑事長さん俺はタローを追いかけますから刑事長さんは応援を呼んでください。
了解！許して美里。
こうするしか他になかったの。
社長を殺してしまったうちの人を守る為に。
だからって…西島さんまで殺す事なかったでしょ！ごめんなさい…。
西島さんはお金だけじゃなく私まで要求してきたから！それで…こんなにヒドイ身代わり殺人の計画を立てたっていうの？私は主人になんで西島にそこまでしなきゃいけないかって問い詰めたの。
その時主人は告白したわ。
社長を殺してしまったって事を…。
そして西島にばれて脅迫されてるって事を。
有加…私を呼び出してどうして欲しいの？まだ最後の幕は下りてない。
やめてあなた！美里に何もしないって言うから私美里をここに呼んだのよ！バカ！これほど知られてどうして生きて帰せる？やめて！美里は私の友達よ！邪魔するな！いや…！やめて！あなた…やめて。
（美里）やめて…。
（美里）やめて…やめて！
（タローの吠える声）わー！
（タローのうなり声）タロー…。
タロー。
タロータロー！
（タローのうなり声）タロー！もういいタロー。
タロー！美里さん大丈夫ですか！木戸さん…。
（タローの鳴き声）タロー！おいでいい子だ。
よしよしよし。
係長！あっ先生大丈夫ですか？ええ。
タローが助けてくれたの。
へえ！タロー決まったのぉ。
こいつ…！
（かおり）先生。
本当に先生にはなんとお礼を申し上げてよいか…。
いえ。
私たちこれからは力を合わせてホテルをやっていくつもりです。
ねお母さん。
そうね気張らんと。
一ノ瀬先生ホンットにありがとうございました。
お陰で社長も浮かばれました。
よかったですね。
はい。
これからは天国の社長の為にますます頑張って働きます。
頼もしいわ妙子さん。
（タローの吠える声）
（五十嵐）タローおい待て。
タローおいで。
おいでおいでタロー。
おいでー。
よかったよ間に合って。
どげんしてもタローにお別れさせにゃいかん思いましてね。
タローありがとね。
タロー！こいつ喜んでやがる。
係長犬にやきもち妬かんと。
（一同笑い）あのー有加はどうなるんでしょう？実際に手を下したわけではないし本人も反省しているようですし情状酌量の余地はあるでしょう。
きっと彼女立ち直ってくれると思います。
そうですね。
また指宿へ来やんせい。
そうですわ。
今度ぜひごゆっくりと。
ね？ええぜひ砂蒸し風呂にも入りに来てちょうだい。
ぜひ来てください。
ありがと。
木戸さんじゃなくってタローに会いに来るわ。
（一同笑い）2015/05/19(火) 14:00〜15:51
ＡＢＣテレビ１
法医・歯科学の女[再][字]
屋久島−指宿、バラバラ死体が海を渡る！？猿と警察犬があばく完全犯罪トリック…
詳細情報
◇出演者
中村あずさ、鶴見辰吾、鳥越まり、京本政樹 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字（字幕）
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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