ゴーストライターの殺人取材〜セレブの罪を代筆する女! 2015.05.21


(鮫島悠里の声)「明け方の森の中をマヌエルは一人彷徨い歩いた」「ついさっき別れたロレーヌの甘い吐息滑らかな肌の温もりを思い出しながら」「中世のフランスから現代の東京へ」「その気の遠くなるようなタイムトラベルを経験した二人にはもう怖いものなどなかった」「マヌエルはロレーヌとの二人だけの秘密を胸に抱えながらひたすらに森を彷徨い続けるのだった」
(パトカーのサイレン)
(検視官)腹部に7か所それ以外に太ももに2か所胸部上腕部頸部って…数え切れんよ。
(里中勇作)怨恨っすかね?
(鍋島隆実)だろうなぁ。
坊主憎けりゃなんとやらってやつだ。
(鮫島一希)お疲れっす。
お疲れっす。
(一同)お疲れさまです。
お疲れっす。
ああ…。
朝から物騒ですな。
刺されたのは駅前の路地だろ?なんでこんなところまで歩いてきたんだ?こいつ。
逃げてきたんすかねぇ。
被害者は鎌田藤一郎41歳。
覚せい剤所持で3度の前科があります。
3度目は職質した警邏に暴行も働いています。
前科持ちか…。
いやそれだけじゃないんです。
おお…お疲れさん。
(鍋島)ほらあの…「WisteriaPearl」っていうネイルサロンあるでしょ?テレビでようやってる。
(吉永チカ)ウィステリアパールへようこそ。
美は指先から。
ああうちのかみさんも通ってるな。
(鍋島)あっ奥さんが…。
このホトケさんそこの女社長の元旦那らしいんですわ。
こいつが…。
(里中)大学時代に学生結婚してたらしいんでもう20年近く前の話ですよね。
嫁はんが大企業の女社長で旦那がシャブ中で殺されたとはなんやもう…不公平な気がしますね。
そりゃあ意外だね。
(記者)来た来た来た来た!準備!準備いいか?カメラカメラ!
(記者)社長一言お願いします!お答えください!社長お願いします!吉永社長!19年前に離婚したご主人が殺害されたのご存じですよね。
コメント頂けますか?最近も連絡は取り合ったんですか?
(高梨時雄)申し訳ありません。
申し訳ありません。
今日中にコメントを出しますのでどうかお引き取りください。
(カメラマン)いや〜いい感じだ。
そう…もらった!オッケー!もう1ついこう。
リラックスしてね。
そう!
(カメラマン)いいよ!エクセレント!おっ…グッド!もう1つ!いい感じだ。
オッケー!マーベラス!自由に。
グッド!そこ!そうそれいこう!オッケー!ラストジャンプで!
(カメラマン)オッケー!ライターさんありがとう。
じゃあミチカちゃん入ってもらって。
(ミチカ)はいお願いしまーす。
よしいこう!はい。
助かりました。
ちょうどモデルさんと背格好が似てたので。
恐縮です。
ミキちゃんこっち来て。
はい!オッケーオッケーそう。
(カメラマン)グッド!それだ!オッケー!普段おうちではどういうふうに過ごしてるんですか?寝てるかメールしてるか…基本冬眠。
ああなるほど。
普段着はどういうところで買うの?よく行くショップとか。
買い物はめんどいからしない。
撮影でもらえるし。
そうなんだ。
(携帯電話)すみません…。
チャッチャと伺います。
もう絶対やんないからねこんな仕事!
(鮫島彩乃)あら?な〜に怒ってんの?インタビューを記事にする仕事だから来たんでしょ。
あんなガキんちょのコメントまともに記事になんか出来ないわよ。
スタンドインまでさせられて。
お金になればなんでもやるって言ったじゃん。
売れない小説家が贅沢言わない。
ちゃんと原稿料出すんだからきっちり明日までに原稿仕上げてね。
それより今朝やっと新作の小説書き上がったのよ。
あっフランス人が東京にタイムスリップする話だっけ?ボンジュール。
ボンジュールマドモアゼル。
…無理あると思うけどな。
基本はミステリーなのね。
時空ミステリー。
魔女の呪いを解くためには帝都に隠された神秘のパワーを…。
はい。
何?話があるって言ったでしょ?ウィステリアパール?そう!社長の吉永チカの元旦那が殺されたの。
今雑誌でもワイドショーでも大騒ぎになってるでしょ。
…で?お姉ちゃんさこの人の自伝書いてみない?自伝って普通自分が書くもんでしょ。
な〜に素人みたいな事言ってるかな。
こういう人は自分で書いたような顔してて他人に書かせてんのよ。
あんた何言ってんの。
それじゃあゴーストライターじゃん。
(2人の笑い声)そうだよ。
そんなのやだ。
え…?待って待って!待って待って待って待って待って待って…!ねえねえねえ今めちゃくちゃ注目されてんだよ。
出版すればベストセラー間違いなし!作家は私が選んでもいいって事になってんの。
でもゴーストライターだと私の名前が出ないでしょ。
お姉ちゃ〜んもう…。
小説家鮫島悠里唯一ヒットしたデビュー小説『僕らの軌跡』が出た時私は高校生だったんだよ。
あれからもう25年…。
あれから何人総理大臣が変わったんだろう。
あれから全く売れずにずっと貧乏暮らしをしている姉を私はもうこれ以上見ていられない。
へこむわそういう言われ方…。
あのね…!この吉永チカって人はこれまで私生活を完全に秘密にしてきた人なの。
それが殺人事件をきっかけに初めて自分の人生を公表しようとしている。
これがベストセラーにならないはずがないでしょ?あっそれに印税も少しは支払われるようにしてあげる。
印税?当たり前じゃ〜ん。
印税…印税が入ればあんなガキんちょ相手のバイトなんかもうしなくても済むようになるし。
印税…。
ゴーストライターか…。
印税印税…。
印税印税印税印税!キャ〜ッ!お待たせ〜。
あら?あらららまだ怒ってるの?昨日はやるって言ったじゃん。
やるよ。
だからこうしてちゃんと来てんじゃん。
でもね先に言っとくけどいくらゴーストだからったって私は作家として自分の意見はちゃんと言わせてもらうよ。
わかってるって。
お姉ちゃんのデビュー小説はベストセラーだったんだから。
鮫島悠里が書くって言ったら吉永社長だって協力してくれるに決まってるじゃん!
(小西潤一)鮫島さんですか?
(2人)はい。
わたくし東日出版で編集を担当しております鮫島彩乃です。
こちらは作家の鮫島悠里先生です。
鮫島悠里です。
初めまして。
初めまして。
吉永の秘書をしております小西です。
よろしくお願い致します。
小西です。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
お二人共同じ名字なんですね。
姉妹なんです。
よく親子に間違えられるんですけど…。
何言ってんの?何言ってんでしょう。
どうぞこちらです。
すいません自宅にまで来て頂いて。
本社の方はマスコミが押し寄せているので。
うらやましいですこんなホテルみたいなマンション。
で鮫島悠里さんは何かお書きになったご経験は?
(2人)あっ…あの…。
『僕らの軌跡』という小説でですね新人文学賞を頂きまして確かあれは40万部ほど…。
『僕らの軌跡』…。
知らないわね。
結構前だからかな?フフフフフフ…。
いただきます。
まあいいでしょう。
おたくの出版社にはいつもお世話になってるし。
こちらこそいつもすみません。
それでは早速ですがインタビューをさせて頂きたいんです。
インタビューは必要ありません。
これに全て書いてあります。
あとは上手にまとめてください。
会社の資料も全てお渡しして。
(小西)はい。
でもお話をちゃんと伺ってから…。
1週間あれば大丈夫でしょ?ゲラの段階でチェックしたいんで来週またお会いしましょう。
無理です1週間なんて…。
まだ何か?いえ何も。
いや…。
無理だよ1週間なんて。
そうでなくても書くの遅いの私。
大丈夫大丈夫。
知ってるでしょ?だってこれを…資料をまとめればいいんだから。
そういう事言って…。
お姉ちゃん。
この際さ作家性とか忘れよう!ね?無理。
(小西)お待たせしました。
最近のうちの店舗資料や社内報をまとめたものです。
助かります。
私やっぱり1週間というのは…。
はい承りました。
実は来月大阪に大型店舗をオープンさせるんですよ。
多分社長は自伝の出版をそれまでに間に合わせたいんじゃないかな。
本が出れば宣伝にもなりますもんね。
そういう理由でしたら…。
喜んで!ああいう性格なので多少とっつきづらいかもしれませんがきちんと結果を出せばしっかり応えてくれる人です。
今回の事件でも本音じゃ随分落ち込んだと思います。
いくら大昔の話でも娘さんもいますしあれだけ大々的に報道されちゃいましたからね…。
でもそういう弱さを仕事では絶対に見せない人なんですよ。
はあ…。
あっ!この子供たちの写真私テレビで見ました。
これ吉永社長って児童養護施設の支援もなさってるんですよね?ええ。
そういう優しさも彼女にはあるんですよ。
そうですか。
へえ〜…。
(里中)被害者鎌田藤一郎の内縁の妻が事件のあった日を境に行方不明になってる事がわかりました。
内縁の妻?
(鍋島)はい。
氏名は神山詠美子30歳。
渋谷区にある居酒屋「えびす」にパート勤務しており鎌田はその飲み屋の常連で2人は店で知り合うたそうです。
2年ほど前から鎌田がアパートに転がり込む形で同棲に至ったと店主は証言しとります。
その後の足取りは全くつかめてないのか?居酒屋にもアパートにも顔を出さず携帯電話も一切使われてません。
それはまた意外だね。
おっ昼も夜も愛妻弁当っすか?なんか女房が弁当作りに目覚めやがってさ体重は減ったんだけど飽きるんだよな。
でどうなった?例の件。
事件のあった日社長の吉永チカにアリバイはありませんでした。
なるほど。
事件の夜吉永社長は1人で都内のホテルに宿泊していたそうです。
ホテル?ええ自宅から歩ける距離です。
変ですよね?確かに。
それと彼女の社内での評判がよくないんですよね。
完全成果主義で結果を出さない社員を罵倒する事も日常だそうです。
(ため息)何これ…。
セレブになった自慢話ばっかじゃ〜ん。
(キャスター)「先日渋谷で起きました殺人事件の続報です」「現場の畑中さんお願いします」
(畑中)「こちら沈黙を守ったままのウィステリアパール本社前です」「先ほど社員の方に取材を試みましたが何も情報は得られずネイル界のカリスマ吉永チカさんの過去は依然ベールに包まれたままです」みんな知りたいのそこだよねぇ。
「殺害された鎌田さんと大学時代一体どのような関係だったのか…」
(ドアの開く音)お疲れ〜。
あっちょっと…?ちょっとちょっとちょっとちょっと!なんで悠長にテレビなんか見てんの?あんたこそ何しに来たの?徹夜で大変だと思ったからご飯作りに来てあげた。
ちょっとちょっとねえこれ見て。
えっ?この資料。
ご丁寧に年代別に分かれてるんだけどまず最初のこの第一章は「少女時代から高校時代」で次の第二章っていうのが「起業」。
間の大学時代ってすっぽり抜けてんのよ。
世間の人が知りたいのは殺された結婚相手と何があったのかって事でしょ。
社長はこの資料をまとめろって言ったんで世間の人が知りたい事を書けなんて一言も言ってないでしょ。
でもそれじゃ売れないじゃん。
売れます!編集歴20年の私が断言する!とにかくさ時間ないんだからさっさと書いてよね。
印税欲しくないの?母さんがよく言ってたよね。
普通の子は3回言えば理解するけど悠里は10回目でやっと理解するって。
なんかさ母さんの苦労が今になってやっとわかるよ。
あっあった。
えっ?あった大学時代。
本当?あるじゃんちゃんと。
「平成5年大学4年生の春鎌田氏と学生結婚し長女楓を身ごもる」でも2枚だけ…。
これだけあれば十分でしょう。
きっと事件が大きくなったのを気にして社長が慌ててメモしたんじゃない?大学4年の春に結婚してその年の夏にもう離婚したのね。
原因は…ドメスティックバイオレンス。
あり得るね。
確か鎌田氏は暴行罪でも前科があったはずだし…。
「鎌田氏は一見真面目で人当たりのよい好青年であるがちょっとした事で癇癪を起こし時には暴力を振るう事もあった」「籍は入れたものの次第に鎌田氏に恐怖心を抱くようになる」離婚する直前に山梨県にギターサークルの演奏会に行ったのね。
そこで鎌田さんと大ゲンカをし離婚に至った。
なんかこの演奏会の事だけやたら詳しく書いてない?そりゃあ離婚の原因になったイベントだから詳しく書いてくれてんじゃないの?なんか変…。
何が?だってさこれ読む限りよ鎌田さんの問題点とか離婚の理由とかを書いてあるけどそもそもどうして2人が惹かれ合って結婚し子供までもうけたのかそれが全然どこにも書いてない。
そうだけど…。
ねえ明日あたりもう1回吉永社長に会えないかな。
え〜!?だって2人が付き合うようになったきっかけは重要でしょ?それが確認出来ればなんか…。
書けるような気がする。
こちらでお待ちくださいませ。
ありがとうございます。
(高梨)お願いします。
今すぐ記者会見を開いてください。
インターネットでの中傷は半端じゃありませんし雑誌の論調もどんどん過激になっています。
このままだと…。
新店舗の開店は迎えられません。
そんな事で揺らぐような経営はしてこなかったけど。
だったら伺いますが社長には記者会見で釈明出来ないような事情でもおありなんでしょうか?どういう意味?記者会見なんてたかだか数十分で済む事です。
それを拒むという事は何か後ろめたい事でもあるのではないかと…。
いい加減にしてよ!失礼ね。
私だって副社長として会社の事を心配して…!心配無用よ。
そのために今自伝の執筆を急がせてる。
(チカ)記者会見なんか開いたってある事ない事書かれるのは一緒。
あなたが会見にこだわってるのは私のみっともない姿を全国に中継して社長の座から引きずり下ろそうっていう魂胆なんじゃないの?そんな…!社長こそ失礼にも程があります!とにかく会見は開きません。
そんなに会見したければあなたが出ていって自分の昔話でもすれば?不穏だ。
インタビューなんか出来んのかなぁ。
でももうアポ取っちゃったし…。
(ノック)
(吉永楓)あの…鮫島悠里さんですよね?はい。
あっもしかして…?娘の楓です。
こんにちは。
あのお願いがあるんですけど…。
はい。
サインもらえませんか?えっ!?はい。
すごい…楓ちゃん全部読んでくれたの?はい。
高校の時にたまたま『僕らの軌跡』を読んでファンになってそれから全部揃えました。
まあ…。
珍しい人もいたもんだ…。
昨日うちに鮫島さんが来たって聞いて絶対に会いたいって思ってたんですよ。
あ…こう。
(楓)すごい!本当に本人なんですね!老けたね。
(咳払い)これ…全部サインしちゃおうか?はい!フフッ。
でも今時珍しいでしょ楓ちゃんみたいな…文学少女?ああ…小さい頃から母が忙しかったので結構1人で家にいる事が多くて…。
ふーん…。
じゃ将来は…作家?いえ大学は理系なんで研究者だと思います。
だよねえ〜文学じゃ生活が…。
(咳払い)生物有機工学…ふーん。
だめだ。
全く意味不明。
(楓)本音は…文学部に進みたかったんです。
でも母に勧められて。
吉永社長に?はい。
これからナノテクノロジーとか絶対に伸びる分野だからって。
さすが。
うちらの母親とは大違い。
よーし!全部出来ました。
サインなんて書くの何年ぶり?うるさいな。
あの…もう1つお願いしてもいいですか?もちろん。
ちゃんと調べてほしいんです。
父の事。
私がお腹にいる時に両親は離婚したんです。
だから私には父の記憶がなくて…。
母に聞いても教えてくれなかったし写真もないし…。
なんか小さい頃からタブーみたいになってて…。
じゃあ今回の報道でお父さんの事を?やっとわかったと思ったらあんな事になってしまって…。
母にはきっと話したくない理由があるんだと思います。
でも私だって父の娘です。
知る権利はあると思うんです!わかった。
出来るだけやってみる。
警察が?
(小西)ええ。
…わかった。
(小西)お待たせ致しました。
お忙しいところ申し訳ありませんね。
あの…わたくし警視庁の鮫島と申します。
里中です。
(チカ)ご用件は?ええあの4月の5日の午前2時頃どちらにいらしたかお聞きしたくて。
(チカ)ああ…鎌田が亡くなった日の事ですか。
確かあの日はこの近くのホテルに宿泊していました。
ホテル。
何か会合ですか?いえ。
ちょっと1人で考えたい事があったので。
なるほど。
刑事さんだって仕事からも家庭からも解放されたい時はあるでしょ?いやあったとしても我々の安月給じゃカプセルホテルに泊まるのがいいとこですよ。
それに…。
あっ…。
あっ…。
あ…あっ!
(小西)す…すぐに終わりますのでもう少し外でお待ち頂けますか?あっいえ…もう元々大した用事で来たわけじゃないので…。
何言ってんの?
(チカ)何してるの?お部屋入ってなさい。
はい。
すいません…それじゃ私たちはこれで…。
ええっ?まだお話聞い…。
行こう。
えっ…たまには電話ぐらいしてきなさいよ。
失礼します〜。
(ドアの閉まる音)お姉ちゃんも彩乃も何やってんのあんなところで…。
何って仕事に決まってんじゃん。
なんで売れない小説家がネイルの会社で仕事してるの。
フフッ「売れない」は余計でしょ。
アーコが…。
(店員)お待たせしました。
吉永社長の自伝書けっつうから。
あの社長能力主義で有名なんだぜ。
(一同)いただきます。
お姉ちゃんに務まんのかよ。
私が務めさせます!母さんいつも言ってたじゃない。
普通の子は3回言えばわかるけど悠里は10回言って初めて…。
いーからもうその話は。
ところでさ。
殺された鎌田さんの事も調べてんの?捜査情報は素人には教えられないよ。
う〜ん。
19年も前の話は捜査に関係ないでしょ。
ダーメ。
デビュー作も俺の失恋話を勝手に書いただろ?アハハあれね…。
いつもネタにされてたまるかよ。
なんか吉永社長は鎌田さんとの過去を隠したがってるような気がするの。
そりゃそうよ。
社長にとって過去を正確に伝えるって事は重要じゃないの。
それよりも自分の輝かしいイメージを強調したいから自伝を出すの。
なんかしっくりこない。
何が?そもそも吉永社長はなんで鎌田さんみたいなろくでもない男と結婚したの?そりゃ若いうちっていうのは魔が差すって事もあんじゃない?しつこく迫られて押し切られたとか?だってさ資料によるとよ?なんと吉永社長は高校時代にすでにネイリストへの道を目指してたの。
日本でまだネイルなんてそんなに知られてない頃よ。
でね本場アメリカで勉強するために大学も英文科を選び実際大学在学中には2回も短期留学してるのよ?だから?つまり吉永社長は10代のうちから自分のビジョンをキッチリ持った子だったの。
そんな子がよ?なんで鎌田さんみたいに覚せい剤に手出して暴力振るうようなDV男と結婚して子供まで生むかなぁ?だから魔が差したんじゃない?それってただ単にダメ男に引っかかったって事?それじゃ主人公として魅力なさすぎ。
あのね。
これは小説じゃないの。
自伝なの。
お姉ちゃんみたいに恋愛なんか何年もした事ないくせにそんなとこにいちいち引っかかんないでよ。
あのね。
あんただってさ。
この十何年間よ?子持ちのバツ男にばっかり引っかかってさ!それってどう?子持ちだろうがバツ男だろうが恋愛は恋愛よ!恋愛なんかじゃない!同情よ同情!もうやめろよみっともないから!いい年した独身女が言い合いするなよ。
(鍋島)神山詠美子の目撃証言が出ました!おお!渋谷区のネットカフェで店員が覚えてました。
3日くらい前に24時間パックで来たお客さんですね。
間違いない?
(店員)ええ。
この人ネットの使い方がわからなかったみたいでメールの出し方とか僕が教えたので。
会員証の氏名も一致しました。
この店を使ったのは1回だけ?ええ。
けど…同じ系列店でも会員証は使えますんで渡り歩いてる可能性はありますね。
オーケー!じゃあしらみ潰しにあたってくれ。
ネットやメールのデータも全て押収!
(一同)はい!ほな行くぞ!
(チアリーダー)ヘイイッツオーケー?
(一同)ウィーアーウィナー!
(アメフト部員のかけ声)生物有機工学って…。
楓ちゃんと一緒…。
なんか久しぶりね。
ここで仕事するの。
(女性秘書)やっとマスコミの熱も冷めましたからね。
(小西)失礼します。
ちょっと外してもらえるかな?
(女性秘書)あはい。
(チカ)どうしたの?2日くらい前から会社に変なメールが届いてるんです。
(小西)副社長にはまだ伏せてありますが警察に知らせますか?もう少し様子を見ましょう。
あとでこのメール転送しておいて。
わかりました。
(携帯電話)もしもし。
…了解。
今降りる。
四つ葉学園の子供たちが到着しました。
こんにちは。
待ってましたよ。
(元川博伸)今年もお招きに預かりましてありがとうございます。
みんな吉永社長にご挨拶を。
(子供たち)こんにちはー!みんなまた一段と大きくなって。
今年の社内見学もイベントが盛りだくさんだからみんな楽しんでってね。
(子供たち)はーい!俺もネイル行こかな…。
え?うわっオッサン。
皆さんのギターの5弦の音。
Aの音ですね。
これまず合わせてみましょう。
突然すみません。
鮫島と申します。
(佐伯隆)佐伯です。
佐伯さんが吉永チカさんとご同窓だったと伺いお邪魔しました。
大丈夫ですよ。
何日か前に週刊誌の記者も来ましたし。
そうですか…。
吉永さんと鎌田さんの大学時代の様子を知りたいんです。
2人の馴れ初めだとかどういう交際をしていたのかとか。
ああ…あ〜。
せっかく来てもらって申し訳ないんですけど実はよく知らないんですよ。
あどうぞ。
あはい。
でも佐伯さんは鎌田さんとはサークルだけではなく学課もご一緒だったって伺いました。
あの2人交際していた事隠してたんですよ。
へえ…。
俺らには付き合ってる素振りさえ見せませんでした。
どうして秘密にしてたんでしょう?理由は簡単です。
鎌田はチカと付き合う前に同じサークルの別の女の子と付き合ってたんですよ。
(佐伯)でも大学1年の冬くらいかな。
チカが鎌田に猛アタックして鎌田はチカに乗り換えたんです。
だから大っぴらに出来なかったんじゃないすかね〜。
ありがとうございます。
佐伯さんはどうしてその事ご存知なんですか?あ…。
その鎌田の前の彼女ってのが…今の嫁さんなんで。
4年になった時2人が突然結婚するって言い出したんです。
驚きましたよあの時は。
よくよく考えたらチカはもう妊娠していたんですけどね。
でもその同じ年の夏に2人はもう離婚したんですよね?ええ。
結婚宣言から2〜3か月で離婚ですよ。
これにも驚きました。
じゃあその2〜3か月の間しか2人が交際してるのを皆さん見なかった…?あはい。
えー僕が覚えてるのは別れる時の事くらいかなあ?確か山梨の方に演奏会に行った時に2人が大ゲンカしたんです。

(ギターの音色)「しぼったばかりの夕陽の赤が水平線からもれている」キャアーッ!
(佐伯)チカ!どうしたんだお前?
(部員)チカちゃん大丈夫か?鎌田はどこだよ?何があったんだよ?急に殴られたの…。
お腹に赤ちゃんがいるのに…。
(佐伯の声)鎌田と大ゲンカして暴力を振るわれて逃げて来たって…急に泣き出してね。
そのあとすぐですよ。
離婚するって聞いたのは。
鎌田さんは普段から暴力的な人だったんですか?ああいや僕らの前じゃそんな事なかったです。
大人しいタイプだったし。
けど2人きりになると豹変したみたいですね。
まあ全部あとからチカに聞いたんですけど。
おー!ショウガもニンニクもたっぷりー!これ食べたら4〜5日徹夜しても平気だよ!殺す気かよ…。
心配してんのお姉ちゃんの体を。
それにほら。
キャビアも買っちゃった〜!どうせ経費で落とすんでしょ…。
もう〜!早く食べようよなんでよ…どうしたの?ギターサークルの同窓の人が言うにはね?吉永社長はガールフレンドのいた鎌田さんに猛アタックしてで鎌田さんはそのガールフレンドと別れて吉永社長と付き合うようになったんだって。
ほお〜…。
それからね2人は付き合ってる事を周囲の人たちに秘密にしてたんだって。
だから2人が交際してる姿を誰も見ていなかった…。
見てよ〜…。
一番大事な部分の情報が全然足りない。
だから?つまり…。
鎌田さんが吉永社長にDVしてたって事。
それも事実かどうかは誰も知らない。
え?でもほらここに…。
「山梨の合宿鎌田に暴力振るわれ泣き出す」って書いてあるじゃん。
私ね…こう思うのよ。
鎌田さんは覚せい剤中毒で暴行事件まで起こしてたってマスコミに連日取り上げられたでしょ?吉永社長はそのマスコミに報じられた鎌田像に合わせて自分の過去を書き換えようとしてるんじゃないか…。
だからねこの手書きのメモもそれに合わせてあとから書き足した…。
ちょっと待って。
ちょっと待って待って。
お姉ちゃんは刑事でも探偵でもなんでもないんだよ。
なんでそんな事調べてんの?あ…。
ちょっとやめてー!
(2人)はっ…!何これ…真っ白…。
締め切りまであと5日しかないんだよー?そうだけど…。
あのねー!今回の自伝は私にとっても小説家鮫島悠里にとっても間違いなくチャンスなの!なんでそれがわかんないのよー!わかってるよそんな事…。
なんなのよこんなボードまで作っちゃって!これは小説じゃないって言ったでしょ!「ギターを手に見つめ合う2人」「初めてのキス」…。
勝手に想像してんじゃん!やめてよちょっと!楓ちゃんはお父さんの事知りたいって言ってんだよ?2人の恋愛パート書かないわけいかないじゃん!クライアントは楓ちゃんじゃない!吉永チカだぁーっ!こんなの…お母さんが言ったとおりじゃん。
何百ぺん言ったらわかんのよー…。
これは編集担当としての命令です。
金輪際詮索は禁止!ボードも禁止!黙って鍋食って書け!ごめん。
この先で止めてもらっていい?ちょっと買い物して帰るわ。
ああ…待ってましょうか?大丈夫よ。
車拾って帰るから。
あなたも最近休んでないし今日は早く帰りなさい。

(鍋島)鎌田の内縁の妻神山詠美子がこのメールをウィステリアパールのお客様相談窓口に数十回にわたって送っとります。
どう見ても脅迫文だな。
ええ。
女の足取りは?昨日まではわかってます。
同じネットカフェの池袋店にいました。
系列店は都内に20店舗です。
一斉捜査かけまひょか?応援呼んで各店舗の前で張り込みだ。
今夜決めるぞ!
(一同)はい!あっ!
(猫の鳴き声)
(ため息)
(神山詠美子)お金用意したの?今夜中に引っかかってくれるといいんすけどね。
な。
(携帯電話)おっ鍋さんだ。
はいもしもし。
そっちで動きました?え…?死体!?ご苦労さまですお疲れさん。
あちょ…ちょっと待ってください。
どうしたどうした?なんだなんだ。
どう見たって刑事だろ!失礼しました。
毎回同じ事やってんな…。
何やってんだ。
(里中)神山詠美子に間違いないですね。
凶器はあそこにある鉄パイプです。
あ…それとこれが。
これ…吉永社長が今日…。
ネットカフェの張り込みは解除だな。
すぐに吉永チカを署に連行しろ。

(携帯電話)はい…。
(チカ)「鮫島悠里さん?」そうですけど…。
「吉永です」どちらのよしなが…。
吉永社長ですか?「ごめんなさいこんな時間に」「今から会って話がしたいんだけど」
(ドアの開く音)
(チカ)どうぞ。
おはようございます。
(チカ)おかけになって。
はい。
ほんとにごめんなさいねこんな時間に。
電話でお話ししてもよかったんだけど楓が…娘が。
いつもあなたの事話してくれてね。
最後くらいはちゃんとお話ししておかないとと思って。
最後?自伝の出版やめようと思って。
タイトなスケジュールでお願いしておいて本当に申し訳なく思ってる。
作業した分の費用はお支払いしますから。
待ってください。
理由を聞かせてください。
気持ちが変わったの。
それだけよ。
実は私お二人の大学時代の頃の事少し調べました。
すみません。
あなたから頂いたメモだけじゃなんか感情移入しにくくて…。
あのメモに鎌田さんは癇癪持ちで度重なる暴力に恐怖が募ってそれが離婚の原因だって書いてありました。
事実よ。
そうでしょうか?私にはそもそもあなたがそんな人と結婚して出産まで考えたとは思えないんです。
あれは…ミスだったの。
最初はいい人だと思った。
でも鎌田は豹変したの。
人生で唯一忌まわしいミスよ。
だったらなぜ楓ちゃんに鎌田さんと同じ生物有機工学を専攻させたんですか?私はあなたの鎌田さんへの愛情は本物だったと思ってます。
鎌田さんは暴力を振るったり覚せい剤に手を出したりするような人じゃなかったはずです。
きっと何か原因があって彼は…。
もういいわ!話は以上よ。
とにかく契約は終わりです。
これ以上詮索したら訴えますからそのつもりで。
わかりました。
執筆は中止します。
でも楓ちゃんに頼まれたんです。
お父さんの事調べてほしいって。
(チカ)楓に…?あなたがホテルにチェックインしたのは午前1時過ぎですよね?その前はどこにいたか教えてもらえませんか?この女の人と会ってたんじゃないですか?それとね…。
こんなものが現場に落ちてたんですよ。
一希どうなった?素人に捜査内容は話せないって言っただろ。
ゆうべの殺人事件と吉永社長は関係があるの?
(ため息)殺害された女性が500万の現金持っててその現金から吉永チカの指紋が検出されたんだよ。
嘘…。
嘘ついてどうするんだよ。
っていうか本当に帰ってくれよ。
吉永社長はそれ認めてるの?ずっとだんまりだよ。
けど時間の問題だね。
状況証拠は揃ってるから。
おかしい…おかしいよ!なんで?殺害したあとにそんな大金置いてくるなんて…。
あれぐらいのセレブだもん。
金なんか惜しくなかったんだろ。
本当にこれ以上話せないから!今朝吉永社長と一緒にいたよ。
どこに?ローレルってホテルで。
自伝の執筆やめてくれって言われた。
確かに吉永社長は疲れた顔してた。
でも…でも姉ちゃんは何時間か前に人を殺してきたようには見えなかったよ。
やめてくれよ素人の勘繰りは。
これは小説じゃないんだ。
現実に起きた事件なんだから。
(携帯電話)楓ちゃん…。
警察の人から大体の話は聞きました。
大丈夫?はい…。
正直なんかピンとこないっていうか…。
驚きたくても何も感じないっていうか…。
だって本当に何もわからないから…。
父の事もどうして母がこんな事件に巻き込まれたのかも私何も知らないから…。
違約金も払ってもらえる事になったしこの仕事の事はもう忘れようよ。
もう契約切れたんだよ。
サンキュー。
楓ちゃんの事放っとけないでしょ。
他人が口出す事じゃないでしょ。
吉永社長が母親として責任持って娘と話し合うべきだと思うよ。
私は放っとけない。
あのさいくら楓ちゃんがお姉ちゃんのファンだからってそこまで面倒みる事は…。
あるよ。
私なんかの小説を楓ちゃんは全部読んでくれてるのよ。
私は楓ちゃんのためにやれる事はやる。
勘弁してよ…。
本職の刑事が身内にいるんだよ。
お兄ちゃんに任せなって。
私は警察にも探偵にもなるつもりはない。
小説家として主人公の気持ちを知りたいのよ。
(ため息)このメモにヒントがあるような気がするんだよねぇ。
過去を捏造してたとかって言ってたくせに?今でもそう思ってるよ。
だったら意味ないじゃん。
何かを隠そうと思って書いた文章にはその書き手の下心が必ず出るんだよ。
小説家にはそれぐらい見抜けるのよ。
はあ〜。
やっぱり行くしかないか…。
アーコ車出してくれる?この2枚の手書きのメモ。
1枚目は鎌田さんがどれだけ暴力的だったかって事が…。
2枚目のこのメモは…。
山梨で開かれた演奏会の事が詳しく書いてある。
それで?不自然だと思わない?なぜこの演奏会の事だけ具体的に書かれてるのか。
多分それには理由がある。
理由って?2人が結婚を発表したのは大学4年の春。
その時初めて部員たちに今まで交際してましたって事を公表した。
その同じ年の夏にこの演奏会は行われた。
つまりこの1枚目のメモはいくらでも都合よく嘘が書けたけど2枚目の演奏会の事はもう2人の関係をメンバーたちがみんな知ってたから本当の事を書かざるを得なかった。
だからそこだけ具体的に書いたって事?そう。
だって自伝が出てあっそれ嘘!って突っ込まれる可能性があるでしょ。
だからこの演奏会のメモは真実が書いてある。
(クラクション)現金を渡したんでしょ?後ろめたい証拠ですよ。
おまけに殺人容疑じゃ弁解のしようがないですしね。
ですけどまだ容疑を認めたわけじゃありません。
会社としては社長の無実を信じるべきだと思います。
(高梨)そんな悠長な事を言ってる間に客はどんどんそっぽを向いていきますよ。
明日になったらマスコミは大騒ぎだ。
私は即刻解任を要求します。
そもそも社長のスキャンダルをマスコミにリークしていたのは副社長じゃないんですか?何?あのスキャンダルで社長は追い詰められていました。
そんな状況で脅迫メールを受け取って現金の引き渡しに応じざるを得なくなったんです。
これは最初からあなたが仕掛けたクーデターじゃないですか。
失礼な事を言うな!何を証拠にそんな事を…。
社長が逮捕されるような事になれば君も今のポストにはいられなくなるんだ。
覚悟しとけよ。
(金丸)これが鎌田でこっちが吉永チカさん。
仲よさそうだね。
この時は2人はもう周囲に結婚を報告して大手を振ってお付き合い出来てた頃だからね。
鎌田さんとは幼なじみでいらっしゃいますよね?うん。
もともと鎌田はこの町の生まれで演奏会は町の祭りの催し物でお願いしたんだよ。
うちのロッジに泊まってもらって演奏会を兼ねた小旅行って感じかな。
鎌田がやたら嬉しそうだったのを覚えてるよ。
でもそのあとすぐに2人は大ゲンカしたんですよね?確か演奏会が終わって他のメンバーは庭でバーベキューを始めたんだよ。
鎌田はチカさんを連れて実家に行ったんだ。
もしいさかいがあったとしたら実家で何かがあったって事かな。
親御さんに結婚を反対されたとか?
(金丸)いやいやそこまではわかんないよ。
鎌田の親は去年亡くなったから今となっちゃ確かめようもないしね。
(足音)また話を聞く事もあると思いますから会社以外の外出は控えるようにしてください。
わかりました。
(小西)弁護士の瀧本先生から詳しい話を聞きたいと連絡がきています。
今から来てもらいますか?今日はちょっと疲れてるから明日にして。
ですが…副社長は早急に結果を出したがっています。
社長…社長は何もしていないですよね?正直よくわからないの。
(詠美子)さすがカリスマ社長ね。
このぐらいの金痛くもかゆくもないんでしょ?これで終わりにして。
もう関わりたくないから。
(詠美子)うわー!
(チカ)キャー!
(詠美子)偉そうな言い方すんな!こっちは誰が鎌田を殺したか知ってるんだ。
こんなもんで済むと思ったら大間違いなんだよ!やめて…!どうしてあの女性に金を渡したんですか?自分は何があろうと社長を守ろうと思っています。
秘密があるなら話して頂けませんか?秘密なんてないわ。
私はただあの女が哀れだったから金を渡しただけよ。
本当にここ?うんナビだとね。
あっ…警察?本当だ。
(豆を食べる音)
(豆を食べる音)あの…すみません。
ここ鎌田さんっていう方のおうちがあったところじゃないかと思うんですけど。
そうだよ。
でもほら去年じいさん死んじゃって土地売っちゃったから。
どうして警察の立ち入り禁止なんですか?これ食うか?いいえ…。
そうか。
先月だったかなぁ。
この土地買った人がさ家を建てるっていうんで林の向こうまで整地したんだよ。
そしたらさ骨見つかってさ。
骨?そう人間の。
えっ!?
(作業員たち)うわー!そんで縁起でもねえって言い出しちゃって結局契約解除しちゃったんだよ。
おかげでこの辺心霊スポットって言われるようになっちゃって夜中になると若い連中がうろついて困ってんだよ。
あの…その骨はどなたの…?俺がわかるわけねえだろ。
…ですよね。
ですですです…。
これ食わないよな?すいません…。
裏の林は誰でも入れるからどっかのバカタレが捨ててったんだろ。
時効を過ぎてるから警察もろくに調べてくんねえしこっちは大迷惑なんだよ!時効?なんでも20年近く前の遺体なんだってさ。
演奏会があったのは19年前だよ。
心霊とか白骨死体とかわけわかんない。
もう帰ろうよ。
呪われたらどうするの?とにかく警察に事情を聞くしかないよ。
止めて。
え?止めて!何?何?
(元川)吉永社長とお知り合いですか。
我々も先日社内見学で本社にお邪魔したばかりなんですよ。
そうですか。
で聞きたい事っていうのは?あ…えーっと…。
白骨の事なんです。
白骨ですか?この先の林の中で発見された…。
ああ…。
その事件の事を調べてらっしゃるんですか?いえいえ調べてるっていうわけじゃ…。
ご存じですか?もちろん。
あの子にはかわいそうな事をしました。
まだ高校生でしたからね。
あの子?はい。
あの死体はうちの施設にいた子だったんです。
えっ!?詳しく聞かせて頂けますか?はい。
ちょっとお待ちくださいね。
(元川)19年前にこの子が行方不明になったんです。
警察にも知らせましたが結局見つからなくて…。
不幸な生い立ちの子で学園になじめずにいつも家出を繰り返していたんで警察も真剣に扱ってくれなかったんです。
先月発見された白骨は彼女だったんですか?はい。
DNA鑑定をしたいって急に連絡があったんです。
一応彼女の私物はずっと保管してましたからいくつか提出してそれで一致したそうです。
誰かに殺されちゃったとか?警察の話だと全身打撲とかで…。
ひき逃げに遭ったんじゃないかって。
(2人)ひき逃げ…。
学校から施設に戻る途中に事故に遭ってあの林に埋められたんじゃないですかね。
かわいそうに…あの当時しっかり捜査していればちゃんと供養してやれたのに。
あの…この施設は吉永社長とはいつ頃から?もう10年以上になりますかね。
今ほど有名になる前から社長はこの施設の援助をしてくれていたんです。
寄付だけじゃなくて施設の子を毎年社員として採用してくれたりね。
吉永社長は施設の子供たち全員の母親ですよ。
(チカ)キャー!
(急ブレーキの音)
(衝突音)
(ドアの開閉音)楓…。
ごめん急に来ちゃって。
座ったら?ごめんね。
色々あってびっくりしたでしょ?私はママが何をしようとママの味方だよ。
ママの娘だからママを助ける為ならなんでもする。
それだけは信じて。
楓。
だから…私には本当の事を言ってほしいの。
私が知りたいのは1つだけ。
ママはパパの事が好きだった?ごめんね…知りたいに決まってるよね。
楓は娘なんだから。
ママ…自分の事ばかり考えてずっと楓の気持ちに応えてなかった。
大好きだった。
だからパパとママは楓を生んだのよ。

(チカ)突然呼び出してごめんなさい。
みなさんに報告があります。
私は本日をもって社長の座から引く事にしました。
(チカ)次の社長は株主総会で選任してもらいます。
異存はありませんよね?ではお世話になりました。
玄関にマスコミが押し寄せています。
今度こそしっかり釈明されてはどうですか?もちろん。
(チカ)今車を呼ぶからもうちょっと待っててね。
社長待ってください。
もう社長じゃないでしょ。
(小西)これじゃ副社長の思う壺です。
彼が実権を握ればうちはそこら辺にある儲け主義のサロンに成り下がります。
私はもう意見する立場にないの。
児童施設への慈善事業も廃止されますよ。
それでもいいんですか?そうよね…あなたも学園の出身だもんね。
社長はやってないんですよね?だったら引退する必要はないはずです。
でもね私にもどうしても償わなければいけない事があるの。
ごめん。
楓を先に帰したいから車早くお願い。

(里中)神山詠美子の爪から吉永チカの皮膚片が見つかりました。
DNAも一致してます。
決まりだな。
よし行こう!
(一同)はい!
(携帯電話)はあ…なんだよ!?今俺忙しいんだよ!あっ…ああ…。
ああっ…。
おい!おいガキ!!よし確保!きゃ〜ああっ。
お兄ちゃんお兄ちゃん!捕まえて〜!確保確保!やめろやめろ殴るな!はあはあ…ああ〜!
(手錠をかける音)説明してくれ。
どんな筋書きだったんだ。
今回の事件は19年前の夏山梨で起きたひき逃げ事件が発端だったの。
ひき逃げ事件?それで間違いありませんよね?
(急ブレーキの音)
(衝突音)えっ…何?警察に通報するべきかどうかきっと悩んだと思います。
でもあなたと鎌田さんは遺体を隠す事にした。
そんなひどい…勝手すぎます。
遺体を埋めたあとあなたは一人でロッジに戻り鎌田さんと大ゲンカした彼の暴力はもう耐えられないって泣いてみせたんですよね。
その後あなたはネイル界で大成功を収めました。
でも鎌田さんはひき逃げの罪悪感から逃れる事が出来なかった。
そして…覚せい剤に手を染めてしまった。
そんな鎌田さんが殺害されたあと世間はあなたの過去を疑うようになりました。
吉永チカほどの人物がどうしてあんな男と結婚までしていたのかって。
それであなたは自伝を出版する事にしたんですね。
そうだったんだ…。
鎌田氏は癇癪持ちでDVに苦しんで離婚したと自伝に書いて過去の事実を封印しようとした。
先月…秋元しおりさんの白骨死体が鎌田さんのご実家の跡地から発見されました。
時効が過ぎてたから捜査はされなかったんだけどでも…警察にDNA鑑定を申し出た人物がいたんです。
それが同じ施設の出身者だったあなたの秘書小西さんです。
彼女と私は同じような境遇で施設に入りました。
だからいつも…彼女は私に優しくしてくれた。
(小西)返してよ返してよ。
(秋元しおり)やめなよあんたたち!潤一またやられてんの?いくら泣いたってあいつら同じ事繰り返すだけだよ。
あんたがしっかりしなきゃ!あそうだ。
もう少しで誕生日だったよね。
私が新しいやつをプレゼントしてやるよ。
(鍋島の声)でその子が行方不明になってお前が警察の代わりに捜したってか?警察は失踪届を受け取っただけで捜査はしてくれませんでしたから。
でも私は…19年間一日たりとも彼女の事を忘れた事はありません。
先月身元不明の白骨が施設の近くで見つかったって聞いてすぐに彼女じゃないかって思いました。
秋元しおりさんが埋められていたのは鎌田さんの実家の跡地。
小西さんが犯人を特定するのはさほど難しくなかったと思います。
小西さんは自力で鎌田さんを捜し出しそして…最初の事件が起きた。

(刺す音)
(鎌田藤一郎)ああっ…。
ああっ…。
うわあっ!2人目の神山詠美子もお前がやったんか?
(小西)あの日…社長の様子がおかしかったんであとをつけたんです。
(小西)そしたらあの女がいて…。
(詠美子)誰が鎌田を殺したか知ってるんだ。
こんなもんで済むと思ったら大間違いなんだよ!
(チカ)やめて…!これで終わりよ。
これ以上つきまとったら警察に通報するから。
はあはあ…。
ああっ!いやっ!神山詠美子は誰が鎌田を殺したか知ってるってあんたに言ったのか?はい。
それを聞いて小西は口封じのために神山詠美子を殺害したって事か。
多分…鎌田さんは神山詠美子さんに19年前のひき逃げ事件の事を話したんだと思う。
だから…神山さんは鎌田さんを殺したのは吉永社長だって勘違いしたんだと思う。
あでも…小西さんはあなたがひき逃げ事件に関係してる事は知らなかったはずです。
だからあなたには手を出さなかった。
なのにどうして今日になってあんな事に…。
もしかしたら…これ…。
(小西の声)社長がバッグを持っていたんです。
(里中)ああ?バッグ?
(小西の声)彼女が行方不明になった日は私の誕生日でした。
学園のマーク入りのバッグをプレゼントしてくれるって彼女約束してくれていたんです。
潤一どうした?誕生日会始まるぞ!
(小西の声)家庭科の時間に作ったからって…。
しおり姉ちゃん待ってるのか〜。
大丈夫だよすぐに帰ってくるよ。
(小西の声)ふざけてるよ…。
社長は彼女の遺体を埋める時にあのバッグに気づいたんだ。
この子はプレゼントを誰かにあげるつもりだったんだって思ったらそれだけは埋める事が出来ずにずっと持ってたんだよ。
こんなのありかよ。
俺たち施設の子供にとって社長は母親のような存在だった。
でもその愛情は彼女を殺して埋めた事への償いだったんだよ。
ふざけるなっ!!俺はそんなやつのために尽くしてきたんじゃない…。
(泣き声)そうかわかった。
俺もすぐに戻る。
小西が犯行を認めた。
詳しい話は署で聞こう。
みんな苦しみながら生きてきた。
でもあんたは自分が成り上がるためにその苦しみを利用して踏みにじってきたんだ。
時効が過ぎたからといってあんたがした事は許される事じゃない。
楓ちゃんを守りたかったんでしょ?自分がつらい思いをするのはいくらでも耐えられる。
だけど…楓ちゃんは生まれた瞬間から人殺しの娘として一人で生きていかなくてはならない。
だからあなたは…遺体を埋めたんでしょう?鎌田さんは覚せい剤で自ら学者の道を絶ってしまった。
それを知ったあなたは楓ちゃんに鎌田さんと同じ生物有機工学の道…進ませた。
それは…せめて楓ちゃんに父親の目指した学問の道を受け継いでほしい…そう思ったからなんでしょう?私がバカだったんです。
あの子にだけはどうしても知られたくなくて…。
鎌田をあんな目に遭わせてしまった。
私が…私が全部悪いんです。
私が…。
(泣き声)
(チカ)なんて…あの子になんて言ったら…。
あんだけ刺されたのにここまで来たのは…このためだったのか…。
(記者)来た来た!準備いいか?カメラカメラ。
全店舗閉店て本当ですか?原因は社長秘書の逮捕ですか?
(高梨)それ以外考えられんだろ!
(記者)会見を開いてきちんと釈明すべきじゃないんですか!あれだけ散々な書かれ方をすればもう十分だ!死んでも会見は開かん!ひき逃げ事件の時効取り消しを申し出たそうですね。
そんな事出来るかわからないけど弁護士に頼んだわ。
あなたにお願いがあるの。
あの自伝もう一度書いてもらえないかな?きっと楓ちゃんも読みますよ。
いいんですか?あの子にも知ってほしいの。
父親の事。
わかりました。
でも…今度はちゃんとインタビュー受けて頂きますよ。
酵素活性に代表されるような生体内での生命反応には…。
気をつけてくださいよ〜。
ありがとうございます。
よいしょ。
私ちょっと思ったんだけどさ。
ひょっとしてお姉ちゃんて才能あるんじゃない?なによ急に気持ち悪い。
いやいやいや本気本気本気。
その才能を眠らせてしまうのは惜しいって思って新たにお仕事依頼したいんですけど!本当?やったあ!じゃあさ時空ミステリー読んでくれるの?マジ今回のは超自信作…。
ジャーン!今度このフィギュアスケーターの自伝出すんだ!小説じゃないの?絶対ゴーストライターの才能あると思う。
やだ…絶対やだ!私は小説家よ。
もう絶対ゴーストなんかやんないから。
ちょっと…。
印税入ればやるくせに。
2015/05/21(木) 14:00〜15:51
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◇出演者
浅野ゆう子、若村麻由美、鶴見辰吾、三浦理恵子、升毅、中村倫也、入来茉里、窪寺昭、橋本マナミ、波岡一喜

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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